抹茶好き必見!抹茶の原料 碾茶(てんちゃ)の製法を詳しく解説
はじめに
深緑色が美しい抹茶。その奥深い味わいは、古くから日本人に愛されてきましたが、近年世界中でブームとなっており、その人気は年々高まっています。
一口飲むたびに広がる豊かな風味と、心身に安らぎをもたらすその緑色は、一体どのようにして生まれるのでしょうか?
今回は、抹茶が、茶畑から私たちの手元へと至るまでの工程を詳しくご紹介します。
抹茶の原料「碾茶」の作り方
1. 茶葉の栽培:覆下茶園で育む
抹茶の原料となる茶葉は、通常の緑茶とは異なる栽培方法がとられます。
まず、茶の木を「被覆栽培」と呼ばれる遮光された環境で育てます。日光を遮ることで、茶葉は旨味成分であるアミノ酸を豊富に蓄え、独特の風味と鮮やかな緑色を身につけます。
2. 摘採:新芽を丁寧に摘み取る
茶葉の成長具合を見ながら、新芽の時期に手摘みで丁寧に摘み取ります。この摘み取りのタイミングが、抹茶の品質を大きく左右します。
3. 蒸す:蒸すことで酵素の動きを止める
摘み取った茶葉は、すぐに10-20秒蒸気にあてて高温で加熱します。
この工程によって、茶葉に含まれる酵素の働きが停止し、酸化を防ぎ、鮮やかな緑色と風味を保つことができます。蒸し時間を短いことで、さらに葉の色が鮮やかになり、覆い香も引き立ちます。
4. 冷却:茶葉の熱を冷却
冷却散茶機で、茶葉を5-6メートルの高さまで吹き上げては落とす動きを繰り返します。茶葉を冷却しながら露を除去し、くっついていた葉を一枚一枚ばらばらにしていきます。
5. 荒乾燥:茶葉の水分を乾燥させる
蒸された茶葉をゆっくりと乾燥させます。
具体的には内部が三段のベルトコンベア一式になった全長10メートル以上の乾燥炉で、茶葉を乾燥させていきます。
下段で荒乾燥させた茶葉を風で上段に送り、次に中段を通過させて本乾燥させていきます。この三段階の乾燥工程で、茶葉の水分がじっくりと飛んでいき、旨味が凝縮されます。
6. 選別
乾燥した茶葉を裁断しながら、茶葉と茎を選別します。また、ふるいにかけて選別し、不純物を取り除きます。
碾茶の仕上げ工程では、抹茶の品質を低下させる硬い葉や茎などを取り除き、茶臼等で挽きやすい大きさ(5mm程度)に細かくし、低い温度で時間をかけて乾かします。碾茶ではこの仕上げ工程を「仕立て」と呼びます。
7. 仕上げ乾燥:保存に適した水分量に仕上げる
乾燥しやすい葉の部分と、乾燥しにくい茎の部分をそれぞれの適切な温度で乾燥させます。ここでできたものが碾茶の荒茶です。
8. 袋詰め
碾茶の荒茶を袋詰めして一定期間保存、熟成させます。これをさらに選別、仕上げ火入れをして、碾茶の仕上げ茶となります。
9. 石臼で挽いて抹茶に
碾茶の仕上げ茶を石臼でゆっくりと時間をかけて挽いていきます。
温度と湿度を一定に保った室内で、一定の速さで回転する石臼で少しずつ挽きますが、石臼一台の粉砕能力は1時間当たり40-50グラムほどです。
この工程で、茶葉が細かい粉末状になり、抹茶になります。ゆっくりと一定の速さで挽くと石臼のちょうどよい摩擦熱が生まれ、抹茶の風味が引き立つとされています。その後、ふるいにかけて粒度を整えれば、抹茶の完成です。
まとめ
いかがでしたか。今回は抹茶の原料である碾茶の製造過程についてご紹介しました。煎茶との大きな違いは揉み作業がない代わりに、石臼で丁寧に挽く工程があるということです。
一つ一つの工程に込められた作り手の想いと手間ひまを知ることで、なにげなく口にしていたいつもの抹茶が、より一層味わい深く感じられるはずです。