深蒸し煎茶とは|穏やかな渋みがクセになる!栄養価の高さが人気の理由
はじめに
煎茶の仲間に、「深蒸し煎茶」があります。
深蒸し煎茶とは、お茶の製造工程の第一歩である茶葉を蒸す時間を長くしたものです。
普通煎茶の標準的な蒸し時間は30-40秒ですが、深蒸し煎茶は60-120秒と、2-3倍ほど長く蒸して作ります。それよりも長く蒸したお茶は特蒸し茶と呼ばれています。
深蒸し煎茶の誕生
深蒸し煎茶は、静岡県の中部地方で誕生しました。
この地域のお茶は葉が厚く、渋みが強いという特徴があり、消費者にあまり好まれなかったそうです。そこで、茶農家の方々が試行錯誤を重ね、蒸し時間を長くすることで、この渋みを抑え、まろやかな味わいの深蒸し煎茶を作り出したのです。
その後、製法と機械設備の改善を積み重ね、質は大きく向上し、今に至ります。
深蒸し煎茶の特徴
深蒸し煎茶の特徴は、何と言ってもそのまろやかな口当たりです。
通常の煎茶よりも長く蒸すことで、茶葉の旨味がじっくりと引き出され、甘みが増します。
普通煎茶に比べて、見た目では粉が多くなりますが、香りはおだやかで、味は渋みや苦みが少なく、とろんとして濃厚、優しい甘みが広がります。
一方で、爽やかな香りは控えめになり、穏やかな風味に仕上がります。
また、先ほど述べたように、長時間蒸すことで、茶葉が細かく粉状になりやすいため、淹れたお茶の色は濃い緑色になり、まるで抹茶のような見た目をしています。
深蒸し煎茶の広がり:日本を代表する緑茶へ
深蒸し煎茶が生まれたのは昭和30年代と比較的最近ですが、そのおいしさが口コミで広がり、今では静岡県だけでなく、鹿児島県や三重県など、全国各地で生産されており、日本の緑茶を代表する存在となっています。
特に静岡県では、生産量の7割以上が深蒸し煎茶というほど、人気の高いお茶です。
深蒸し煎茶の人気の理由
その人気の理由の一つに、普通煎茶よりも栄養価が高いという点が挙げられます。
誤解されがちなのですが、茶葉に含まれる栄養成分や含有量自体は、普通煎茶と深蒸し煎茶で違いはありません。
ただし、さきほどご紹介したように、深蒸し煎茶は、通常の煎茶よりも長い時間蒸すことで、茶葉が細かく砕かれ、お茶に溶け出す成分が増加します。
普通煎茶の場合、お湯に出して飲むときに吸収できる成分は、全体のおよそ30%程度。残り7割の栄養素は茶葉に残っているといわれています。
商品によって差があるため、一概に「深蒸し煎茶は普通煎茶よりどれくらい成分量が多い」とは言えませんが、普通煎茶よりも数パーセントから10%程度は多くの成分を摂取できると考えて間違いないでしょう。
さいごに
苦みが少なくまろやかな味わいの深蒸し煎茶は、お茶の苦みが苦手な方や小さなお子様にも人気があります。
そして何より、通常の煎茶に比べて、より多くの栄養素を摂取できる点が一番の魅力です。
カテキンやビタミンなど、緑茶に含まれる成分を効率的に摂取したい方には、深蒸し煎茶は最適と言えるでしょう。