お茶の旨みは甘みは何からくる?甘み成分を科学的に解説
はじめに
美味しいお茶の味わいは、深い旨みと爽やかな甘みがあってこそ。そんなうまみや甘みの素とはどのような成分なのでしょうか。
テアニンなどのアミノ酸類
お茶の旨みや甘みの素になる主な成分はアミノ酸類です。
アミノ酸類は玉露や抹茶、上級煎茶など、上質なお茶に多く含まれています。
お茶に含まれるアミノ酸の種類は多岐にわたりますが、その中でもテアニン、グルタミン酸、アルギニン、グルタミン、アスパラギン酸、セリンといった6種類が、全体の90%以上を占めています。
テアニンは、お茶に特有のアミノ酸成分です。
昭和25年(1950年)酒戸弥二郎によって玉露から発見され、チャの古い学名”Thea sinesis”にちなんで、"Theanine"と命名されました。
茶を栽培する際に遮光したり、チッソ質肥料を施したりすることで増える性質があります。
長らくお茶の旨みはテアニンの量で決まると考えられてきましたが、最近の研究では、テアニンが旨みだけでなく、甘みにも大きく貢献していることが明らかになりつつあります。
旨みを強めるグルタミン酸
このように、お茶の旨みを高めるアミノ酸類は、過去にはテアニンであるといわれていましたが、最近の研究ではグルタミン酸の影響も大きいことが分かっています。
グルタミン酸は、昆布などの海藻類に多く含まれるうま味成分として知られていますが、そのうま味の強さはテアニンの約30倍にも及びます。
グルタミン酸をナトリウム塩にすると、酸味がなくなり、さらに強い旨みを感じることができるようになります。現在「うまみ調味料」として販売されている多くは、グルタミン酸ナトリウムが主成分です。
旨みは日本特有の味
「うまみ」は、甘味、塩味、酸味、苦味に続く、五番目の基本的な味として科学的に認められた、日本人に馴染み深い独特の味です。
昆布や鰹節など、日本料理でよく使われる食材に多く含まれるグルタミン酸やイノシン酸が、このうま味を生み出す主な成分です。
しかしながら、この「うまみ」という概念は、欧米などではまだ十分に理解されていないのが現状です。英語をはじめとする多くの言語に、うまみを的確に表現する言葉が存在しないため、「umami」という日本語がそのまま国際語として用いられています。
「うまみ」という言葉からは、「美味しい」という感覚的な印象を強く受けますが、科学的には「うま味」は、食品をに含まれる特定の成分やその感覚を指します。
つまり、「うまみ」があるからといって、必ずしもその食品が「美味しい」と感じるわけではありません。
食品の総合的な味覚は、うまみの他にも、甘味、塩味、酸味、苦味、そして香りなどが複雑に絡み合って形成されるからです。
このように、「うまみ」は、日本人の食文化において重要な役割を果たす一方で、世界的に見るとまだ新しい概念であり、その理解は深まりつつあるところです。
旨みの強いお茶
日本の上級緑茶、特に玉露はうまみが強いことが重視されます。
玉露はうまみと甘味が強いお茶ですが、この両方の味要素が一体となったものを感じるのであって、明確にそれぞれの味が区別されているわけではありません。
お茶の旨みを高めるアミノ酸類は、過去にはテアニンであるといわれていましたが、先述した通り、最近の研究ではグルタミン酸の影響も大きいことが分かっています。
ちなみに抹茶では、テアニンやある種の有機酸、およびポリフェノールがグルタミン酸のうまみをさらに強めることが報告されています。
まとめ
いかがでしたか。お茶の奥深いうまみは、単一の成分ではなく、様々なアミノ酸が複雑に調和することで生み出されています。
テアニンがもたらす上品な甘みと、グルタミン酸がもたらす深みのある旨みが、複雑に絡み合うことでお茶の風味を豊かにします。
さらに、栽培方法や製法によって、これらの成分のバランスが変化し、多種多様な味わいの茶葉が生まれるのです。