煎茶って何?緑茶と何が違うの?|意外と知らない煎茶の定義
「煎茶」と「緑茶」、あなたはどこまで知っていますか?
日常的に飲まれている緑茶ですが、「煎茶」と「緑茶」の違いを明確に説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか。
緑茶とは、茶葉を発酵させずに作られたお茶の総称です。
煎茶、ほうじ茶、玄米茶、抹茶、玉露などは、実はすべて緑茶に含まれます。
煎茶は緑茶の一種
つまり、緑茶は大きなカテゴリーで、煎茶はその中のひとつという関係性になります。
決して、緑色をしているお茶のみを「緑茶」と呼ぶわけじゃないんですね。
少し話がずれてしまいますが、実はあのジャスミン茶だって緑茶の一種なのです。
ジャスミンの葉から作られていると思われがちですが、多くは緑茶の茶葉に茉莉花やジャスミンの花の香りをつけたものです。
それほどまでに「緑茶」の種類は多岐にわたるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
緑茶のうち7割は「煎茶」
そんな数多ある緑茶の中でも「煎茶」は最も一般的な種類です。
茶葉を蒸して作られ、すっきりとした味わいが特徴で、日光をたっぷり浴びて育った茶葉を使うため、旨味と香りがバランスよく楽しむことができます。
多くの方が幼いころから親しんできて、「お茶」と聞いて真っ先に思い浮かべる明るい緑色をしたお茶。あれはすなわち「普通煎茶」と呼ばれる種類になります。
実際に煎茶は、日本で生産されている緑茶のうち7割を占めています。
江戸時代に確立された「煎茶」
かつては煎じて煮出して飲むお茶のことを「煎茶」と呼んでいました。
しかし、江戸時代になり、宇治の永谷宗円によって、日本独自の「青製煎茶製法」が確立されました。
「青製煎茶製法」とは、茶葉の中でも新芽だけを摘み取り、摘んだ茶葉を蒸した後、数段階にわたって揉みながら乾燥させる製法のことです。
この製法で作られたお茶を、現在私たちは「煎茶」と呼んでいます。
それまでの茶は、新しい葉や古い葉、固くなった芽なども混ざった茶葉を、蒸すか茹でるかしてから乾燥させて仕上げる製法が主流であり、色も赤黒く風味もあまりよくなかったといわれています。
宗円が考案した、硬葉や老葉の混じらない良い生葉を蒸した後、手揉みを行い、さらに焙炉で乾燥させるという新しい製法によって、茶葉は鮮やかな緑色となり、香り高く、旨味のある煎茶が誕生しました。
宗円が15年もの時間をかけて開発したこの「青製煎茶製法」は、煎茶の品質を飛躍的に向上させ、江戸時代において庶民の間にお茶が広まるきっかけとなりました。