玉露とは何か|山本山六代目が生み出した日本古来のエナジードリンク
はじめに
玉露とは、日本茶の中でも特に高級な種類として知られていますが、実際に口にしたことがあるという方は少ないのではないでしょうか。
玉露とはそもそも何なのか、普通のお茶とどこが違うのか、ご存じない方もいらっしゃると思います。
本記事では、玉露とは何か、についてご紹介します。
玉露とは
玉露は、私たちが普段飲んでいる「緑茶」の一種です。
一般的に「緑茶」として親しまれている「普通煎茶」も緑茶ですが、玉露と普通煎茶は、それぞれ異なる種類の緑茶と言えるでしょう。
玉露と普通煎茶の違い
玉露と煎茶の見た目はよく似ています。製造工程も煎茶と同じで、お茶の形状も上級煎茶と同じ針状です。
ですが、以下のように普通煎茶とは大きく異なるポイントがあります。
1. 茶葉の栽培方法
大きく異なるのはその栽培方法です。玉露は、茶園全体に覆いをかぶせて、20日間程度日光を遮る「被覆栽培」という方法で育てられます。
これにより、茶葉に含まれるアミノ酸が増え、旨味が凝縮されます。
2. 風味
1で説明した特殊な栽培方法により、玉露は煎茶とは異なる、まろやかでコクのある味わいを作り出します。
葉に含まれるうまみ成分のアミノ酸類、特にテアニンは、日光に当たると茶葉の苦味や渋みの成分であるカテキン類(タンニン)に代わってしまうのですが、遮光をすることでそれが避けられるため、うま味や甘みが強く、渋みや苦みの軽いまろやかな味になるのです。
さらに「覆い香」と呼ばれる青のりのような独特の香りも特徴です。
口当たりもまろやかでとろみがあり、まるで和食のだし汁を飲んでいるかのような、強い旨みが特徴です。
3. 高いリラックス効果
また、リラックス効果をもたらすテアニンが、普通煎茶に比べて豊富に含まれていることが分かっています。
テアニンとは、1950年に日本の研究者、坂戸弥二郎博士によって発見された、お茶に特有のアミノ酸です。
心地よい音楽を聴いたり、美味しいお茶を味わったりなど、私たちが心穏やかに過ごしているとき、私たちの脳にはアルファ波と呼ばれるリラックス状態を示す波が出ているのですが、テアニンには脳のα波を増幅させる作用を持つことが知られています。
新芽を使う玉露や上級煎茶には、特に豊富にテアニンが含まれており、上品な香りと共に、心身のリラックス効果も期待できます。近年は睡眠の質を改善する効果があることが分かり、サプリメントにも良く配合されています。
4. カフェイン量
茶葉に含まれる栄養成分自体は、玉露と普通煎茶で大きな違いはありませんが、特筆すべきは玉露に含まれるカフェインの量です。
カフェインは、お茶の芽が日光にあたる時間が長くなるにつれて、含有量が減っていきます。
そのため、あまり日光に当たっていない若い芽を使う玉露や抹茶はカフェインの含有量が多い傾向にあるのです。
飲み物に含まれるカフェイン量 (100mlあたり)
- 玉露:160mg
- 抹茶:60mg
- コーヒー :60mg
- ホットココア:35mg
- 紅茶:30mg
- 烏龍茶:20mg
- 普通煎茶:20mg
- ほうじ茶:20mg
- 番茶:10mg
- 玄米茶:10mg
- 釜炒り茶:10mg
- 麦茶:0mg
上記のように、玉露はコーヒーの約3倍ものカフェイン量を含んでいます。
カフェインには、中枢神経を刺激する作用があるとされています。
玉露は、集中力を高めて作業効率を上げたいときや目を覚ましたいときには最適な、まさに日本古来のエナジードリンクといえるでしょう。
玉露の淹れ方
玉露は他の日本茶に比べて淹れ方も味も少し独特です。
玉露は高温のお湯で淹れると、苦み成分のカテキンが溶けだしてしまうので、少量かつ50-60℃の低温のお湯でじっくりと淹れることがポイントです。
玉露は三煎目まで楽しむことができますので、徐々に温度を上げながら二煎、三煎と、味の変化を楽しみましょう。