抹茶のカフェイン：含有量から健康効果、1日の摂取目安量まで解説
目次
はじめに
近年、海外でも人気が高まっている抹茶。
そのほろ苦さとまろやかな風味は、本来の「green tea」ではなく「matcha」として広く認知され、お菓子やドリンクの定番フレーバーとなりました。
カフェやコンビニエンスストアでは多彩な抹茶ドリンクが提供され、ご自宅でも手軽に抹茶を楽しみたいと考える方が増えています。
しかし、抹茶の魅力を知る上で避けて通れないのが「カフェイン」の存在です。
「抹茶にはどれくらいのカフェインが含まれているの？」「カフェインにはどのような効果やデメリットがあるの？」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、抹茶に含まれるカフェイン量に焦点を当て、その効果や特性について詳しく解説します。
抹茶に含まれるカフェイン量
抹茶は、他の緑茶と比較してカフェイン含有量が多いことで知られています。
一般的に、抹茶1杯分（約60mlのお湯に対して1.5～2gの抹茶を使用）には、約60mgのカフェインが含まれています。
これは、一般的な緑茶1杯に含まれるカフェイン量の約3倍に相当します。
抹茶は、茶葉を粉末状にして直接摂取するため、お湯に溶け出す成分だけでなく、茶葉そのものに含まれる成分も摂取できることが、カフェイン含有量が多い理由の一つです。
他の飲み物とのカフェイン量比較
玉露：160mg
抹茶：60mg
コーヒー ：60mg
ホットココア：35mg
紅茶：30mg
烏龍茶：20mg
普通煎茶：20mg
ほうじ茶：20mg
番茶：10mg
玄米茶：10mg
釜炒り茶：10mg
麦茶：0mg
１日の摂取量上限と目安
抹茶に含まれるカフェインは、適量を守ることで集中力向上や疲労回復など、様々なメリットをもたらします。
しかし、過剰摂取は健康を害する可能性も。では、安全に抹茶を楽しむための摂取量上限はどのくらいなのでしょうか？
健康な成人の場合、1日あたりのカフェイン摂取量上限は400mgとされています。
これを考慮すると、1日あたり約6～7杯の抹茶を飲むことができます。
しかし、これはあくまで目安であり、個人の体調や反応を見ながら調整することが大切です。
特に、カフェインに敏感な方や他にも日常的に摂取するカフェイン含有量の多い食品がある方は注意が必要です。
また、妊娠中の女性は、胎児への影響を考慮し、1日あたり200mg以下に抑えることが推奨されています。
何事も過ぎたるは及ばざるがごとしです。最適な摂取量を確認しながら、安全に楽しむことを心がけましょう。
抹茶が持つ豊富な健康効果
抹茶は、他の緑茶と異なり、茶葉を粉末状にして摂取します。
そのため、カテキンやテアニンといった成分に加え、水に溶けにくいβ-カロテン、ビタミンE、食物繊維などの栄養素も余すことなく摂取できるという大きなメリットがあります。
抹茶に含まれるカフェインをはじめとする豊富な栄養成分は、私たちの健康に多岐にわたる効果をもたらします。
1. 集中力アップと覚醒効果によるパフォーマンス向上
抹茶に含まれるカフェインは、中枢神経を刺激することで、集中力を高めたり、頭をすっきりさせたりなどの覚醒効果に優れていることで知られています。
シャキッとしたい朝はもちろんのこと、仕事や勉強中に抹茶を摂取することで、頭がすっきりとし、効率的に作業を進めることができるでしょう。
この効果は、特に一時的な疲れや無気力感を感じるときに有効です。
さらに、抹茶の香りや味わいもリフレッシュ効果を高める作用があります。
気分が晴れないときには、抹茶を一杯飲むことで、思考をクリアにし、やる気を引き出す助けになるかもしれません。
また、抹茶には後述するテアニンという成分が豊富なため、カフェインを含む他の飲み物に比べて、穏やかな覚醒効果をもたらすという特徴があります。
リラックスしながらも集中力を保つことができるため、日常生活や仕事の中でぜひ取り入れてみてください。
2. ストレス軽減！リラックス効果
抹茶を飲むと、心が落ち着き、リラックスした状態になることがあります。これは、抹茶に含まれる特別な成分「L-テアニン」によるものです。
テアニンは、お茶、特に抹茶に豊富に含まれるアミノ酸の一種であり、私たちの心身に様々な恩恵をもたらす成分として注目されています。
テアニンの主な効果として、まず挙げられるのが優れたリラックス効果です。
テアニンは、脳内でα波の発生を促進し、心身をリラックス状態へと導きます。これにより、日々のストレスや不安感を軽減し、穏やかで安定した気持ちをもたらしてくれるのです。
また、テアニンは睡眠の質を改善する効果も期待されています。具体的には、スムーズな入眠をサポートし、深い睡眠を促すことで、起床時の疲労感を軽減します。
さらに、リラックス効果と同時に、集中力や記憶力を高める効果や、ストレスホルモンの分泌を抑制する効果なども報告されており、近年この成分を利用したサプリメントも多数販売されているほど、注目の成分です。
3. 細胞の老化を防ぐ「抗酸化作用」
酸素は、私たちの生命活動に欠かせない要素である一方で、体内で「活性酸素」という物質に変化することがあります。
この活性酸素は、適量であれば生体防御に役立つ重要な役割を果たしますが、過剰に生成されると細胞を酸化させ、傷つけてしまうという側面も持ち合わせています。
この細胞の酸化は、老化を加速させるだけでなく、シミやシワなどの肌トラブル、さらには動脈硬化やがんといった様々な疾患を引き起こす原因となることが知られています。
そこで注目したいのが、抹茶に豊富に含まれるポリフェノールの一種、「カテキン」です。
中でも、特に強力な抗酸化作用を発揮する「エピガロカテキンガレート（EGCG）」は、活性酸素の働きを抑制し、細胞を酸化から守る重要な成分として知られています。
他の緑茶と異なり、抹茶は茶葉を丸ごと粉末にして摂取するため、茶葉に含まれるカテキンを効率的に摂取できるというメリットがあります。
さらに、カテキンの抗酸化作用は、美容面においても嬉しい効果をもたらします。
細胞の酸化を抑制することで、肌の老化を遅らせ、若々しい印象を保つ効果が期待できるのです。
4. 「壊れにくいビタミンC」で肌悩みの解決
抹茶は、美容効果の高い「ビタミンC」を豊富に含んでおり、シミ、くすみ、毛穴、たるみなど、女性にとって気になる肌悩みに嬉しい効果をもたらします。
抹茶には、1杯あたり約60mgものビタミンCが含まれており、これはビタミンCが豊富と言われるレモンに匹敵する量です。
ビタミンCは、美容と健康に欠かせない栄養素として知られていますが、「熱に弱い」という性質があります。
しかし、抹茶に含まれるビタミンCは、同じく豊富に含まれるカテキンの作用によって、熱に強いという特異な性質を持つことがわかっています。
日本人の食事摂取基準（2023年版）によると、1日のビタミンCの推奨量は100mgです。抹茶を2杯飲むことで、1日の目安量を満たすことができます。
ビタミンCは、一度に大量に摂取しても体内に蓄積されず、余分な分は尿として排出されてしまうため、1日に数回に分けて摂取することが効果的です。
抹茶のカフェインを過剰摂取するリスク・悪影響
このように、抹茶は非常に健康に良い一方で、カフェインを多く含んでいるため、過剰摂取には注意が必要です。
カフェインを過剰に摂取すると、頭痛、不安感、睡眠障害などの症状を引き起こす可能性があります。
特に、妊娠中や授乳中の方は、カフェイン摂取量に制限があるため、注意が必要です。
また、カフェインには利尿作用があるため、抹茶の大量摂取は体内の水分バランスを崩す原因にもなりかねません。
抹茶を健康的に楽しむためには、1日に2〜3杯程度を目安にし、他のお茶や水分の摂取も心がけることが大切です。
抹茶の基本の淹れ方
抹茶と聞くと、少し難しそうに感じるかもしれません。しかし、ご安心ください。
茶碗と茶筅があれば、ご自宅で本格的な抹茶を気軽に楽しむことができます。大切なのは、茶筅の動かし方のコツを掴むこと。
材料と道具
- 茶碗
- 茶筅
- お湯：60ml（80℃）
- 茶葉：約1.5-2.0g（茶杓1杯半）
手順
1. 茶筅通し
まず、茶筅を温かいお湯にくぐらせ、穂先を柔らかくします。茶碗に熱湯を注ぎ、茶筅を茶碗の底に軽く押し当てるようにして動かします。
これにより、茶筅がしなやかになり、抹茶を点てやすくなります。
2. 抹茶を入れる
茶筅通しで使ったお湯を捨てます。その後、茶碗をきれいに拭き、抹茶を入れます。抹茶の量は、スプーンで軽く1杯（約1g）、茶杓の場合は1杯半が目安です。
3. お茶を点てる
80℃に冷ましたお湯60mlを静かに注ぎます。茶筅を前後に素早く動かし、きめ細かい泡ができるまで抹茶を泡立てます。この作業を「点てる」と言います。
茶筅を動かす際は、手首のスナップを利かせ、前後に素早く動かすのがポイントです。
4. 仕上げ
泡が均一になったら、茶筅を「の」の字を描くように動かし、泡のキメを整えます。
最後に、泡をつぶさないように、茶筅を茶碗の中心から静かに引き上げれば完成です。
抹茶のカフェインに関するQ&A
抹茶のカフェインについての疑問にお答えします。
1. まず、抹茶のカフェイン量はどれくらいなのでしょうか。
一般的に、抹茶1杯（約2g）には約60mgのカフェインが含まれています。これは、煎茶などの一般的な緑茶と比較すると、約3倍もの量に相当します。
緑茶全体で見ると、カフェイン含有量が多いことで知られる玉露に次いで、抹茶は2番目にカフェインを多く含む種類となります。
2. 抹茶を飲むことでどのような効果が期待できるのでしょうか。
抹茶に含まれるカフェインには集中力を高め、疲労感を軽減する効果があります。
さらに、L-テアニンによるリラックス効果もあり、リフレッシュしたり、ストレスを軽減するほか、睡眠の質を向上させることができます。
そのほか、カテキンの抗酸化作用やビタミンCによる肌のシミやくすみを抑える効果など、健康・美容ともに嬉しい効果がたくさんあります。
3. カフェインレスの抹茶はありますか？
はい、山本山では取り扱いがありませんが、カフェインレスの抹茶も存在します。
カフェインレスの抹茶は製造過程でカフェインが取り除かれているため、通常の抹茶に比べて、その味わいや香りが少し異なることがあります。
それでも、健康や栄養素に関しては、通常の抹茶と同様の利点を享受できる場合が多いです。
最近では、カフェインレスの抹茶が増えてきており、様々なブランドから選べるようになっています。リラックスしたひと時を楽しむために取り入れやすい商品ですので、ぜひ試してみると良いでしょう。
4. 子供は抹茶を飲んでも大丈夫でしょうか。
抹茶にはカフェインが含まれているため、子供に与えることにためらいを感じる方が多いのは当然です。
そもそも、抹茶特有の苦みは、小さなお子様にとっては馴染みのない味わいかもしれません。そのため、無理に与える必要はないというのが正直なところです。
しかし、適切な量を守れば、抹茶をお子様が楽しむことは可能です。
厚生労働省が示す1日当たりのカフェイン摂取量の上限は、以下の通りです。
4～6歳：最大45mg
7～9歳：最大62.5mg
10～12歳：最大85mg
抹茶1杯あたりのカフェイン量は約60mgです。
この量を念頭に置き、お子様の年齢や体調を考慮しながら、慎重に与えることが大切です。
抹茶は、カフェインだけでなく、カテキンやビタミンなど、健康に良い成分も豊富に含んでいます。お子様の成長に合わせて、上手に抹茶を取り入れてみてはいかがでしょうか。
5. 1日に何杯まで抹茶を飲むのがよいですか。
抹茶の適切な摂取量は、個々の健康状態やカフェインの感受性によって異なりますが、一般的には1日に1～3杯程度が推奨されています。
通常1杯の抹茶には60mgのカフェインが含まれており、3杯飲んだ場合でも約180mg程度に収まります。これは健康な成人にとって許容範囲内と言えるでしょう。
ただし、妊娠中や授乳中の方は、カフェインの影響を考慮する必要があります。この場合、1日に1杯を目安にすることが推奨されます。
また、カフェインの摂取が多いと不安感や不眠を引き起こすこともあるため、自分の体調に合わせて調整することが大切です。
抹茶は、健康効果が期待できる飲み物ですが、摂取する際には過剰な取りすぎに注意し、楽しむことを心掛けましょう。
まとめ
いかがでしたか。抹茶に含まれるカフェインは、適量を守れば集中力向上や疲労回復など、私たちの心身に様々な恩恵をもたらします。
しかし、過剰摂取は不安や不眠、動悸といった不快な症状を引き起こす可能性も。大切なのは、抹茶のカフェイン量と自身の体質を理解し、賢く付き合うことです。
また、カフェインだけでなく、抗酸化作用のあるカテキンやリラックス効果のあるテアニン、美肌に効果があるビタミンCなど、健康にも美容にも役立つ成分を豊富に含んでいます。
カフェインの特性を理解し、上手に付き合うことで、抹茶は私たちの健康と豊かな生活をサポートする、心強い味方となるはずです。
