お茶に糖分は含まれる?甘くないのに意外な真実
はじめに
一般的に、お茶は低カロリーで、糖質をほとんど含まない飲み物として知られています。
しかし、厳密に言えば、お茶にはショ糖や果糖、ブドウ糖、アラビノシルイノシトールなど、様々な糖質が含まれています。
お茶に含まれる糖分とは
お茶に含まれる糖分の大部分は、単糖類であるグルコースと果糖です。
これらは、植物が光合成によって作り出す最も基本的な糖であり、お茶の葉の中でもごく少量ですが存在しています。
そのほか、二糖類であるスクロース(ショ糖)を含むものもあります。
スクロースは、グルコースと果糖が結合したもので、私たちが普段砂糖として口にする糖と同じものです。
しかし、お茶に含まれるスクロースの量は非常に少なく、甘味を感じるほどではありません。
古い茶葉ほど糖質が多い
新芽のほうが柔らかくて甘い、というイメージもありますが、実は茶葉に含まれる糖類は、新芽の成長に従って増加します。
減少するのはアラビノシルイノシトールぐらいで、ショ糖や果糖、ブドウ糖は葉が成長すればするほど増えていきます。
新芽を用いた玉露などの高級茶のほうが甘みを強く感じる傾向がありますが、実際は若いチャの芽を使った高級茶よりも、硬くなった葉を使った番茶のほうが糖類を多く含んでいるのです。
チャに含まれる糖分は「甘み」が弱い
これについては、チャに含まれる糖類は含有量が少なくて味も弱いので、私たちが口にした際に「甘み」として認識できるほど影響が大きくないことが原因です。
玉露や高級茶の甘みは、一般的に糖分によるものというよりも、アミノ酸の一種であるテアニンと、以下で紹介するペクチンによる効果が大きいと考えられています。
甘みを強調する成分「ペクチン」
一方、成分自体に特有の味はないものの、うまみや甘みを強調する物質があります。それは「ペクチン」です。
お茶にも、他の果物や野菜と同様にペクチンが含まれています。ペクチンとは、植物細胞をつなぎ合わせる役割を持つ天然の多糖類の一種で、柑橘類の皮に多く含まれています。
水に溶けるとゼリー状になるので、ジャムやゼリーなど、食品に粘り気や固さを出すために利用されることが多い物質です。
近年このペクチンがお茶の旨みや甘みを高めていることが分かってきました。
未熟で渋い果物が熟すにつれてどんどん甘くなるのは、ペクチンが増加し、果物の渋みを抑える働きがあるためです。
お茶においても同様の現象が起きており、ペクチンが茶葉の渋みを抑えることで、旨みと甘みがより強く感じられるようになるのです。
玉露には甘味成分が豊富
特に、玉露には水溶性ペクチンが豊富に含まれており、その濃厚な旨みと甘みは、ペクチンによる効果によるところが大きいと言えます。
番茶も、玉露に次いで水溶性ペクチンの含有量が多く、ペクチンの働きによって、より豊かな味わいが生まれています。