お茶の種類によって味が違うのはなぜ?
はじめに
お茶の味を構成する要素は多岐にわたりますが、お茶ならではの特徴を際立たせるのは、主に苦味、渋み、旨み、甘みの4つの要素と言えるでしょう。
一般的に、苦みや渋みは不快な味と捉えられがちです。
これは、苦いものに毒物が含まれていることが多いという経験から、人間が身につけてきた本能的な回避行動によるものです。
しかし、お茶の苦みは、単なる苦味ではなく、爽快感や後味の甘みをもたらす独特なものです。
お茶が持つ4つの味
この特徴的な苦みは、カテキン類やカフェインといった成分によって生み出されます。
カテキン類は、お茶に渋みと苦みを与え、カフェインはさっぱりとした軽い苦みを演出します。
一方、お茶の旨みや甘みは、アミノ酸類や糖類によって構成されます。
特にグルタミン酸やテアニンなどのアミノ酸は、お茶に深みのある旨みを与え、その特徴的な味わいを形作っています。
つまり、お茶の味とは、苦み、渋み、旨み、甘みの4つの要素が複雑に絡み合い、絶妙なバランスを保つことで生まれるものです。
ベースとなる苦みや渋みに、アミノ酸類や糖類によるうまみと甘味、まろやかさが加わることで、お茶は多種多様な風味を生み出し、お茶の美味しさが完成するのです。
お茶の種類による味の違い
一口にお茶といっても、栽培方法や製造工程の違いによって、実に様々な種類が存在します。
それぞれのお茶は、含まれる成分の割合が異なり、個性豊かな味わいを楽しませてくれます。
煎茶は、日本を代表する緑茶です。
新芽を蒸して乾燥させる製法で作られます。良質な煎茶は、旨み、苦み、渋みのバランスが良く、後味がすっきりとしているのが特徴です。
特に、一番茶と呼ばれる春の一番最初に摘み取られた新芽を原料にした煎茶は、アミノ酸を豊富に含み、旨みが強く、上品な味わいを楽しめます。
一方、二番茶以降の茶葉で作られた煎茶は、アミノ酸が少なく、カテキン類が多いため、苦みや渋みが強くなる傾向があります。
対する玉露は、煎茶よりもさらに高級なお茶です。
新芽を覆って日光を遮り、旨み成分であるアミノ酸を豊富に蓄えた茶葉を原料としています。
そのため、煎茶よりもさらに旨みと甘みが強く、まろやかでとろりとした風味が特徴です。
カテキン類が比較的少ないため、苦みや渋みは少なく、濃厚な旨みを楽しむことができます。
番茶は、煎茶や玉露に比べて、硬くなった茎や茶葉を原料として作られます。アミノ酸、カテキン、カフェインのいずれも少ないため、味は淡泊です。
番茶を高温で焙煎したほうじ茶は、さらに味成分が少なくなりますが、その代わり焙煎による香ばしい味と香りが付きます。
なぜ、上級のお茶は苦みが少ないのか?
上級のお茶、特に煎茶や玉露は、先述したように、新芽を使っているため、茶葉に含まれる苦みや渋み成分が少ない特徴があります。
とはいえ、もちろんゼロということではなく、少ないながらもこれらの成分を含んでいます。
しかしながら、なぜかあまり苦みを感じないのは、お茶の淹れ方と深い関係があります。
一般的に、上級のお茶は、低温のお湯でゆっくりと時間をかけて淹れるのが基本です。
低温のお湯では、苦みや渋みの成分が溶け出しにくいため、まろやかな味わいを引き出すことができるのです。
まとめ
いかがでしたか。お茶の種類によって、含まれる成分の割合が異なり、味わいが大きく異なります。
最も一般的な煎茶は、旨み、苦み、渋みのバランスが良く、玉露は濃厚な旨み・甘みととろりとした口当たりが特徴です。番茶やほうじ茶は、味が淡泊で香ばしさを楽しむことができます。
お茶を選ぶ際は、ご自分の好みに合わせて、様々な種類のお茶を試してみてはいかがでしょうか。