お茶じゃないの?意外な「茶」の世界
はじめに
友人との別れ際の「またお茶しようね」という約束。
一休みしましょうかという意味での「そろそろお茶にしませんか?」というお誘い。
これらは年齢層関わらず私たちが普段よく口にする言葉です。
しかし、ここで実際に飲んでいるものは「茶」とは限らず、その実態は様々。むしろ本当の日本茶を楽しむ場合は少なく、コーヒーやおしゃれなラテなどもひとくくりに「お茶」を指していることが多いはずです。
そうなると、果たしてこの使い方は間違っているのでしょうか。
緑茶や紅茶、烏龍茶といった、ツバキ科ツバキ属の茶葉から作られるものだけが「本当のお茶」なのでしょうか。
日本では、植物の葉を湯に浸して作った飲み物を一般的に「茶」と呼んでおり、ヨモギ茶や柿の葉茶など、様々な種類の「茶」が存在します。
しかし、厳密に言えば、これらの飲み物は、茶の木の葉から作られる「茶」とは異なるものです。
「茶」の定義
「茶」は、ツバキ科ツバキ属の茶の木の葉や芽を原料として作られた飲み物を指し、日本茶、紅茶、烏龍茶などがこれに当たります。
一方、ヨモギ茶やハーブティーなどは、異なる植物を原料としているため、厳密には「茶」ではありません。
それでは、なぜこれらの飲み物が「茶」と呼ばれるようになったのでしょうか。
それは、お茶が古くから人々に親しまれてきた飲み物であり、そのイメージが他の飲み物にも広がったためと考えられます。
つまり、「お茶」という言葉は、広義には「植物の葉を湯で出した飲み物」という意味で使われるようになったのです。
「茶」と「他の茶葉」
農林水産省や総務省等の国の生産、消費等の統計などでは、茶の木の葉から作られるものを「茶」、それ以外のものを「他の茶葉」と分類しています。
ちなみに玄米茶は、茶葉と玄米を混ぜて作られるため、「他の茶葉」に分類されています。
「茶ではない茶」の魅力
「茶ではない茶」は、それぞれの植物の持つ特徴的な風味や効能を楽しむことができます。
例えば、ヨモギ茶には体を温める効果がありますし、柿の葉茶にはビタミンCが豊富、ハーブティーの爽やかな香りは脳に働きかけて自律神経を整える効果があるなど、様々な健康効果が期待されています。
また、「茶ではない茶」は、季節感を楽しむことができるのも魅力の一つです。
春には桜の葉茶、夏には麦茶、秋には柿の葉茶など、季節の変わり目ごとに様々な種類の「茶」を楽しむことができます。
まとめ
「茶」という言葉は、私たちが思っている以上に広義に使われています。
茶以外の植物の葉、花、実、樹皮、根などから作られたものには、他に麦茶やハーブティー、はと麦茶、鍬のは茶、柿の葉茶、甜茶、どくだみ茶、ヨモギ茶、アロエ茶などがあります。
いずれも「茶ではない茶」ですが、それぞれの植物の個性を楽しめる飲み物といえるでしょう。
どちらが正しい、間違っているということではなく、それぞれの飲み物に異なる魅力があるということです。
「茶」という言葉に縛られず、様々な種類の飲み物を味わうことで、私たちの食生活はもっと楽しく、そして豊かになるのではないでしょうか。