知覧茶の魅力深堀り!鹿児島が生んだ極上の緑茶の世界
はじめに
知覧茶は、鹿児島県南九州市知覧町で生産される日本茶の一種です。
かつては「知覧茶」「頴娃茶」「川辺茶」とそれぞれ独立した茶ブランドだったものを統一。市町村単位の生産量で日本1位となりました。茶品評会では「産地賞」「農林水産大臣賞」なども度々受賞し、品質の高さも認められています。
知覧茶の歴史
知覧における茶の栽培は、鎌倉時代に平家の落人が北部山間地の手蓑にて茶栽培を始めたという伝承があり、古くから茶の文化が存在していたことがうかがえます。しかし、本格的な栽培が始まったのは、明治時代になってからです。
明治元年に島津氏の傍流でこの地を治めていた、佐多氏から払い下げられた山野を、明治5年に村民が開墾したのが始まりとされています。その後、昭和初期以降は村をあげての茶生産拡大が進められ、知覧茶は鹿児島県を代表するお茶として発展してきました。
知覧茶の特徴
1. 品種豊かな知覧茶
九州地方最南端部に位置する南九州市は、桜島の火山灰によって作られた水はけの良い肥沃な土壌と温暖な気候を生かし、他産地に比べて多くの品種のお茶を栽培しています。
最も多く栽培されているのはゆたかみどりです。南九州市の温暖な気候に適した品種で、濃緑色で優しい甘みとまろやかで濃厚な味わいが特徴です。
そのほか、一般的なやぶきたやあさつゆ、あさのか、おくみどりなど様々な品種が栽培されていますが、多くの品種がありながらも、それぞれの持つ風味や旨味を充分に引き出すことができているのは、茶の栽培に適した南九州の風土と、400年弱にわたり培ってきた技術力の高さであるといえるでしょう。
2. 合組が一般的
このように、多様な栽培品種を育てる南九州市では、単一品種のみの場合もありますが、いくつかの茶葉をブレンドした「ブレンド茶」が一般的です。選りすぐった様々な茶葉を掛け合わせて、さらに美味しい味わいの知覧茶を創り出しています。
商品ごとにブレンドが違うことに加え、配合割合や火入れの具合も製茶会社によって異なるので、知覧茶の中でもいろいろな味や風味を楽しむことができます。
3. うまみを引き出す被覆栽培
知覧茶の一番茶のほとんどは、「かぶせ茶」です。
かぶせ茶とは、ワラや寒冷紗などで1週間前後茶園を覆い(被覆栽培)、日光をさえぎって育てたお茶のことを呼びます。
陽の光をあてずに新芽を育てるため、茶葉の緑色が濃くなり、渋みが少なく旨みを多く含みます。これにより、玉露のまろやかさと煎茶の爽やかな渋みを併せ持つ、大変バランスの取れた味わいとなっているのです。
4. 味わいが濃厚になる深蒸し茶が多い
知覧茶は、深蒸し茶が一般的です。深蒸し茶とは、その名の通り、深く蒸しているお茶のこと。通常の煎茶は30秒ほどの蒸し時間ですが、60~180秒の蒸し時間を取ります。長時間じっくり蒸すことにより、茶葉の持つ旨味成分が壊れにくくなり、まろやかな甘みとコクが引き出されています。
少し粉っぽい、細かい茶葉が多いですが、それが深蒸し茶の特徴でもあり、細かい分、抽出した時の水色は濃い緑色が美しく、お茶の持っている栄養成分も抽出されやすいということにもなります。
まとめ
いかがでしたか。全国茶品評会煎茶部門で2年連続日本一など、全国的に高い評価を得ている知覧茶。
日本一の生産量を誇るブランド茶となった知覧茶は、有機栽培にも積極的に取り組むなど、茶業関係者が一丸となってよりよいお茶づくりに励んでいます。
甘味が強く、クセがないためどんな人でも飲みやすいと言われる知覧茶。まだ飲んだことがない方は是非一度味わってみてください。