高血圧対策に海苔は効果あり?血圧を下げる驚きの成分とは
はじめに
海苔は、古くから日本人の食卓に欠かせない食材です。近年では、手軽に栄養補給できるスーパーフードとしても注目されています。
海苔には、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれていますが、中でも近年注目されているのが血圧降下効果です。
そもそも血圧とは
血圧とは、心臓が送り出す血液が血管壁に与える圧力のことを指します。
心臓が収縮して血液を送り出すと、血管壁に圧力がかかり、これが収縮期血圧となります。その後、心臓が拡張して血液をため込むと、血管壁にかかる圧力が低下し、これが拡張期血圧となります。よく上がいくつ下がいくつという言い方をしますが、前者が上、後者が下と呼ばれているものです。
正常な血圧は、収縮期血圧が130mmHg未満、拡張期血圧が85mmHg未満とされています。
血圧が高くなる原因
血圧が高くなる原因は、大きく分けて2つあります。
ひとつには遺伝的な要因や生活習慣などが原因で引き起こされている、本態性(原発性)高血圧と呼ばれるものです。血圧が高くなる疾患がないにもかかわらず、高血圧がみられる状態です。
はっきりとはわかっていませんが、遺伝が関係している場合もあれば、塩分の過剰摂取や肥満、運動不足や喫煙などの生活習慣が原因で発症していると考えられています。日本人の高血圧患者のうち、85-90%の方がこの原発性高血圧にあたるといわれています。
他方が生活習慣を原因とする高血圧です。何らかの原因があることが明白なので二次性高血圧と呼ばれています。
ホルモン分泌異常などの基礎疾患や薬の副作用などを原因として、高血圧が引き起こされている状態です。基礎疾患が緩解することや薬の服用中止など、おおもとの原因が取り除かれることで、血圧も下がります。
生活習慣による高血圧
以下では、血圧をあげてしまう代表的な生活習慣について紹介します。
- 塩分の摂りすぎ:塩分の過剰摂取は、体内に水分を蓄積させ、血圧を上昇させます。
- 肥満:肥満になると、血液量が増え、心臓に負担がかかり、血圧が上昇します。
- 運動不足:運動不足は、血管を硬くし、血圧を上昇させます。
- ストレス:ストレスは、血管を収縮させ、血圧を上昇させます。
- 睡眠不足:睡眠不足は、自律神経のバランスを乱し、血圧を上昇させます。
海苔の血圧降下効果
海苔には、血圧降下効果をもたらすいくつかの成分が含まれています。
1. カリウム
血液中の塩分濃度が上がると、血管内の水分量が増えることで、血圧が高くなります。カリウムには体液のPHバランスを調節する機能があり、摂り過ぎてしまった塩分(ナトリウム)を尿として排出することで、血圧を下げる効果があります。
2. タウリン
血圧の上昇には、カテコールアミンという神経伝達物質が関与していることが分かっていますが、タウリンは、このカテコールアミンの放出を抑制することが分かっています。体を作っている細胞を正常な状態に保つ作用があります。そのほか、血管の弾力を高める働きがあることも分かっており、血管を拡張することで血圧を下げる効果があります。
3. アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害ペプチド
ペプチドには、血圧を上げる指示をするアンジオテンシン変換酵素を作りにくくすることで、血圧を上げにくくすると報告されています。ペプチドは元となるたんぱく質や食品の種類にちなんだ名前が付けられており、ゴマペプチド、海苔ペプチドなどと呼ばれます。
海苔に含まれているこれらの成分が相乗的に働くことで、海苔は血圧を下げる効果が期待できます。
臨床研究も多数 海苔の高血圧予防効果
海苔の血圧降下効果について、数多くの臨床研究が行われており、その多くの研究結果から、海苔は高血圧患者の血圧を下げる効果があることが示唆されています。
特にペプチドについての研究は近年活発で多くの研究がなされています。ペプチドを含む商品のなかには、すでに「特定保健用食品(トクホ)」として消費者庁に特定の保健の用途を表示することを認められているものもあります。
海苔の摂取量と注意点
海苔の血圧降下効果を期待するにはどの程度摂取すればよいのか、明確な基準は定められていませんが、昔から、海苔は「一日二枚で医者いらず」と言われています。このことからも1日2枚(全型)、6g程度を継続的に摂取すれば多くの栄養を確保できると考えられます。
ただし、海苔といっても何でもよいわけではありません。味付海苔や佃煮には塩分も含まれているためかえって逆効果です。必ず焼海苔を選ぶようにしましょう。
また、当然ながら食べ過ぎには注意が必要です。どの食品にも言えることですが、メリットを享受したいがあまり、同じ食品をあまりに多く食べることで、栄養の偏りが起こり、かえって体に悪い影響を及ぼす可能性があります。バランスがよい食事を心がけましょう。
まとめ
海苔は、血圧降下効果をもたらすカリウム、タウリン、ペプチドなどの成分が含まれており、過去多くの臨床研究でも、海苔の血圧降下効果が示唆されています。今回ご紹介した内容を参考に、海苔を含めた食事のバランスを見直してみてくださいね。