【深掘り】お茶の原点!茶の植物学入門
はじめに
毎朝の一杯から、来客時のおもてなしまで、私たちの暮らしに欠かせないお茶。
その身近な存在であるお茶ですが、実は奥深い学問の対象でもあります。
お茶の原料となる茶葉は、ツバキ科ツバキ属の植物の葉です。この小さな葉っぱの中に、私たちを癒やし、活気づける成分がぎゅっと詰まっているのです。
今回は、そんなお茶の神秘的な世界を、植物学の視点から探求してみたいと思います。
チャの特徴
私たちが日常的に飲んでいるお茶の原料となる「チャ」は、ツバキ科ツバキ属に属する常緑樹です。
1887年に植物学者クンツによって「カメリア・シネンシス」と名付けられました。
中国種とアッサム種がありますが、両種の間で雑種になった中間型をアッサム雑種と呼んでいます。
チャの品種
茶は、大きく分けて中国種とアッサム種の2種類があります。
中国種は葉が小さく、寒さに強いのが特徴で、主に緑茶の原料として利用されています。
一方、アッサム種は葉が大きく、寒さに弱く、紅茶の原料として用いられています。日本においては、中国種が広く栽培されています。
チャの葉、花と実の特徴
チャの葉は長楕円形で光沢があり、縁にはギザギザがあります。
若い葉の裏側には、毛茸(もうじ)と呼ばれる細かい白い毛が生えているのが特徴ですが、成長するにつれてこの毛はなくなっていきます。
チャの花は、白い花びらに黄色の雄しべを持つ美しい花です。
その年に伸びた新しい枝に1~3個の花がつき、8月から12月にかけて開花します。翌年の9月頃には実が熟し、その中には1~3個の種子が入っています。
チャの繁殖
チャは、自分自身の花粉では実を結ばない「他殖性」という性質を持っています。
そのため、自然の状態では、異なる個体の花粉によって受粉し、種子を作ります。
現在栽培されている茶の多くは、このような自然交配を繰り返して生まれた雑種と考えられます。
現在では、優れた品種のチャを挿し木などによって増やし、栽培しています。この方法により、親と同じ特徴を持ったチャの木を大量に育成することができます。
チャの樹の寿命
一般的に、チャの木の経済的な寿命は、品種や栽培環境によって異なりますが、およそ30年から50年と言われています。
この期間は、茶葉の品質が安定して収穫できる期間を指します。しかし、茶の木自体は、適切な手入れが行われれば、100年以上生きることもあります。
中国の雲南省には、樹齢3000年を超えると言われる茶の木も存在し、その歴史の長さに驚かされます。
このような古木は、もはや生産性の観点からではなく、その歴史的価値や文化的価値から大切にされていることが多いです。