結婚の証に贈るお茶|結納茶「御知家」に込められた意味とは
はじめに
福岡県や佐賀県など九州地方の一部地域では、結納の際に男性から女性に茶を贈るというという独特の風習があります。
中国や東南アジア、朝鮮半島などにも同じような風習があるので、おそらくはそうした地域から伝わったのではないかと推測されています。
結納でお茶を贈る文化
この風習は、単に贈り物の一つとしてだけでなく、地域特有の文化や歴史、そしてお茶に対する深い思いが込められています。
結納品のお茶は、単に「お茶」と呼ぶだけでなく、「結納茶」「御知家」「久喜茶」など、地域や呼び方によって様々な名称で呼ばれています。
これらの茶は、一般的な贈答用の茶とは異なり、特別な意味や願いが込められています。
結納品にお茶を贈る意味
お茶の木は、その根を深く大地に張り巡らせ、一度地に根付くと容易に移すことができません。特に成木となると、移植はますます困難となります。
このことから、結納の際に茶を贈る風習は、嫁入りした女性が、夫の家でしっかりと根を張り、末永く幸せに暮らせるようにと、夫婦の絆を永遠に結びつける願いが込められているとされています。
「下級」のお茶が選ばれる理由
さらに、上級のお茶は「(味や色が)よく出る」ことから、嫁が実家に戻ってしまうことを防ぐため、一般的には安価なお茶が贈られるという言い伝えがあります。
さいごに
このように、結納に茶を贈る風習には、古くからの日本の家制度や女性観が深く根付いていたことがわかります。
現代の価値観とは異なる側面も多々ありますが、結婚という人生の大きな節目に、お茶を通してこんなにも深い意味が込められていたとは、日本の文化の奥深さを改めて感じることができますね。