おいしいお茶の秘密!チャノキの理想的な生育環境
はじめに
お茶の木はどのようなところで生育するのでしょうか。
チャノキはもともと亜熱帯原産なので、あまり寒さに強い植物ではありません。比較的温暖で、かつ適度な降水量がある地域で生産されています。
世界ではおよそ赤道をはさんで北緯45度から南緯45度の間で栽培されていますが、日本では北は北海道から南は沖縄本島まで、広く栽培されています。
チャが育ちやすい気象条件
チャノキはツバキ化ツバキ属の永年性常緑樹で、学名をカメリア・シネンシスといいます。
葉が小ぶりで寒さに強い中国種と、葉が大きく寒さに弱いアッサム種があり、おもに前者は緑茶に、後者は紅茶の原料になります。
日本では、もちろん中国種が中心に栽培されています。
チャは基本的に温暖で湿潤な地域で育ちやすい植物なので、気象条件、特に気温と降水量に左右されやすい性質を持っています。
チャに適した気温
年間平均気温は15度前後が適しており、最低気温がマイナス11-12度を下回ることがない地域が栽培に適しています。
チャの芽は気温が高くなるほどよく育ち、収量も多くなりますが、品質はやや劣るようです。
また、平均気温だけでなく、昼夜の温度差などもお茶の品質に大きく影響を与えており、朝夕の寒暖の差が大きいほど良質な葉が育ちます。
チャに必要な降水量
チャノキの栽培に必要な降水量は、年間1300ミリ以上で、そのうち生育時期にあたる4-10月に900ml以上降るのが理想的です。
日本の年間降水量が約1700mmなので、さほど多くの雨量を必要としているわけではありませんが、生育時期には適度に雨が降る必要があります。
夏季に長期の無降雨期間があると、生育に影響が出てしまいます。
チャが育ちやすい土壌
良いチャを育てるには、「水はけと風通しがよいこと」も大切な条件です。
特に土壌に含まれる水分に影響されやすく、水分が多すぎても少なすぎても根の成長にはよくないため、排水性が重要です。
排水性が悪いと生育不良や収量・品質の低下を招く恐れがあります。それゆえ、昔からの茶畑のほとんどが水はけの良さを狙って山間部の斜面を利用しています。
また、ほかの植物と異なり酸性を好み、PH4-5の酸性土壌が適しています。
国内の土壌の酸性度は地域によって様々ですが、多少条件に合わなくても改良や施肥などを行うことで、チャに適した土壌となるよう各茶園が土づくりに取り組んでいます。
種からではなく、挿し木方法で繁殖させる
お茶の繁殖は種をまくのではなく、通常挿し木によって行います。
挿し木法と呼ばれる方法で根を張らせ、苗を大きくし、繁殖させていくのです。ちなみに、昔は種から育てていましたが、次の二つの理由から挿し木法が主流になりました。
一つは、チャノキは自家受粉をほとんどしない、という点が挙げられます。
自分と同じ品種の花粉では自家受粉しないため同じ品種を育てようとすると挿し木でしか育てられません。
二点目としては、品質を安定させるためです。
つまりチャノキは他の茶の花粉であれば受粉しやすいですが、そうやってできた種はいわゆる雑種にあたり、性質が異なり品質が安定しないのです。
挿し木法にすることで、すぐれた品質のお茶の木と同じ品質を保証することができます。
新植した苗は、4年程すると葉を収穫できるようになるまで成長するのですが、10年ほどたってからようやく収量が安定し始めます。
そして、一般的に樹勢が衰えだす30-40年で植え替えが必要になります。