農薬を気にせず飲める?人気が高まる有機栽培茶
はじめに
茶葉の栽培において、病害虫による被害を防ぐために、農薬が使用されることがあります。
農薬には、植物に病気を起こす病原菌を抑制する殺菌剤、害虫を駆除する殺虫剤、雑草の生育を抑制する除草剤など、様々な種類があります。
殺菌剤には、病気の発生を予防するための保護剤と、すでに発生した病気を治療するための治療剤があり、それぞれ特徴が異なります。
厳しい安全基準をクリアした農薬利用
農薬の使用は、農薬取締法をはじめとする様々な法律によって厳しく規制されており、使用時期、使用方法、残留農薬の基準などが定められています。
特に、食品となる茶葉に使用する農薬については、食品衛生法に基づいて、一生毎日食べ続けても健康に影響がないとされる安全なレベルが定められています。
お茶の場合、さらに製品に農薬のにおいが残らないように、収穫前の使用期間が厳しく制限されています。
農薬使用が少ない一番茶
一般的に、一番茶の時期は気温が低く、害虫の発生が少ないため、農薬を使用せずに栽培されることが多いです。
しかし、気象条件や品種によっては、病害虫が発生することもあります。
そのため、茶農家は、茶園の状態を常に注意深く観察し、必要な場合には、安全な範囲内で農薬を使用するなど、適切な防除対策を行っています。
近年では、消費者の安全に対する意識の高まりを受け、農薬の使用量を減らし、より安全な茶葉を生産するための取り組みが活発に行われています。
例えば、天敵を利用した生物的防除や、抵抗性品種の導入など、農薬に頼らない多様な防除方法が研究開発されています。
有機栽培茶とは
食品の安全性への関心が高まる現代において、有機栽培で作られたお茶への注目が集まっています。
有機栽培茶とは、化学肥料や農薬を一切使用せず、自然の力だけで育てられた茶葉で作られたお茶のことです。
有機JAS制度という国の認証制度があり、この制度の厳しい基準をクリアしたお茶だけが「有機栽培茶」と表示することができます。
有機栽培茶の認定条件
具体的には、3年以上化学肥料や農薬を使わずに栽培された茶葉でなければなりません。また、栽培期間中、他の畑から農薬などが飛散してくることも許されません。
有機栽培茶は、「有機栽培茶」「有機茶」「オーガニック茶」などの表示で販売されています。
一方、有機栽培に移行中の茶園で収穫されたお茶は、「転換期間中有機栽培茶」と呼ばれ、まだ有機JASの認証を受けていません。
近年、農薬の使用量を減らしたお茶も注目されていますが、これらは「特別栽培茶」と表示されます。有機栽培茶とは異なり、一定量の農薬の使用が認められている点が特徴です。
数が少なく貴重な有機栽培茶
生産量が限られているため、品揃えが少なかったり、手に入りにくい場合が多い有機栽培茶。
さらには、その他の商品に比べると価格帯が高いことから、飲んだことがないという方がほとんどではないかと思いますが、農薬や化学肥料を使用せず、自然のサイクルの中で育まれた有機栽培茶は、「健康」や「安全」だけではなく、環境配慮や自然との共生という価値観が根底にある大変サステナブルなお茶です。
もしお目にかかる機会があれば、ぜひ一度、有機栽培茶を試してみてはいかがでしょうか。