茶葉の品質を決めるのは摘採時期?美味しいお茶の秘密
はじめに
新茶の収穫は、4月上旬の鹿児島を皮切りに、日本各地で順次行われます。
私たちが口にする一杯の緑茶は、茶農家の方々が丁寧に手入れをし、最適なタイミングで収穫された茶葉から生まれているのです。
摘採時期が左右する、茶葉の品質
茶葉の品質は、摘採時期によって大きく左右されるため、このタイミングを逸しないことが何より重要となります。
それでは、チャの摘採時期はどのように決めているのでしょうか。
その年の気候や品種によって異なりますが、一般的に「出開き度」と呼ばれる指標を参考に決定されます。
新芽には、芽の元となるものが5-6枚巻き込まれていて、成長するにつれて徐々に開いていきます。この最後の葉を「止め葉」と呼び、これが開いた時を「出開いた」といいます。
一定面積内の全芽数のうち、出開いた新芽の割合を「出開き度」といい、この割合が50~80%のときに摘採するのが最適とされています。なお、早摘みをする場合は、30~50%のときに摘採することもあります。
摘採の時期は、生葉の品質と収量に大きく関係します。
新芽の柔らかさや旨み成分がピークを迎えているときは、新芽はまだ十分に成長しておらず、収量も少ない状態です。一方、収量がピークの際は、出開き度が高すぎるため、葉が硬くなり、渋みが増してしまいます。
以上のことから、収量が一定数確保できるとともに品質も下がり過ぎないタイミングで摘採するのがベストです。摘採のタイミングの見極めが、その年の茶葉の品質を大きく決定づけるのです。
「一芯二葉」の丁寧な手摘み
葉が4-5枚開いた頃に、上のほうの「一芯二葉」もしくは「一芯三葉」だけ手で摘むのが、極上のお茶の摘み方といわれています。
この「一芯二葉」は、新芽の最も柔らかい部分であり、旨みが凝縮されています。
柔らかい葉だけを摘むのはとても手間のかかる作業なので、すべての茶園で行っているわけではありません。
今日では機械による摘採が主流となりますが、新茶の季節に品評会に出すようなお茶を作ったりする場合は、今もなおこの方法が行われています。
「みる芽」とは?
茶業の世界では、「みる芽」という言葉がよく使われます。
これは、柔らかく、旨み成分が多い新芽のことを指します。対照的に、硬く、渋みが多い新芽は「硬葉」と呼ばれます。もともとは、静岡県浜松地方の方言「みるい」がもとになっており、みるいには「幼くて弱くて柔らかい」といった意味があります。
上質なお茶を製造するためにはタンニンなどの成分が少なく、うまみのアミノ酸などが多く含まれる、みる芽の状態(葉が柔らかい状態)で摘むのが良いといわれています。
最近では一番茶はもちろん、二番茶でもよいお茶をつくるために「みる芽摘み」が推奨されています。よいお茶造りの為には、葉中の味成分の含有量とともに、葉の硬さにも注意が払われているのです。
まとめ
お茶の魅力を最大限に引き出すためには、摘採時期を正確に見極めることが重要です。
茶農家は、「出開き度」を参考に、新芽の柔らかさや旨み成分の量を考慮しながら、最適なタイミングで摘み取りを行っています。
このように、茶農家のたゆまぬ努力によって、私たちは一年を通して、様々な種類のお茶を楽しむことができるのです。