お茶の水色が違うのはなぜ?淹れ方や製法でも変わる色の秘密
はじめに
お茶を淹れたときの浸出液の色を「水色」といいます。
一口に緑茶といっても、鮮やかな黄緑色から深い緑色、そして少し褐色を帯びたものまで、その色合いは多岐にわたります。
お茶の水色が決まる主な要因は、茶葉に含まれる色素の種類とその変化の仕方です。水色はお茶の良しあしを見るうえで重要な要素の一つです。
お茶の色を決定づける成分
お茶の葉には、緑色のクロロフィルや、黄色のカロテノイド、そしてタンニンと呼ばれるポリフェノールの一種が含まれています。これらの色素のバランスが、お茶の色合いを決定します。
煎茶の水色は明るい黄緑色で澄んでいて、濃度を感じさせるものが良いとされています。
その水色は黄色は黄色色素であるフラボノールやフラボンの配糖体、緑色はクロロフィルの懸濁によるものです。
同じ煎茶でも、深蒸し煎茶の水色は鮮やかな濃い緑色をしていますが、これはお茶の細かい粉末が多く懸濁しているため、濃い緑色に見えるのです。
お茶によっては赤みがかった水色になることもあります。
お茶の重要な成分であるカテキン類やクロロフィルは、熱や光、空気に触れることによって酸化したり、ほかの成分と化学反応を起こしたりします。
そうなると、クロロフィルは褐色に変化し、いわゆるお茶の赤みの原因になります。
淹れ方による水色の違い
お茶の水色は、茶葉の種類や品質だけでなく、淹れ方によっても大きく変化します。
水温は、お茶の成分の抽出に大きく影響します。
高温のお湯で淹れると、 茶葉の細胞壁が壊れやすくなることから、クロロフィルがより強く出やすくなり、水色は濃い緑色になります。
一方、低温のお湯で淹れると、茶葉の細胞壁がゆっくりと開くため、水色は淡い緑色になります。
また、抽出時間も、水色に影響を与えます。
抽出時間を長くすると、より多くの成分が溶け出し、水色は濃くなりますが、えぐみや苦味も強くなる可能性があります。
反対に、短時間で抽出すると、あっさりとした味わいのお茶になります。
製法による水色の違い
また、発酵の程度や製茶方法の違いもお茶の水色に影響を与えます。
緑茶は発酵させないため緑色の水色ですが、紅茶は発酵を進めるため、茶葉の中の成分が変化し、赤褐色の水色になります。
烏龍茶は緑茶と紅茶の中間の発酵度で、品種や製法によって水色が様々です。
さらに、焙煎の度合いも水色に影響します。
ほうじ茶は番茶などを高温で焙煎したものであるため、カテキン類の酸化物をはじめとした褐色物質が多くなり、水色が褐色になります。
ちなみに、良い紅茶の水色は美しい赤褐色です。烏龍茶は発酵度の低いものは緑茶に近い黄色で、発酵度の高いものは紅茶に近い赤色をしています。
まとめ
煎茶の場合は、赤みがあると水色が悪いと判断されます。
しかし、釜炒り茶や番茶は、煎茶製造工程や仕上げ段階でカテキン類が多少酸化されるため、水色がやや赤みを帯びていても特段問題はありません。
このように、お茶の水色は、茶葉の種類、製法、発酵の度合い、焙煎の度合いなど、様々な要因が組み合わさって決まります。それぞれのお茶が持つ独特の水色は、そのお茶の個性であり、味わいを想像させてくれるものです。