400年以上の歴史を誇る静岡の銘茶「川根茶」
はじめに
川根茶は、静岡県の中央部、大井川の中上流域に位置する川根地域で生産される日本茶です。
その歴史は古く、慶長4年(1599年)の検地帳にすでに茶の記載があるほど。400年以上の歴史を持つ、静岡を代表する銘茶の一つと言えるでしょう。
川根茶の歴史
川根茶の歴史は古く、鎌倉時代に中国から持ち帰られた茶の種が静岡に植えられたのが始まりとされています。しかし、川根地域に茶がいつどのように広まったのかは、明確な記録が残されていません。
しかし江戸時代には、川根の村々は年貢として茶を徳川家光に献上していたという記録も残っており、その品質の高さが当時から評価されていたことが伺えます。
江戸の人々にも人気があり、特に豪商の紀伊國屋文左衛門が江戸に持ち帰った川根茶は評判を呼びました。
明治時代には、海外輸出も盛んになり、川根茶は高い評価を得ました。また、地元の茶師が考案した「川根揉みきり流」という製法が確立され、川根茶の品質はさらに向上しました。
その後も、新品種の導入や品質管理の徹底など、茶農家たちの努力によって、川根茶は全国的に有名な銘茶へと成長しました。現在も、全国茶品評会で数々の賞を受賞し、その品質の高さを証明しています。
川根茶の特徴
川根茶の最大の魅力は、何と言っても山間地のお茶特有の爽やかな香りでしょう。新緑を思わせるようなすがすがしい軽やかな香りが、喉の奥でふわっと広がります。
また、豊かなコクと強い旨みも、川根茶ならではの魅力です。とろんとしていてお茶本来の甘味が強く、優しい味わいをしています。
川根茶は、その香りと味が長く続くという特徴も持ち合わせています。
一煎目だけでなく、二煎目、三煎目と、お茶の色や香りの変化を楽しむことができ、いつまでもおいしいあと味が残ります。
色は一般的な緑茶とは異なり、黄金色に近く透明感があります。
1. 南アルプスがもたらす最適な環境
前述のように、川根茶は、その爽やかな香りと深い味わいが特徴的な日本茶です。
この特徴を生み出すのは、川根地域特有の自然環境と、それを最大限に活かした栽培方法。
川根地域は、南アルプスの影響で昼夜の寒暖差が大きく、霧が発生しやすい環境です。この気候は、茶樹の生育に最適で、旨みや香りの成分を蓄えやすくなります。
また、豊富な降水量と水はけの良い土壌は、茶樹に豊富な栄養を与えてくれます。特に、川根茶園の土壌は、有機物が豊富で微生物が活発に活動しており、茶樹の生育を支えています。
2. 「川根揉みきり流」が生み出す繊細な味わい
川根茶の製法もまた特徴的です。水分が多く、やわらかい川根茶の新芽は、他の地域の新芽と同じ製法では、その特徴が損なわれてしまいます。
そこで、川根茶の茶師たちは、「川根揉みきり流」と呼ばれる独自の製法を考案しました。この製法は、蒸しすぎず、熱しすぎず、揉みすぎないことで、川根茶の繊細な香りを最大限に引き出すことができるのです。
まとめ
清々しい香りが特徴で、のど越しはすっきり。
深いコクと甘みの中にほど良く調和した渋みが感じられる川根茶は、数々の茶品評会で高い評価を獲得し、日本を代表する銘茶として知られています。
川根茶のおいしさ。それは南アルプスの雪解け水や湧き水を源にした大井川の贈り物です。絶えることのない悠久の流れが、お茶づくりに最適な舞台を育んできました
まだ味わったことがない方は、ぜひ川根茶の持つ爽やかな香りと洗練された味わいを楽しんでみてください。