お茶の風味を深堀り!苦みや渋みの秘密を解き明かす
はじめに
古来より日本人に愛されてきたお茶。
その味わいはお茶の種類によってそれぞれですが、共通して感じられるのが「渋み」という要素でしょう。
一口含んだ時の舌に感じる渋みは、人によっては好き嫌いが分かれるところかもしれません。しかし、この渋みこそが、お茶の奥深さを語る上で欠かせない要素なのです。
お茶に含まれる苦み・渋み成分
お茶の苦みや渋みは、お茶の味を特徴づける重要な要素です。今回はお茶の渋みを作り出す正体について迫ってみましょう。
カテキン
カテキン類は、お茶の苦みや渋みだけでなく、抗酸化作用など、私たちの健康に良い影響を与えることが知られています。
緑茶に含まれるカテキン類は、主にエビカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの4種類に分けられます。これらのカテキンは、さらに遊離型とエステル型に分類されます。
遊離型のカテキンは、苦みは比較的穏やかで、後味に甘みを感じるのが特徴です。
一方、エステル型のカテキンは、強い苦みと渋みをもたらします。このエステル型のカテキンが、お茶に特徴的な爽やかな後味を生み出していると言えるでしょう。
お茶の種類によって異なるカテキン量
カテキン類は、お茶の種類や製法によって含まれる量や種類が異なります。
例えば、普通煎茶はエピガロカテキンガレートが特に豊富です。また、カテキン類は冷たい水には溶け出しにくい性質があるため、冷茶では苦みや渋みが少なく、まろやかな味わいが楽しめます。
このように、お茶の苦みや渋みは、カテキン類の種類や量によって様々です。これらの成分の絶妙なバランスが、私たちが日頃から口にするお茶の個性豊かな風味を作り上げているのです。
カフェイン
一般的にコーヒーの苦味と覚醒効果をもたらす成分として認識されているカフェインですが、実はお茶にも含まれており、その効果はコーヒーと共通する部分があります。
カテキン類がお茶の強い苦みの原因となる一方、カフェインはよりマイルドな苦みをもたらし、お茶の風味を奥深くコクがあるものにしています。
カフェインレスの緑茶は風味が落ちる
興味深いことに、コーヒーをカフェインレスにしても、カテキン類による苦みが残るため、全体の苦みは大きく変わりません。
しかし、お茶からカフェインを除去すると、お茶特有の爽やかな苦みが失われ、風味が大きく変化します。
このことから、お茶の風味、特に心地よい苦みは、カフェインの量と密接に関連していることがわかります。
カフェインは高温の水に溶けやすく、冷たい水には溶け出しにくいという性質を持つため、お茶の抽出温度によって味わいは大きく変化します。
一煎目、二煎目と異なる味わい
同じ茶葉で何度もお茶を淹れると、回数を重ねるごとに味わいが変化します。
最初の煎では、爽やかな苦みや渋みを感じることが多く、口当たりもすっきりとした印象を受けます。
しかし、二煎目、三煎目と回数を重ねるごとに、爽やかさが薄まり、強い苦みが特徴的になります。
これは、お茶に含まれる成分が、時間の経過によって、それぞれ異なる割合で溶け出すためです。
うまみは一煎目が最多、渋み・苦みは二煎目以降が強い
うまみや甘みといった成分は、比較的早く溶け出すため、一煎目が最も多く、煎を重ねるごとに減少していきます。
その一方で、苦みや渋みのもととなるカテキン類は、熱や水への溶け出し方がゆっくりであるため、茶葉に比較的多く残っています。煎を重ねるごとに浸出する割合が高まり、苦みや渋みが際立つのです。