煎茶が完成するまで!最後の仕上げ工程
はじめに
茶の製造は「荒茶」までの加工と、その後の「仕上げ茶」までの加工に分かれます。
茶園の近くにある荒茶製造工場で荒茶に加工し、それを農協や仕上げ加工業者が仕入れて、普段私たちが飲んでいるお茶に仕上げます。
この仕上げ加工を経て、ようやく私たちが普段口にするお茶になります。
荒茶を仕上げ加工する
茶畑で摘み取られた新鮮な茶葉は、まずは発酵を防ぐために、すぐに萎凋(いちょう)と呼ばれる蒸しの工程を経て、その後、揉み、乾燥といった工程を繰り返します。
これら3つの工程(蒸し・揉み・乾燥)を経てできたものが「荒茶(あらちゃ)」です。
この「荒茶」には古葉や硬葉、木茎、粉などのほか、形が大きく揃っていないものなどが含まれています。また、製造時期や荒茶製造工場の違いにより、荒茶の水分にもばらつきがあります。
そこで、これらのバラつきを解消し、品質を安定させるために、仕上げ加工が行われます。
形を均一にしたり熱を加えて水分を減らして貯蔵性を高めたり、香ばしい風味を加えたりします。
そのほか、荒茶葉向上によって味や香りの特徴が異なっているため、いくつかの荒茶をブレンドして、色々なグレードのお茶に仕上げます。
皆さんが飲んでいるお茶になるには、こうした仕上げ加工が欠かせません。上級煎茶を作る基本的な工程を紹介しましょう。
仕上げ加工の3工程
仕上げ加工の工程は、荒茶の産地や特徴の違い、火入れの機械の種類によって、先に火入れ(先火)する場合と後で火入れ(後火)する場合があるなど、工程の順序が異なることがあります。
基本となる工程は以下の通りです。
- 火入れ乾燥機(先火)
- 総合仕上げ機
- 木茎分離機など
- 火入れ乾燥機(後火)
- 合組機
1. 選別・整形
水平に往復して動かす平行篩(ふるい)や、水平に旋回させる廻し篩(ふるい)、垂直に上下に動かす振動篩など、様々な動きの篩によって「荒茶」から粉や小さな破片をふるい分けします。
篩の上の大きな葉は小さく切断して形を整え、再び篩に戻されます。これらの作業を一括して1台でできる「総合仕上げ機」も広く使用されています。
さらに、風力によって茶の軽い部分を選別する「唐箕(とうみ)」という選別機や静電気による木茎分離機、色によって分離する色彩式木茎分離機などを使って「本茶」と呼ばれる部分を選別していきます。
2. 火入れ・乾燥
選別されたお茶は形状や大きさが違うため、各部位に分別した後に適切な温度と時間で乾燥火入れをします。
この時、一般的には新茶や上級茶は新鮮な香りを残すために低温で、中級車や番茶などは香ばしさを引き立たせるために高温で火入れをします。
火入れ機の機種には、高温の熱風を使う方式や、回転する鉄製のドラムを直火で温める方式、遠赤外線を使う方式などがあり、販売対象地域の消費者の好みに応じて火入れ香(火香)の強弱が変わってきます。
3. 合組
お茶の味や香りは、品種や荒茶の産地などによってそれぞれ特徴があります。
それらを組み合わせることにより品質が良くなります。何種類かのお茶をブレンドすることを「合組」と呼び、仕上げ茶が完成します。