職人の技が光る!手もみ製茶の全工程を解説!
はじめに
お茶はどのように作られるのでしょうか。
昔のお茶造りは手で行われていました。今回は、お茶作りの基本である手もみ製茶法の工程を紹介します。
手もみ製茶法
1. 蒸熱(蒸し):蒸気の熱で摘み取った生葉の酵素の働きを止める
蒸篭(せいろ)に生葉を淹れ、甑(こしき)の上において蒸します。
蒸気から青臭いにおいが亡くなれば、葉を取り出して冷やします。手もみを始めるため、蒸した葉を焙炉(ほいろ)の上の助炭(じょたん)に移します。
甑(こしき):生葉を蒸すための水蒸気発生装置
焙炉(ほいろ):手もみを行うための台。内部に炭化ガスで火をおこし、助炭を熱する
助炭(じょたん):木製の枠に丈夫な和紙を張ったもので、焙炉の上に乗せ、そのうえで葉を揉みながら加熱する。
2. 葉振るい(露切り):葉の水分を均一に蒸発させる
水分を飛ばすために、葉を両手で持ち上げて助炭の上にふるい落とします。重量が3割ほど減るまで繰り返します。(20-30分)
3. 回転揉み:葉の水分を揉みだしながら、熱で水分を蒸発させる
両手で茶を左右に大きく転がしながら揉みます。
茶をひとまとめにし、体重をかけて前後左右にゆっくり回転させます。(40-50分)
4. 玉解き・中上げ:回転揉みでできた茶の塊をほぐす
回転揉みでできた塊のままでは、この後の工程で茶を乾かすことはできません。茶を助炭から取り出して、かごに広げて覚ましながら、チャの塊を丁寧にほぐします。この間に、助炭の茶渋を綺麗に掃除します。
5. 揉み切り(中揉み):茶をよりながら乾かす
助炭に茶を戻し、仕上げもみの第一段階の操作を行います。
助炭に広がったチャを両手で挟んで拾い上げて、両手を浮かした状態で前後にこすり合わせるように動かし、茶をよりながら乾かします。(60分)
6. 転繰揉み:茶の形状を針状に伸ばす
助炭中央に茶を集めて伸びたチャの向きを揃え、両手で茶を包み込むように上下に挟んで、押し手と受け手でチャとチャを回転させながらこすり合わせ、助炭に戻します。左右の手を入れ替えるように繰り返し、茶を針状に伸ばします。(30分)
7. こくり:茶の形を整え、光沢を出す
チャの向きを揃えて、両手で強く握りしめ、左右の手を交互に屈伸して回転を与えながら強く揉みます。チャの形が整い、光沢が出てきたら完成です。(90分)
8. 乾燥:貯蔵できる水分まで乾かす
60℃くらいの温度の助炭の上に茶を薄く広げて乾かします。