お年賀とお年玉のルーツと現代のマナー
はじめに
お正月といえば、ご近所や親戚へのご挨拶とともに、贈り物をしたり、贈られたりする機会が多いですよね。
そんなお正月ならではの習慣である「お年賀」と「お年玉」ですが、その起源やマナーについてご存じでしょうか。
今回は、これらの風習について詳しくご紹介します。
御年賀のルーツ
御年賀の起源は、古くから日本で行われていた年神様(としがみさま)を祀る風習に深く関わっています。
年神様は、その年の豊穣を司る神様とされ、人々は年神様を家へ迎え、無事に新年を迎えられるよう祈願しました。
その際、年神様へのお供え物を持参することが一般的でしたが、それが次第に、人々への手土産へと変化していき、現在の御年賀へと発展したと考えられています。
お年玉のルーツ
お年玉のルーツも、年神様と深く結びついています。
年神様へのお供え物として用意されたお餅を、家長が家族に分け与え家族みんなで食べていたのが始まりです。それが次第に子供たちへの贈り物へと変化していきました。
年神様に備えたおもちには年神様が宿るとされ「御年魂」が語源ともされています。
年始の挨拶にお年賀を持参する
新しい年が始まると、日頃お世話になっている方々へご挨拶に伺うのが一般的です。この際、手土産として持参するのが「お年賀」です。
年始のご挨拶は、一般的に松の内(1月7日頃まで)に行われます。元日はご家族とゆっくり過ごされる方も多いでしょうから、2日目以降に伺うのがおすすめです。
以前は、事前に連絡せずに突然訪問するのがマナーとされていましたが、現代ではその方が非常識扱いをされかねませんよね。事前に連絡をして訪問日時を調整することが一般的です。
訪問する際は、相手の都合を考慮し、早朝や食事時を避けるようにしましょう。
お年賀は基本的に簡単なものを
年始のご挨拶に伺う際は、日頃お世話になっている方へ、感謝の気持ちを込めてお年賀を贈ることが一般的です。
お歳暮を贈られた場合は、お年賀は気持ちばかりの品で十分です。
相場としては1,000円前後が一般的で、日持ちのするお菓子やお酒、タオルなどが人気です。
もし、お歳暮を贈られていない場合は、少しばかり高めの品物を選ぶと良いでしょう。
お年賀の包装には、紅白の蝶結びの熨斗(のし)を掛け、「御年賀」や「御年始」と書きましょう。
手土産として直接渡すため、外熨斗(そとのし)が一般的です。短冊熨斗もよく利用されます。
年始の挨拶をして玄関先で失礼する
近年、年始の挨拶は、昔のように多くの家を訪問するスタイルから、簡素化されてきています。
そのため、玄関先で簡単に挨拶を済ませ、お年賀を手渡すことが一般的になりました。
この際、「旧年中はお世話になりました。今年もよろしくお願いします」といった言葉を添え、「新年のご挨拶の印です」と伝えると、より丁寧な印象を与えます。
もし、相手から家の中へ招かれたとしても、予定があるなどと言って丁重にお断りするのが一応のマナーです。
しかし、どうしても断りきれず、家の中へ入ることになった場合は、その場で改めてお年賀を手渡しましょう。
御年賀のお返しは不要。おせち料理でもてなす
御年賀をいただいた際のお返しは、特に必要ありません。
玄関先でのご挨拶で十分ですが、もしお相手をお招きするのであれば、日本の伝統的な新年のお祝いのしきたりとして、お屠蘇(とそ)やおせち料理でおもてなしします。
お年玉は年少者への新年の贈り物
新年には、子どもたちへのお年玉を贈るという皆さんご存じの習慣があります。新しいお札を可愛らしいポチ袋に入れて贈るのですが、その際、いくつか注意すべき点があります。
まず、お札を折る際には、開いた際に表向きになるように、肖像画が内側になるように注意しましょう。
お年玉の金額は、一般的にその子の1か月分のお小遣いが目安とされていますが、これはあくまで一般的な目安です。
ご家庭の経済状況や、親族間の慣習によって金額は様々でしょう。年齢によって金額を調整したり、親族間で話し合って決めるなど、ご家庭のルールに合わせて決めると良いでしょう。
お年玉を贈る年齢や相手についても、特に決まったルールはありません。
一般的には、未成年の子供に贈ることが多いですが、ご家庭の考え方や地域の習慣によって異なります。
お年玉を渡す際は、相手が子供であっても、大人と同じように丁寧な言葉遣いを心がけましょう。両手で包み、正面を向けて渡すことが大切です。
目上の人にお年玉を贈るのは失礼
お年玉は、古くから年下の人へのお祝いの品として贈られてきました。そのため、本来は目上の方へお年玉として贈ることは一般的ではありません。
もし、両親や祖父母など、目上の方に新年の挨拶とともに何かを贈りたい場合は、「お年賀」や「御年始」と表書きをして、贈り物として渡すのが適切です。
また、上司や目上の方のお子様へのお祝いも、直接「お年玉」と呼ぶのではなく、「図書料」「文具料」「おもちゃ料」など、品物の代わりの言葉を使って贈るのが正しい形です。
これは、目上の方への敬意を示すためであり、お年玉はあくまで年下の人へ贈るものという考え方が根底にあります。
このように、お年玉には厳格なルールがあるわけではありませんが、相手との関係性や年齢などを考慮し、適切な言葉遣いや贈り方をすることが大切です。