カテキンだけじゃない!お茶に含まれる健康に良い3つの成分とは?
はじめに
お茶には、私たちの健康を支える多様な成分が豊富に含まれています。
これらの成分は単独で働くのではなく、互いに作用し合い、相乗効果を発揮することで、私たちの体に様々な良い影響をもたらします。
今回は、そんなお茶の健康効果を支える代表的な成分3つに焦点を当て、詳しく解説していきます。
健康成分の代表であるカテキン
1832年、古くから薬として利用されてきたマメ科の植物、アカシア・カテキューから抽出された結晶に「カテキン」という名が初めて与えられました。
その後、1929年以降、辻村みちよ博士をはじめとする研究者たちによって、緑茶から様々な種類のカテキンが次々と発見され、これがお茶特有の成分であることが明らかになりました。
カテキン類は、お茶の苦みや渋みをもたらす主成分として知られており、お茶に含まれる成分の中でも最も豊富に存在します。
近年では、その多様な生理作用から、健康維持に役立つ成分として注目度が高まっています。
カテキンの健康作用
1. 抗酸化作用
カテキン類の健康効果の中で、特に強力なのは抗酸化作用です。
この作用により、活性酸素が人体の組織を攻撃するのを食い止めて、病気に発展することを防いでくれます。
その抗酸化力はビタミンCやビタミンEの数倍から数十倍にもなるといわれています。この抗酸化作用を基本として、カテキン類には多数の優れた作用があることが明らかになっています。
このほかにも、カテキン類には殺菌作用や消臭作用、解毒作用など、人体にとって重要な効果があることも分かっています。
2. 殺菌作用
抗酸化作用以外にも、カテキン類には多数の優れた作用があることが明らかになっています。
例えば、殺菌作用によって口臭や虫歯予防に役立ち、消臭作用によって体臭を抑える効果など、人体にとって重要な効果があることも分かっています。
さらに、体内に蓄積された有害物質を解毒する働きも持つため、デトックス効果も期待できます。
リラックス効果を持つテアニン
テアニンは、1950年に日本の研究者、坂戸弥二郎博士によって発見された、お茶に特有のアミノ酸です。コーヒーやココアには含まれない、お茶の旨味成分の主役と言えるでしょう。
高級茶ほど豊富に含まれており、まろやかな甘みとコクを生み出すだけでなく、心身をリラックスさせる効果も期待できます。
忙しい現代人にとって、テアニンが持つリラックス効果は、穏やかな日々を送るためのヒントになるかもしれません。
お茶を飲むとほっとする理由
心地よい音楽を聴いたり、美味しいお茶を味わったりなど、私たちが心穏やかに過ごしているとき、私たちの脳にはアルファ波と呼ばれるリラックス状態を示す波を出しており、心身が穏やかで落ち着いている状態にあることを示しています。
お茶に含まれるアミノ酸の一種であるテアニンは、脳のα波を増幅させる作用を持つことが知られています。
テアニンを含む飲料を摂取すると、わずか30分という短時間で脳波に変化が生じ、リラックス状態を示すα波が顕著に増加するという研究結果が報告されています。
a波が出ているときは、リラックスしながらも集中力もあるという、とても心地よい状態にあります。
お茶には、心身を活気づけるカフェインと、同時にリラックス効果をもたらすテアニンという成分がバランス良く含まれています。適度の緊張を保ちつつリラックスしたいときには、最高の飲み物といえるでしょう。
特に、テアニンの働きによって、リラックスした状態にあると、全身の筋肉の緊張がほぐれ、毛細血管が拡張して血行が良くなります。手足の冷えも解消するので、冷え性でお悩みの方にもおすすめです。
お茶が愛飲されてきた原点、カフェインの効能
「ダルマさん」の愛称で親しまれる、インド生まれで中国禅の開祖といわれる達磨大師(5世紀末期~6世紀前半)は、座禅中に眠気を覚ますために茶を噛んだという逸話が残っています。
このエピソードからもわかるように、お茶が愛飲されてきた歴史は、カフェインがもたらす中枢神経興奮作用と深く結びついていると言えるでしょう。
1. 中枢神経を刺激し、集中力をアップ
カフェインは19世紀初頭にドイツのルンゲによりコーヒーから抽出されたのち、1827年にはお茶からも抽出され、その生理作用が詳しく研究されるようになりました。
お茶に含まれるカフェインは、私たちの体を覚醒させ、集中力を高める効果があるとされています。
カフェインはお茶の爽やかな苦みを醸し出す、なくてはならない重要な成分です。
2. 30分以降がピーク!カフェインの効果
お茶の風味を特徴づけるカフェインは、中枢神経系を刺激して覚醒作用をもたらすだけでなく、心臓の収縮力を高め、腎臓の働きを促すことで利尿作用を発揮します。
さらに、胃酸分泌を促進することで消化を助け、体脂肪の分解を促進するなど、私たちの健康維持に貢献する多岐にわたる生理作用が知られています。
お茶に含まれるカフェインは、空腹時であれば体内に素早く吸収され、わずか30分から1時間ほどで血液中の濃度がピークに達します。
この即効性こそが、古くからお茶が眠気を覚ます飲み物として親しまれてきた理由と言えるでしょう。
そのため、就寝前にカフェインを摂取すると、なかなか寝付けないという経験をする方も多いのです。
カフェインとテアニンの絶妙なバランス
このように、カフェインは中枢神経系を刺激し、覚醒作用を促します。
一方のテアニンは脳波をα波優位の状態にし、リラックス効果をもたらします。
お茶にこれらの相反する成分が共存することで、カフェインの覚醒作用が過度に現れるのを防ぎ、リラックスしているけれど集中力が高まる、というような穏やかな覚醒状態をもたらすのです。