贈り物に添える言葉、表書きの由来とは
表書きの起源と変遷
贈り物をするとき、包みに付ける表書きは、単なる形式ではなく、深い意味と歴史を持つものです。
昔は、贈り物をするときは、品物は必ず紙を敷いた台に乗せ、その上に贈り物の内容を記した目録を添えるのが一般的でした。
贈る品物の種類や相手との関係性によって、目録の書き方や贈り方も厳格に定められていました。
現代の表書きは、この古くからの習慣が簡略化された形です。目録の代わりに、包みの表面に直接贈り物の内容を示すようになったのです。これが表書きの始まりです。
表書きの本来の目的
表書きの本来の目的は、贈り物が何であるかを相手に明確に伝えることです。
しかし、現代では「粗品」や「寸志」といったあいまいな言葉が広く使われています。
これらの言葉は、贈り主の謙遜の気持ちを表すものではありますが、本来の目的である「贈り物の内容を伝える」という点からは、必ずしも適切とは言えません。
本来の書き方としては、贈り物が「お菓子」であれば「御菓子」と書き、「これで御菓子でも買ってください」という気持ちでお渡しするお金であれば「御菓子料」のように、具体的に内容を明記することが望ましいです。
そして、金額や数量は表書きの下段中央に書くのが正式な書き方です。
現代の表書きの現状
しかし、現代では、贈り主の気持ちとして、金額や数量を具体的に書くことに抵抗を感じる人も多く、代わりに自分の名前を中央に書くことが一般的になっています。
このように、「表書き」の形式は、時代とともに変化を遂げ、今日では姓名を中央に書くスタイルが定着しています。また、「粗品」といった表現も一般的になりました。
表書きの持つ意味とマナー
しかしながら、伝統的な書き方というものも、日本人の教養として理解しておきたいものです。
なぜなら、表書きは単なる形式ではなく、箱を開けなくても中身が分かるように、というお相手への気遣いとして用いられた手段であるからです。
日常の贈答などの場合は大きな問題にはなりませんが、冠婚葬祭のお付き合いの時には、それに沿った書き方というものがあり、間違った使い方をすると失礼にあたる場合もあります。
まとめ
表書きは、贈り物をするときの基本的なマナーであり、単なる形式ではありません。
本来の意味を理解した上で、状況に合った適切な表書きを選ぶことで、相手に失礼なく、気持ちのこもった贈り物をすることができるのではないでしょうか。