えっ、全部一緒なの?緑茶・紅茶・烏龍茶の違いを分かりやすく解説
はじめに
緑茶、ウーロン茶、紅茶などは違う方法で作られ、見た目も味わいも全く別のお茶となっているのですが、実はすべて同じ植物から作られており、原料の葉は同じであることをご存じですか。
お茶とは、「チャ」の木を原料とする飲み物の総称です。
緑茶をはじめ、紅茶や烏龍茶などのお茶は、実はすべて同じ植物ツバキ科カメリア属である「チャノキ」から作られています。
「チャノキ」の学名は「カメリア・シネンシス」。ツバキなどの仲間なので、茶の葉とツバキの葉を比べてみるとよく似ており、秋ー冬にかけて白い可愛い花を咲かせます。
それぞれのお茶の違いは発酵度合いの差
このように世界中で愛されている”お茶”。原料は同じ「チャ」なのに、なぜここまで風味や味わい、色合いまでが大きく異なるのでしょうか。
それは摘み取った「チャ」の酸化発酵度合いの差です。
製造過程で茶葉をどの程度発酵させるかによって、大きく以下の3種類に分類されます。
1. 不発酵茶(緑茶)
ほとんど発酵させないお茶です。
緑茶は、茶葉を摘んだ後すぐに蒸し上げ、乾燥させることで発酵を抑制しています。そのため、茶葉本来の緑色や香り、渋味を保ち、カテキンやビタミンCなどの栄養素を豊富に含んでいます。
代表的な種類としては、煎茶、玉露、ほうじ茶など日本人に馴染み深い緑茶がこれにあたります。
2. 発酵茶(紅茶)
発酵を十分に進めて作ります。
紅茶は、茶葉を摘んだ後、萎凋(いちょう)と呼ばれる工程で水分を飛ばしてから揉んで発酵させます。発酵が進むにつれて、茶葉は赤褐色になり、特有の芳醇な香りが生まれます。
主な産地として、インドやスリランカなどがあります。
3. 半発酵茶(青茶)
茶葉が完全に発酵する前に、発酵を止めたお茶です。緑茶と紅茶の中間にあたります。発酵具合によって、味わいや香りが大きく異なります。代表的な種類としては、烏龍茶などが挙げられます。
お茶の発酵って?
私たちがよく耳にする「発酵」とは、お漬物やヨーグルトのように、乳酸菌や酵母などの微生物の動きによってもともとの食品を加工することを指しますが、お茶の発酵とは主に茶葉に含まれる酵素で酸化させることを指します。
お茶の葉にはポリフェノール酸化酵素という酵素が含まれているのですが、この酵素に含まれるタンニンは、空気中の酸素に触れることによって、どんどん酸化が進んでいきます。
つまり、何も手を加えなければどんどん発酵が進み、見た目の色合いはもちろん、風味や味わいも変化するということです。
酵素の働きは加熱することによって止まるので、摘みとった茶葉に、火を淹れたり蒸したりなどの工程を入れ、発酵の度合いをコントロールした結果、緑茶や烏龍茶、紅茶など様々なお茶が生まれています。
お茶の色の違い
切ったリンゴも空気に触れるとどんどん茶色くなっていきますよね。これは、リンゴにも茶葉と同じポリフェノール酸化酵素が含まれているためです。茶葉においても同様の変化が起こるため、それがお茶を淹れたときの色(水色)にも影響します。
茶葉を摘み取った後そのまま置いておくと、葉に含まれる酵素によって酸化が進み、変色します。
緑茶をはじめとする不発酵茶は、茶葉を摘み取ったのち、できる限り早く加熱して、酵素の働きを止めます。その結果、緑茶は茶葉の緑色が残るのです。
紅茶が赤褐色になるのは、茶葉の酵素の働きを止めないためです。成分のカテキンが酸化し赤褐色の色素が生まれます。烏龍茶の製造方法はその中間なので、色味は明るいオレンジなどの中間色となります。
代表的な2種類のチャ
「チャ」は世界に数百種以上ありますが、代表的なのは中国種とアッサム種の2種類です。
中国種は低木で葉の長さが3-5cmと小さいのですが、比較的寒さに強くキリっとした味わいをしています。主に緑茶や烏龍茶の原料になります。
もう一つのアッサム種は、高木で葉の長さも10-18cmと大きいのですが、コクがあってまろやかな味わいをしています。主に紅茶の原料になります。
その見た目や味のほかにも、含まれている成分についても多少の違いがあります。中国や日本などで栽培されている中国種は、うまみの元となるアミノ酸を多く含みますが、苦渋み成分であるカテキンの量は少なく、緑茶や烏龍茶に使われています。
一方、インドなどにあるアッサム種は、カテキンの量は多く、アミノ酸が少ないため、紅茶に使われています。
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中国種 | アッサム種 |
木や葉の特長 | 低木(葉の長さは3-5cm) | 高木(葉の長さは10-18cm) |
アミノ酸の量 | 多い | 少ない |
カテキンの量 | 少ない | 多い |
栽培地域 | 亜熱帯、熱帯(中国・日本など) | 温帯(インド、スリランカ、インドネシアなど) |
よく使われるお茶 | 緑茶、ウーロン茶 | 紅茶 |