
ペットボトルの緑茶は危険?体に悪いって本当?緑茶と急須で淹れる緑茶の4つの決定的な違い
はじめに
喉が渇いた時、手軽に飲めるペットボトルの緑茶を選ぶ方は多いでしょう。
近年、ペットボトルの緑茶は、製法の進歩により風味豊かなものが数多く登場し、その市場は拡大を続けています。
お茶は今や「自宅で急須で淹れるもの」から、「買って、いつでもどこでも気軽に楽しめるもの」へと、私たちの認識を大きく変えました。
しかし、一部で「ペットボトルの緑茶は体に悪いって本当?「危険って聞いたことがある」といった声も聞かれることがあります。
結論から申し上げると、決してそのようなことはありません。
ただし、急須で淹れる緑茶とペットボトルの緑茶には、見た目こそ似ていても、その成分、風味、健康効果において、実は大きな違いがあるのをご存知でしょうか?
ペットボトルの緑茶と急須で淹れる緑茶の4つの違い
1. 使用される茶葉の違い:鮮度と品質の差
急須で淹れるお茶には、一般的に新芽の柔らかい部分を摘んだ、品質の高い一番茶や二番茶が使われます。これらの茶葉は、香り高く、栄養成分が豊富で、お茶本来の繊細な風味を楽しむことができます。
一方、ペットボトルのお茶には、コストや安定供給の観点から、秋冬番茶といった摘み取り時期が遅い茶葉が使用されています。
これらの茶葉は、一番茶などに比べて古葉や硬葉が使われていることから、風味が穏やかな反面、アミノ酸などの旨み成分は少ない傾向にあります。
2. 抽出方法の違い
急須で淹れるお茶は、茶葉を直接お湯に浸し抽出します。
茶葉それぞれには適した温度と抽出時間があり、これを調節することで、茶葉本来の成分、たとえば旨み成分であるアミノ酸(テアニンなど)や、健康効果の高いカテキン、ビタミンCなどを余すことなく引き出すことができます。
とりわけ急須の底に沈む細かい粉状の茶葉には、特に多くの栄養成分が凝縮されています。
対して、ペットボトルのお茶は、大量生産のために短時間で高温抽出されることが多く、この過程で熱に弱いビタミンCなどの一部の有効成分が失われます。
また、製品の安定性や見た目(透明感)を保つため、茶葉の細かい粒子(沈殿物となる部分)はろ過されて除去されることが一般的です。しかし、この沈殿物こそがお茶の栄養成分を多く含む部分でもあるのです。
3. 添加物の有無
急須で淹れるお茶は、茶葉と水だけで作られるため、基本的に添加物は含まれません。茶葉が持つ自然な風味と色、そして香りを純粋に楽しむことができます。
一方、ペットボトルのお茶は「清涼飲料」に属する「茶系飲料」に分類され、品質の劣化や変色を防ぎ、風味を安定させるために、熱処理によって失われたビタミンCを追加するほか、酸化防止剤(ビタミンCなど)や香料、アミノ酸等が添加されることがあります。
法律上、清涼飲料水の場合には、表示をすれば一定の添加物を加えることが認められています。
ペットボトルのお茶に含まれるビタミンCは、天然のビタミンCとは異なり、科学的に合成された食品添加物であるアスコルビン酸が主です。
これは変色防止や酸化防止剤としての役割が大きく、天然のビタミンCに比べて体内での吸収率が低いという見解もあります。
香料は、製造過程で失われがちな茶葉の香りを補う目的で使われることがあります。
これらの添加物は、長期間の保存や流通に耐えうる製品を作る上で不可欠な技術ですが、お茶本来の味わいとは異なる風味となる場合があります。
4. 栄養成分量の違い
急須で淹れるお茶は、品質の高い茶葉を使用し、じっくりと時間をかけて抽出されるため、旨み、甘み、渋み、苦味のバランスが取れた、奥深く豊かな風味を堪能できます。
特にカテキンやテアニンが豊富に含まれることから、抗酸化作用、血圧抑制、脂肪分解、リラックス効果、集中力アップなど、様々な健康効果が期待できます。
実際に、京都府消費生活科学センターの調査では、急須で淹れた煎茶はペットボトル・缶入り緑茶に比べ、ポリフェノール量が約1.4倍、カテキン量が約2.5倍、カフェインが3倍、アミノ酸が4~5倍、カリウムが2~3倍と、大きな差があることが明らかになっています。
健康効果を目的に緑茶を飲むならば、急須で淹れる緑茶のほうがあらゆる成分を効率的に摂取できるため、おすすめです。
それに対し、ペットボトルのお茶は、苦味や渋みが少ない傾向にあり、より多くの人に好まれるよう、万人受けする味わいに調整されていることが多いです。
手軽さは大きなメリットですが、前述の通り栄養成分の抽出率や添加物の有無に差があるため、健康効果の面では急須で淹れるお茶に一歩劣ると言えるでしょう。
まとめ
ペットボトルのお茶は、手軽にどこでも飲めるという利便性において優れています。忙しい日常や外出先で、気軽に喉を潤したい時には非常に便利です。
しかし、茶葉から急須でじっくりと淹れるお茶は、品質の高い茶葉が持つ本来の豊かな風味を最大限に引き出し、より多くの栄養成分を摂取できるという点で、格別の魅力があります。
特に、健康効果を重視したい方や、お茶本来の奥深い味わいを堪能したい方には、急須で淹れるお茶がおすすめです。
どちらを選ぶかは、個人のライフスタイルや目的に応じて使い分けるのが良いでしょう。「喉が渇いたらペットボトル、心が乾いたら急須」という言葉があるように、それぞれの良さを理解し、シーンに合わせてお茶を選ぶことで、私たちの生活はより豊かになるはずです。