【初心者向け】お茶の審査って?味だけじゃない評価方法
はじめに
現在、私たちの身近には実に多様な種類のお茶が存在しています。
茶葉売り場を訪れると、緑茶、紅茶、烏龍茶など、その種類は目を見張るものがあります。さらに、同じ緑茶でも、煎茶、玉露、抹茶など、様々な種類が存在し、産地や製法によって味は大きく異なります。
こうした多種多様なお茶の中から、それぞれの品質や特性を正確に評価し、安全に消費者に届けられるよう、お茶の品質審査が行われているのをご存じですか。
お茶の品質審査は、単なる味見ではなく、お茶の見た目、香り、味、そして淹れた時の色など、五感を使って総合的に行われる、大変緻密で高度な審査です。
なぜお茶を審査するのか?
緑茶の審査が始まった起源ははっきりとは分かっていませんが、室町時代に行われた「茶かぶき」が審査の原点であると考えられています。
現在行われているお茶の審査は、単に味を評価するだけでなく、より深い目的を持っています。
まずは、審査を通じて、お茶の品質を客観的に評価し等級を決定することで、生産者に対して具体的な改善点を示し、より高品質な茶葉の生産を促すことです。
さらに、消費者に正確な品質情報を提供することで、消費者の選択肢を広げ、市場の信頼性を高めることも大切な目的の一つです。
結果として、品質の低いお茶が出回ることを防ぎ、市場全体の安定化に貢献するという重要な役割を果たしているのです。
お茶の二つの審査方法
お茶の審査は、大きく分けて2つの方法で行われます。
1. 官能審査
一つは官能審査と呼ばれるもので、人間の五感、つまり視覚、嗅覚、味覚をフルに活用して行われます。
茶葉の外観、香り、お湯を注いだ時の色(水色)、そして実際に口にした時の味(滋味)などを総合的に評価することで、お茶の品質を判断します。
2. 科学的審査
もう一つは科学的審査と呼ばれる方法です。こちらは、機器を用いてお茶の成分を分析する方法です。
アミノ酸、カテキン、カフェインなど、お茶に含まれる様々な成分の量を測定することで、お茶の品質をより客観的に評価することができます。
官能審査の審査項目
ここでは、最も一般的な日本茶である普通煎茶の官能審査を例に、具体的な審査項目と基準を見てみましょう。
煎茶の審査では、外観、水色、香気、滋味の4つの項目が評価されます。
項目 | 基準 |
形状 |
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色沢 |
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香気 |
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水色 |
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滋味 |
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官能審査には外観審査と内質審査の二つがあります。
外観審査はお茶そのものの形状や色沢をみるもので、内質審査はお茶を湯で浸出した液の色(水色)、滋味と香気を見るものです。
通常は、まず外観を見て、次に内質を見るという順番で審査します。
実際の品評会では、外観や水色、滋味、香気の項目ごとに評価基準を設け、何人かの審査員が減点法によって点数をつけていきます。
評価基準はお茶の種類ごとに変わりますが、各項目の合計得点で順位をつけ、1等から3等までを入賞にします。
審査環境の重要性
お茶の官能審査は、審査員の五感を最大限に活かすため、審査環境にも細心の注意が払われています。
審査室は、外部の光を遮断し、安定した自然光が得られるよう、北側に設置されることが一般的です。
例えば、自然光を利用する場合には、東・西・南の三方向をふさぎ、北側上部から柔らかな光が差し込むように調整されます。これは、お茶の色や艶を正確に判断するためです。
また、審査台や茶器も、審査の精度を確保するために、一定の規格が定められています。
これらの工夫によって、審査員は最適な状態で茶葉の外観、水色、香気、滋味を評価することが可能となります。
まとめ
いかがでしたか。このように、お茶の品質審査は、単に味を評価するだけでなありません。審査員は、長年の経験と専門知識を活かし、品種ごとの製法や産地の風土などその全てを繋ぎ合わせ、お茶の個性や特徴を深く掘り下げていきます。
このような緻密な審査プロセスがあるからこそ、私たちは、産地や品種ごとに異なるお茶の風味を愉しみ、その奥深さを味わうことができるのです。
お茶の品質審査は、私たちが美味しいお茶を安心して楽しめるように、そして、茶業の発展に貢献するための重要な役割を担っています。