お茶をもっと美味しく!軟水が選ばれるワケを解説
はじめに
どんなに上質な茶葉を選んでも、水が悪ければ、お茶本来の風味を引き出すことはできません。お茶の味を左右する要素の一つに、「水」の存在があります。
お茶を淹れた際に浸出した液のうち、水の割合はなんと99.7%と言われています。残りのわずか0.3%が茶葉から溶け出した成分です。このことから、お茶の味に占める水の割合がいかに大きいかお分かりいただけるでしょう。
では、美味しいお茶を淹れるには、どのような水を使えば良いのでしょうか?
軟水がお茶に適している理由
一般的に、お茶には軟水が適していると言われています。軟水を使うことで、お茶の旨味や香りをより鮮やかに感じることができます。
一方の硬水は、お茶の成分と反応しやすく、渋みや苦みを強く出してしまいがちです。
水の硬度がお茶に与える影響
水は、その中に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンの量によって、硬度が異なり、軟水と硬水に大きく分けられます。
軟水は、カルシウムやマグネシウムの含有量が少なく、口当たりがまろやかで、お茶本来の味を引き出しやすいと言われています。
一方の硬水は、これらのミネラル分を多く含み、口当たりがやや硬く、お茶の味を変化させることがあります。
地域や水の種類による違い
日本の水道水は、一般的に軟水に分類されるため、そのままお茶を淹れることができます。しかし、地域によっては水道水の成分が異なるため、気になる場合は、ミネラルウォーターなどを使用してみるのも良いでしょう。
ただし、その際にも以下で述べる「硬度」については確認するようにしてください。
お茶は、水と茶葉が触れ合うことで、その成分が抽出されます。そのため、水の硬度は、お茶の味や香りに大きな影響を与えるのです。
水の硬度がお茶の味に与える影響に関する実験では、蒸留水にカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを加えて様々な硬度の人工の水を作り、その水でお茶を淹れて味を比較しました。
その結果、硬度が10から50程度の範囲の水で淹れたお茶が、最も良い味と香りがすると評価されました。
一方、硬度が50を超える水で淹れたお茶については、「香りが弱い」「変な味がする」といった評価が得られ、硬度が高い水は、お茶の味を損なう可能性があることが示唆されました。
もちろん、自然の水は、実験で用いた人工の水のように、単一のミネラルによって硬度が決まっているわけではありません。
しかし、この実験結果は、お茶を美味しく淹れるためには、水の硬度も重要な要素であることを示しています。硬度が低い水や高い水は、お茶本来の味を引き出せない可能性があるため、お茶の種類や好みに合わせて、最適な硬度の水を選ぶことが大切です。
しかし、世界の国や地域によって、水の硬度は大きく異なります。例えば、ヨーロッパでは硬水を日常的に飲用している地域が多く、硬水に慣れた人にとっては、硬水で淹れたお茶の方が美味しく感じることもあります。
硬水を使う際の注意点
硬水でお茶を淹れる際は、沸騰させた湯を使うことが基本です。
特に、石灰岩地帯を流れる河川水や地下水のように、炭酸水素カルシウムを多く含む一時硬水の場合、沸騰させることで硬度が下がり、お茶本来の味を引き出しやすくなります。
しかし、カルシウムやマグネシウムの硫酸塩や塩化物が溶け込んでいる永久硬水では、煮沸しても硬度が下がることはありません。そのため、永久硬水で淹れたお茶は、苦味やえぐみを感じることがあります。
このため、硬水でお茶を淹れる際には、水の成分を事前に確認し、一時硬水の場合は沸騰させてから使うようにしましょう。
永久硬水の場合は、軟水に替えるか、浄水器などを利用して硬度を下げることをおすすめします。