新茶が美味しい理由を科学的に徹底解説!一番茶の秘密に迫る
はじめに
新茶の季節になると、多くの人がその爽やかな香りと上品な甘みに魅了されます。なぜ新茶はこれほどまでに美味しく、他の季節のお茶とは違うのでしょうか?
その秘密は、摘採時期による茶葉の成分変化と関係があります。
お茶の品質は摘採する時期によって差が出ます。若く柔らかいうちに摘んだ新芽と、大きく成長してから摘んだ新芽とでは、葉に含まれる成分に違いがあるのです。
一番茶が美味しいといわれる二つの理由
味についても栄養価についても、最も良質なのは一番茶で、二番茶、三番茶と摘採が進むにつれて品質は低くなる傾向があるといわれています。
もちろん、個人の好みによる部分はあるとしても、一番茶が最も美味しいと言われるのは、多くの場合、事実です。それはなぜなのでしょうか。
それには、主に以下の二つの理由が挙げられます。
1. 茶葉に含まれる成分
茶葉は成長するにつれて、含まれている成分が変化します。
冬の間、茶の木は休眠状態に入ります。一番茶は長い休眠を経てから芽を出すので、二番茶や三番茶よりもうまみのもとであるアミノ酸類を多く含有しています。
さらに一番茶は、渋みや苦みの成分であるカテキン類やタンニンが、二番茶、三番茶よりも20-30%少ないのです。
このように、一番茶にはたっぷりと蓄えられた栄養分が詰まっており、渋みや苦みが少ない一方で、旨みが凝縮されたまろやかな味わいをしています。
一番茶が数カ月におよぶ長い休眠状態を経て萌芽するのに対し、二・三番茶は摘採までの生育期間が短いため、うまみ成分であるアミノ酸類の含有率が高まりません。
重ねて、一番茶より日の長い時期に育つので、光の作用により作られるタンニン(カテキン類)が多くなります。
2. 味の溶出量
新茶のほうがお湯に溶けだす味わい成分が多いことが分かっています。
まだ若い新葉は、ふっくらと柔らかく、薄みがありますが、成長が進むにつれて、茶葉の食物繊維が増えてどんどん厚みがあるしっかりとした葉に変わっていきます。繊維成分が増えるということはつまり、葉が固くなるということです。
製茶工程では茶葉を揉むことにより、葉の表面組織に傷をつけ、味を溶出させるのですが、硬くなった葉は組織が壊れにくくなるため、味や成分が溶け出しにくくなります。
つまり、茶葉をお湯で浸出させた際も、二・三番茶のほうが、一番茶よりも味の出が悪く、風味も味わいも多少劣ってしまうというわけです。別記事でご紹介した、みる芽での摘採が推奨されていることもこうした理由からです。※みる芽:柔らかい新芽のこと
まとめ
いかがでしたか。もちろん、人それぞれの好みによる部分もありますが、上記のような理由から一番茶の品質は最も良いといわれています。
うまみと甘みがあるまろやかな味わいの一番茶を好む方もいれば、一番茶に比べると苦みや渋みが強くなる傾向がありますが、その分、コクや深みのある味わいが楽しめる二番茶、三番茶を好む方もいるでしょう。
摘採時期も意識して様々な種類のお茶を試すことで、ぜひ皆さんがお気に入りの一杯を見つけてみてください。