お茶の品質は摘み取り時期と摘む部分で決まる?味の違いを解説
はじめに
お茶の品質は、茶葉を摘む時期と摘む部分によって大きく左右されます。
チャノキは、冬の寒さを乗り越え、春になると芽を出します。
この芽出しの時期は品種によって異なり、早生種では3月中旬、中生種では4月中旬頃から新芽が出始めます。そして、春から夏にかけて数回にわたって茶摘みが行われます。
一度の茶摘みは、おおよそ3週間から2カ月程度。
地域差はありますが、一番茶と二番茶はおよそ3週間ほどであるのに対し、三番茶は1カ月半程度、四番茶は2週間程度と、摘み取り時期によってその期間も様々です。
摘む時期による品質の変化
おおよそ4月下旬から5月上旬に、一番最初に摘まれるお茶を「一番茶」と呼びます。
一番茶は、長い休眠期を経て栄養を蓄えているため、うまみが濃く、品質が最も高いとされています。
実際に、茶葉に含まれているアミノ酸の量は、一番茶は三番茶の約4倍と圧倒的です。
一方、二番茶、三番茶については、摘採までの生育期間が短いため、うまみ成分のアミノ酸含有量が多くありません。そのため、味は薄くさっぱりとした印象となります。
そのほか、抗酸化作用や風邪予防などさまざまな健康効果で注目されているカテキンについても、一番茶は三番茶の140%と最も豊富に含まれています。
一方のカフェインの量については、一番茶と三番茶で摘採シーズン開始直後は同じなのですが、一番茶については、摘採開始から2週間後を境にカフェインの含有量が半減します。
つまり、一番茶については、3週間ほどある摘採期間の、はじめと終盤に摘み取った茶葉ではカフェインの含有量が大きく異なるということです。
一方の三番茶については、減少の速度がゆるやかで、摘み取り時期による大きな差はありません。
なお、チャノキは成長するにつれて、食物繊維が増え、うまみ成分が溶け出しにくくなることから、上で説明したような成分量の変化以上に、味が染み出しにくくなる=つまり「味が薄い」「さっぱりしている」という現象が起こります。
摘む部分による品質の変化
茶摘みでは、新芽の葉がどの程度開いているか、そして、どの部分まで摘むかによって品質が大きく変わります。
茶の新芽には葉の素となるものが5-6枚巻き込まれていて、徐々に開いていきます。
最後の葉が完全に開いた状態を「出開いた」といいますが、完全に出開いた状態の葉は硬く、品質が良くありません。
新芽の葉は、完全に開いた状態よりも、50~80%ほど開いた状態のときに摘むのが最適です。
この状態の茶葉は、柔らかくてうまみが豊富です。早摘みをする場合は、30~50%開いた状態の芽を摘みますが、収量は少なくなります。
また、摘む部分によっても品質が異なります。新芽の先端の芯と2枚目の葉を摘む「一芯二葉摘み」が最も高品質で、高級な玉露や煎茶に使用されます。
3枚目の葉まで摘む「一芯三葉摘み」は、一芯二葉摘みよりも収穫量が多いですが、品質はやや劣ります。
まとめ
いかがでしたか。このように、お茶の品質は、茶摘みの時期と摘む部分によって大きく左右されることが分かっています。
私たちが普段飲んでいるお茶も、このような繊細な作業を経て私たちの元に届けられているのです。