なぜ日本茶は「やぶきた」が主流?その秘密を解説
はじめに
日本の茶園で最も多く栽培されている品種は「やぶきた」です。その割合は、全国の茶園面積の70%以上を占めるほど圧倒的です。
なぜ「やぶきた」がこれほどまでに普及したのか、その理由は歴史的背景、品種の特徴、そして日本の気候風土との関係性など、様々な要因が複合的に作用した結果と言えるでしょう。
やぶきたばかりがなぜ多い?
「やぶきた」が広く栽培されるようになったのは、1960年代以降です。
当時は、凍霜害を防ぐ技術が確立されていなかったため、凍霜害に強く、栽培しやすい品種が求められていました。
「やぶきた」は、早春に芽を出すため凍霜害を受けにくく、収量も多いため、茶農家にとって非常に魅力的な品種でした。
さらに、煎茶として加工した場合に、旨味と香りがバランス良く、安定した品質のお茶が得られるという点も高く評価されました。
茶の木は、一度植え付けると30年以上植え替えを行わないため、一度品種を選定すると、その品種が長く栽培される傾向にあります。
市場で評価が高く、栽培しやすい「やぶきた」は、多くの茶農家に選ばれ、日本中の茶園に広がっていきました。
やぶきたの地位と未来
しかし、近年では、消費者の多様化するニーズに応えるため、様々な品種の茶葉が注目されるようになっています。
加えて、現在、日本の茶園の多くは、樹齢40年以上の古木を抱えています。
これからは、消費者の多様な嗜好に対応するため、従来の「やぶきた」一辺倒ではなく、品種の多様化が進むことが予想されます。
そうはいっても「やぶきた」が、日本の茶業界に大きな影響を与えた功績は大きく、現在もその地位は揺るぎません。それと同時に、日本茶の多様性の象徴でもあります。
やぶきたが日本の茶産業に与えた影響
日本中どこを見渡しても「やぶきた」という共通の基盤だったからこそ、各産地・茶園は、より良い茶を追求し、栽培方法や製法を不断に改良してきました。
その土地ならではの特徴を活かした個性豊かな茶を生み出すことに競い合ってきたのです。
今後様々な品種が生み出されるでしょうが、「やぶきた」は、変わらず日本の茶文化を牽引し、新たな可能性を切り開いていくでしょう。