なかなか聞けない、葬儀のお礼(お布施・心づけ)について
はじめに
本来であれば、葬儀の後、喪主と遺族代表が直接お会いし、お世話になった僧侶の方々や世話役の方々へのお礼を述べるのが一般的でした。
しかし、現代では、通夜や告別式の当日に、感謝の気持ちを込めてお礼を申し上げるケースが増えています。
現代における感謝の伝え方
当日に直接お礼を伝える際は、『本来であれば、後日改めてお礼に伺うべきところですが、このような形でご挨拶させていただきたく存じます』といった言葉を添えると、より丁寧な印象を与えるでしょう。
もし、後日改めてお礼に伺う場合は、僧侶の方へは葬儀の翌日から数日以内、その他の世話役の方々へは遅くとも初七日までに、事前に都合の良い日時を伺い、訪問しましょう。
その際、喪服でなくても構いませんが、地味な服装を心がけるようにしましょう。
お世話になった方々へ
葬儀の後には、お世話になった方々へのお礼が欠かせません。
宗教者や世話役の方々へのご厚意に対する感謝の気持ちを表すことは、日本の伝統的なしきたりとして深く根付いています。
僧侶や神父への御礼
葬儀を執り行った僧侶や神父、牧師などへの御礼は、一般的に「御布施」と呼ばれています。
お布施とは、葬儀や法事、法要などで僧侶に渡すお金のことです。僧侶が読経や法要を行い、故人の冥福を祈ったり、戒名を授けたりする際に、そのお礼として贈られます。
これは、宗教的な儀式を執り行ってもらうことへの謝礼であり、決まった金額はありません。
お布施の金額
先ほども述べたように、お布施の金額に決まりはありません。
いくら包むか悩んだ時には、まずは親族内の年長者や葬儀社に聞いてみるとよいでしょう。それでも決めきれない場合は直接先方に聞いてみたらよいと思います。
いずれにせよ、宗教や宗派、地域によって金額の目安が異なるため、事前に確認することが大切です。
お布施の渡し方
御布施は、葬儀の際に僧侶へ感謝の気持ちを込めて渡すものです。
渡すタイミングは、お通夜の打ち合わせ時、お通夜・告別式の終了後、後日改めてご挨拶する際など、主に3つの場面が考えられます。いずれの場合も、直接手渡しするのが一般的です。
お通夜の打ち合わせの際には、「この度の葬儀につきまして、お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。」とあいさつを添えて渡します。葬儀・告別式後には、「本日はありがとうございました。」や「先日の葬儀ではありがとうございました。」と感謝の言葉を述べながら渡しましょう。
御布施の表書きは、「御布施」と書き、白い封筒に入れて渡します。宗教によっては、別の表書きを用いる場合もありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
世話役への御礼
お布施以外にも日本には古くから「心づけ」という文化があります。
かつては当たり前のように行われていた心づけですが、現在は心づけを不要とする、もしくは省略することが多くなっています。
ただし、葬儀は地域によって風習が大きく異なるため、全国一律のやり方ではなく、ご遺族の故郷やご自宅の地域の慣習に合わせた方が無難です。
心づけとは
心づけとは葬儀業者や火葬場の職員などのほか、葬儀の世話役でお世話になった方に、遺族側が用意してお渡しする金銭のこと。
故人の葬儀をスムーズに進めていただくために多大なご尽力いただいた方々へ、感謝の気持ちを表すものです。
そのお礼は、役割や手伝っていただいた日数に応じて、現金やギフト券、品物といった様々な形で贈ることができます。
かつてはこれがしきたりとして当たり前であったのですが、現在、公営の火葬場では原則として心づけの受け取りは禁じられているため、必要ありません。
もちろん地域によって異なりますが、葬儀業者やその他の民間の火葬場の場合も不要であることが多いのではないでしょうか。
もし気持ちばかりのお礼として心づけをお渡ししたいならば、親戚や親しい友人、同僚など、葬儀をサポートしてくれた世話役にのみご用意すればよいと思います。
世話役の御礼の金額
金額については、世話役代表の方へは1~2万円が目安、その他の方には3,000円~5,000円程度とされています。
葬儀全体の取りまとめ役である世話役代表の方へは少し多めに、他の世話役の方々へは一律の金額にするのが一般的です。
ただし、目上の方へ現金でお礼をすることに抵抗を感じる方もいらっしゃるため、品物に替えたり、改めてお食事をご一緒するなど、相手の方の立場や関係性に合わせて、よりふさわしい形を選ぶこともできます。
現金でお礼をする場合は、白封筒に入れ、表書きを「御礼」とするとよいでしょう。香典とは違い、不幸な出来事に対するお礼ではないため、濃墨を使って書きます。
心づけの渡し方
心づけは葬儀を手伝ってくれたお礼として渡す物のため、できるだけ直接個々にお礼の気持ちを述べて渡しましょう。
これらの金額や贈り物、渡し方については、地域やご家族の慣習、そして世話役の方々との関係性によって異なる場合があります。事前に年長者の方や葬儀社にご相談いただくことをおすすめします。
心づけは、あくまで気持ちを表すものですので、必ずしも必要ではありません。ご自身の予算や状況に合わせて、無理のない範囲で行いましょう。