山間地のお茶が美味しい理由と、北限の茶の魅力
はじめに
昔から「山間地のお茶は美味しい」と言われています。
確かに、銘茶の産地として知られる地域は、川沿いの山間地に多く見られます。では、なぜ山間地のお茶は、平地のお茶よりも美味しく感じられるのでしょうか。
山間地のお茶が美味しい理由
山間地は、平地と比べて日照時間が短く、気温が低く、昼夜の寒暖差が大きいため、茶葉の成長がゆっくりとなります。
このゆっくりとした成長が、茶葉の旨み成分をじっくりと育むことにつながります。
具体的には、カテキン類が少なく、アミノ酸類が豊富になるため、苦みや渋みが少なく、うまみと甘みが際立つお茶に仕上がります。
また、山間地の茶園は、周囲の木々によって日陰が作られるため、「山の香り」と呼ばれる独特の風味を持つお茶が育まれるのです。
平地のお茶の特徴
一方、平地のお茶は、日照時間が長く、昼夜の温度差が少ないため、茶葉の成長が早く、様々な成分がバランスよく含まれています。
そのため、山間地のお茶に比べて、味が全体的に濃く感じられる傾向があります。
このように、お茶の味や香りは、その土地の気候や地形、栽培方法など、様々な要素が複雑に絡み合って生まれます。
日本の茶産地の北限と、北限の茶の魅力
では、日本の茶の栽培は、どこまで北上しているのでしょうか。
一般的に、お茶の商業的な生産地としての北限は、日本海側では新潟県村上市(村上茶)、太平洋側では茨城県久慈郡大子町(奥久慈茶)を結んだ線付近とされています。
この二大産地のお茶「村上茶」と「奥久慈茶」は、日本の「北限の茶」として知られています。
厳しい寒さや積雪などの環境下で育つため、茶葉が厚く、旨味と甘みが強いのが特徴です。また、カフェインが少なく、まろやかな味わいも魅力の一つです。
しかし、これより北の地域でも、農家の副業として、あるいは自家消費用としてお茶が栽培されています。
お茶の生育の北限としては、北海道古平町の禅源寺の庭にある茶の樹が挙げられます。
近年は温暖化の影響もあり、お茶の栽培可能な地域は徐々に北上しています。
秋田県や青森県でも茶の栽培が行われるようになり、将来的には、さらに北の地域でも商品としての茶の生産が可能になるかもしれません。
まとめ
いかがでしたか。お茶の味や香りは、その土地の気候や地形、栽培方法など、様々な要素が複雑に絡み合って生まれます。
静岡県の川根茶などが代表する山間地のお茶は、ゆっくりと成長した茶葉が持つ、深い旨味と甘みが特徴です。
一方、平地のお茶は日照時間が長く、温暖な気候で育つため、成分のバランスが良く、しっかりとした味が特徴です。鹿児島県の知覧茶などが代表的です。
そして、北限の茶は、厳しい環境下で育まれた力強さと、まろやかな味わいが魅力です。
このように、産地によりお茶の味わいはそれぞれ。地域の土壌や気候条件によって育まれた茶葉が、個性的な味わいを楽しませてくれます。