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緑茶でぐっすり!テアニンの効果で睡眠の質を改善|おすすめの緑茶4選
1. はじめに
良い睡眠は、心身の健康を保つ上で不可欠です。
しかし、現代社会では、ストレスや生活習慣の乱れから、十分な睡眠時間を確保できない人や、眠りが浅いと感じる人が増えています。
睡眠不足は、集中力や記憶力の低下、免疫力の低下、生活習慣病のリスクを高めるなど、様々な悪影響をもたらします。
そこで、注目されているのが緑茶です。
緑茶にはカフェインが含まれているため、かえって睡眠に悪影響が生じるのでは?と思われがちなのですが、必ずしもそうではありません。
実は、アミノ酸の一種であるテアニンという成分が含まれており、これらが睡眠の質を改善する効果が期待されています。
今回は、緑茶が睡眠にもたらす効果について、科学的なエビデンスを交えながら詳しく解説していきます。
緑茶の力を借りて、より質の高い睡眠を手に入れましょう。
2. 緑茶特有の睡眠に良い成分「テアニン」とは
夜、なかなか寝付けない「入眠障害」、眠りが浅くて何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」、朝早くに目が覚めてしまう「早朝覚醒」… 睡眠の悩みは人それぞれ。
そんな様々な睡眠の悩みに効果が期待できるのが、緑茶に含まれる「テアニン」です。
テアニンとは、1950年に日本の研究者、酒戸弥二郎氏によって玉露から発見された、お茶特有の成分です。
チャの古い学名”Thea sinensis”にちなんで、”Theanine”と命名されました。アミノ酸の一種で、リラックス効果をもたらすことで知られています。
テアニンを摂取すると、脳波のうちリラックス状態の際に現れるアルファ波が増加し、心身を興奮させる交感神経の働きが抑制されます。
その結果、脳と神経がリラックスし、質の高い睡眠を得やすくなることが分かっています。
3.テアニンが睡眠の質を改善するメカニズム
テアニンが睡眠の質を改善するメカニズムは、まだ完全には解明されていませんが、いくつかの研究によって以下の様な効果が報告されています。
1. リラックス効果
テアニンには、脳内のα波を増加させる効果があります。
α波は、リラックスした状態の時に多く現れる脳波であり、テアニンを摂取することで、緊張や不安を和らげ、リラックス効果をもたらすと考えられています。
2. GABA受容体への作用
テアニンは、脳内のGABA受容体に作用する可能性が示唆されています。
GABAは、神経伝達物質の一種で、興奮を抑制し、リラックス効果をもたらします。テアニンがGABA受容体に作用することで、GABAの働きを促進し、睡眠の質を改善する可能性があります。
3. グルタミン酸受容体への作用
テアニンは、脳内のグルタミン酸受容体に作用する可能性も報告されています。
グルタミン酸は、興奮性の神経伝達物質であり、過剰なグルタミン酸は、睡眠を妨げる可能性があります。
テアニンがグルタミン酸受容体に作用することで、グルタミン酸の働きを調整し、睡眠の質を改善する可能性があります。
4. 緑茶の睡眠の質改善効果に関する研究
テアニンと睡眠の質改善効果に関する研究は数多く行われていますが、特に注目すべきものをいくつかご紹介します。
まず、不眠症に悩む成人の方を対象とした2019年の研究では、就寝前にテアニン200mgを摂取することで、偽薬を摂取したグループと比べて、眠りにつくまでの時間が顕著に短縮されることが明らかになりました。※1
続いて2011年に実施された研究では、健康な成人男性に就寝前にテアニン200mgを摂取させたところ、睡眠効率(寝床で過ごす時間全体に占める、実際に眠っている時間の割合)が大幅に向上し、より深く、質の高い睡眠が得られたことが確認されました。※2
さらに、同研究では、テアニンを摂取したグループの方が、就寝中に目を覚ます「中途覚醒」の時間が減り、起床時のリフレッシュ感が向上したことも報告されています。
このように、複数の研究結果から、テアニンには睡眠の質を多角的に向上させる効果が期待されています。
具体的には、寝つきを早め(睡眠潜時の短縮)、睡眠中の目覚めを減らし(睡眠効率の改善)、より深い眠りへと導く(睡眠の質の改善)といった効果です。
さらに、テアニンは日中の眠気や疲労感を軽減し、ストレスを和らげ、認知機能を高める効果も期待できます。
つまり、テアニンは睡眠の質を高めるだけでなく、日中のパフォーマンス向上にも貢献する可能性を秘めているのです。
睡眠薬とは異なり、日中の活動に影響を与えない点も大きなメリットと言えるでしょう。
5. 続々登場!テアニンの効果を利用した商品
ここ数年、テアニンの睡眠の質改善効果に着目した商品が数多く販売されています。
例えば、森永乳業の商品『睡眠改善』は、睡眠の質を改善する清涼飲料水として人気を集めています。
そのほか、アサヒグループ食品の「ネナイト」やglicoの「エキストラアミノアシッド テアニン」のように、L-テアニンを配合したサプリメント(機能性表示食品)も数多く登場しています。
さらに健康食品以外にも、テアニンを含む入浴剤や、テアニン配合アロマオイルなど、様々な商品が登場しています。
これらの商品は、ドラッグストアやオンラインストアなどで手軽に購入できるため、多くの人がテアニンの効果を実感しやすくなっています。
6. 特に睡眠の質改善効果がある緑茶4選
- 玉露
- 抹茶
- かぶせ茶
- 上級煎茶
テアニンによる睡眠の質改善効果を期待するなら、お茶の種類にもこだわりたいところです。
上に挙げたように、玉露や抹茶、かぶせ茶、上級煎茶は、テアニン含有量が高いためおすすめです。
令和元年度版茶関係資料によると、玉露は100gあたり2,650mg、抹茶は2,260mgものテアニンを含んでいます。一方、一般的な煎茶は1,280mg/100gと、含有量が大きく異なります。
茶葉に含まれるテアニンは、日光に当たるとカテキンに変化してしまうという性質があります。
ところが、玉露やかぶせ茶は「被覆栽培」という、日光を遮る栽培方法で育てられているため、テアニンが豊富に蓄積されるのです。
また、テアニンは、茶葉の新芽に多く含まれています。そのため、一番茶を使った新茶や上級煎茶は、普通煎茶や摘み取り時期が遅い番茶よりもテアニン含有量が多い傾向があります。
睡眠の質向上のためには、テアニンを豊富に含む玉露、抹茶、かぶせ茶、上級煎茶を選びましょう。
7. 効果的な飲み方
ぐっすり眠りたいならば、上でご紹介した、テアニンを豊富に含む緑茶を水出しで飲むのがおすすめです。
上で紹介した4つの緑茶を、熱いお湯ではなく、水で抽出しましょう。
こうすることで、カフェインの抽出量を最大限抑えつつ、テアニンを効率的に摂取することができます。
夕食の後や就寝前に飲むと、リラックス効果が高まり、質の高い睡眠を得やすくなるでしょう。
8. まとめ
いかがでしたか。
このように、緑茶に含まれるテアニンは、リラックス効果や睡眠の質を改善する効果が期待できます。
特に、睡眠時間が短い、眠りが浅い、夜中に目が覚めるなど、睡眠に悩みを抱えている方にとっては、緑茶は手軽に試せる改善策の一つと言えるでしょう。
ただし、淹れ方を間違えると逆効果の可能性もあります。睡眠の質改善を目的に飲む際は、熱湯ではなく、必ず水で抽出して飲むようにしてください。
また、テアニンの効果には個人差があります。緑茶を飲んでも効果を感じられない場合は、他の睡眠改善策も検討してみましょう。
睡眠の質は、日中の活動や健康に大きな影響を与えます。緑茶を上手に取り入れて、より快適な睡眠を手に入れてくださいね。
※1(Hidese S, Ogawa S, Ota M, et al. Effects of L-theanine administration on stress-related symptoms and cognitive functions in healthy adults: a randomized controlled trial. Nutrients. 2019;11(10):2362.)
※2(White DJ, de Klerk S, Woods W, et al. Anti-Stress, Behavioural and Magnetoencephalography Effects of an L-Theanine-Based Nutrient Drink: A Randomised, Double-Blind, Placebo-Controlled, Crossover Trial. Nutrients. 2016;8(1):53.)