たった一つのコツで変わる!驚くほど美味しくなるお茶の淹れ方
はじめに
美味しいお茶を淹れるための押さえておきたいポイントをご紹介します。
きちんと覚えて、理想の一杯を目指しましょう。
美味しいお茶を淹れるためには、外すことができない三つの要素があります。今回は順を追ってご説明いたします。
1. 良質な水を使う
水は、お茶の味を左右する重要な要素です。日本茶は味が素直に出る「軟水」で入れるのが望ましいといわれています。
ミネラル分が少ない軟水は、お茶の成分に影響を与えることがなく、茶葉が持つ本来の味を楽しむことができます。一方の硬水は、カテキンの浸出を抑えるため日本茶らしい渋みが乏しい味になるといわれています。
日本の水道水は沖縄の一部などの地域を除き、軟水に分類されますので、基本的には水道水を使うことで問題ありません。
水道水を使う場合は、カルキをしっかりと抜いてから使用しましょう。浄水器を使う、沸騰させたお湯をしばらく置いてから使うなどの方法があります。
沸騰させればカルキ臭などは軽減できますし、気になるようならば、4-5時間汲み置きにして置いたり(必ず涼しい場所で)、活性炭入りの浄水器等を通すと安心です。
美味しいお茶を入れるためには、水が沸騰したら、そのまま1、2分沸かし続けることが大切です。これによってカルキ臭を飛ばすことができるほか、沸騰させ続けることで水のクラスター(分子の集合体)が細かくなるので、茶葉に水の分子が浸透しやすくなり、成分や味がよく出るようになるといわれています。
2. 茶葉に合った温度で
お茶の種類によって、適温となるお湯の温度は異なります。
- 玉露: 50~60℃、浸出時間2分-2分半
- 上級煎茶: 70℃、浸出時間2分
- 中級煎茶: 90℃、浸出時間1分
- ほうじ茶・玄米茶・番茶: 熱湯、浸出時間30秒
玉露は濃厚な旨み・甘みと軽い苦み・渋みのバランスを楽しむものです。
玉露は低い温度でも溶けだすアミノ酸類を存分に引き出す一方でカテキン類やカフェイン等の苦み成分を抑えるために、お湯の温度は50-60℃と低めに、浸出時間は2分-2分半と長めにします。
上級煎茶ではお湯の温度を70℃くらい、浸出時間を約2分とします。ただし、最近は上級煎茶でも進出しやすいものがあるため、浸出時間はお茶によって調整する必要があります。
一方、下級煎茶や番茶などの日常的なお茶は上級なお茶に比べるとうまみの成分は少ないものの、渋みや苦みはそれほどほかのお茶と変わりはありません。そのため、熱湯を使って30秒くらいの浸出時間でサッと淹れるとよいでしょう。
また高い温度で入れたほうが、お茶の香りは立ちます。そのためほうじ茶や玄米茶など香りを楽しむお茶の場合は沸騰した直後の高い温度のお湯で淹れるのが望ましいです。
お湯の温度の調節方法
お湯の温度を調節するには、温度計を使うのもよいですが、もっと手軽な方法もあります。
お湯は器から移し替えるたびにある程度規則的に温度が下がるので、これを目安に温度を調節するとよいでしょう。
お湯は一度ほかの器に移すごとに約7℃下がります。ポットのお湯が90℃程度だとすると、急須に注いで82℃、急須から茶碗に移すと75℃程度になります。そこから急須にお湯を戻せば、急須は温まっているので70℃程度になります。
器を移し替えて温度調整をすれば、茶碗も温まるのでより一層美味しく淹れることができます。器を移し替えて温度調整をすれば、茶碗も温まるのでより一層美味しく淹れることができます。
これを参考に茶葉に合わせてお湯の温度を調整してみてください。
3. 正しい淹れ方を守る
日本茶を注ぐ時に意識する手順は以下の3点です。順番に各ステップの注意点やコツを解説していきます。
- 急須を揺らさない
- 廻し注ぎをする
- 最後の一滴まで注ぎきる
1. 急須を揺らさない
ついついやりがちですが、水色や味を濃く出そうとお湯を注いだ後に急須をゆらゆら回すのは、雑味の原因になるのでNGです。
お茶のうまみ成分だけでなく、苦みや渋み成分が溶けだす原因になります。焦らずじっくりと、茶葉が自然にほどけ、上品なお茶の味わいがお湯に溶け出るのを待ちましょう。
2. 一度に注ぎきるのではなく、回し注ぎをする
お茶を淹れたら一つずつ茶碗に注いでいくのではなく、必ず回し注ぎをします。
たとえばA、B、Cの三つの茶碗がある場合、A→B→C、C→B→A、A→B→Cの順で繰り返して回し注ぎをします。こうすることで、濃さと量が調整しやすいです。
一つの茶碗に飲み注ぐ場合も、必ず複数回に分けて注ぐようにしましょう。
一つの茶碗に、1回と2回、3回に分けて注いだ場合と、1回で注ぎ切ったお茶を比べると、後者はやや水っぽい味になり、水色も薄いです。
3. 最後の一滴まで注ぎきる
お茶を淹れるポイントで最も大切なことが、最後の一滴までお茶を注ぎきることです。
ちょっとお湯の量が多すぎたな‥というときも、必ず最後の一滴まで注ぎきりましょう。最後の一滴が味はもちろん栄養成分も最も濃く、一番価値がある一滴であるといわれています。
また、お茶を淹れる際は、多くの場合、二煎目を淹れることが多いと思うのですが、一煎目でしっかり水分を切っておかないと、二煎目が苦みや渋みが強いお茶になってしまいます。
もまれていない番茶やタンニンが少ないほうじ茶はつけっぱなしにしておいても渋みは出にくいのですが、揉んで組織に傷をつけた煎茶などは、どんどん渋くなってきてしまいます。
また、しばらく放置することで茶葉が酸化してしまい、風味の劣化が考えられます。
最初にお湯の量を湯のみで測っておけば、お湯が多すぎて注ぎきれない、ということはありません。必ず最後の一滴まで注ぎきるようにしましょう。
番外編:一度注ぎ終わったら、急須のフタをずらす
一煎目を注ぎ終わった後、急須のフタをしたままだと蒸気で中の茶葉が蒸れて開いてしまいます。これが、2煎目以降が苦くなったり渋くなる原因となります。
一度注ぎ終わったら、フタを取っておくなり、少しずらしたりして下さい。急須の中の熱を逃がすことで、茶葉の蒸れすぎを防ぎましょう。
さいごに
いかがでしたか。今回は日本茶を美味しく淹れるコツについてご紹介しました。
待たなくてはだったり、温度を調整しなければならなかったりと、面倒くさそうだなと感じた方もいたかもしれませんが、それだけ日本茶の世界は奥が深いということです。
これらを参考にぜひ美味しい飲み方をマスターして、日本茶の世界を楽しんでみてください。