ふわふわの泡が作れる!自宅で楽しむ抹茶の点て方
はじめに
抹茶とは「碾茶」という茶葉を茶臼で細かく引いて粉末状にしたもの。
粉末をお湯に溶かし、茶筅で点てていただくお茶です。
抹茶は茶道のイメージが強いためか、緑茶の中でも異質で、日常的に飲むお茶ではないものとして捉えられがちなのですが、「茶筅(ちゃせん)」さえ用意すれば、とても気軽に楽しむことができます。
茶道や流派などはまずは気にする必要はありません。また、高価な抹茶茶碗なども不要。お茶碗より少し深いカフェボウルなどを代用すればOKです。気軽に抹茶を楽しみましょう。
今回は抹茶の点て方や、他のお茶と異なり点てる理由、そして抹茶を点てる際の注意点などについてご紹介します。
抹茶を点てる理由
他のお茶のようにお湯を注いですぐに飲めれば楽でいいのに、なんて思った方もいるかもしれませんが、抹茶を立てて飲むのにも、きちんと理由があります。
第一には抹茶の溶けづらさが挙げられます。
煎茶などと異なり、粉末状の物質である抹茶は、完全に溶ける、ということはありません。ある程度はお湯を注いだことで溶けたようにみえるとはいえ、茶筅で攪拌しなければ抹茶の粉はそのまま底に溜まってしまうのです。
第二に、口当たりをまろやかにするためです。抹茶は点てることによって、苦み成分が分散し、味わいがまろやかになり、碾茶本来が持つ旨みと甘みをより引き出すことができるのです。
抹茶は、他のお茶と異なり、紛状のため茶殻に含まれるビタミンEや食物繊維などの成分もそのまま摂り入れることができるという利点がありますが、その一方で、含まれているカテキン量も豊富なため、お湯に溶かしただけの状態では、苦みを強く感じがちです。
抹茶を泡立てることにより、苦みや渋みが和らぎ、碾茶が持つ本来のうまみや甘みを感じやすくすることができます。
抹茶の淹れ方
用意するもの(材料と道具)
- 抹茶茶碗(カフェオレボウルでも可)
- 煎茶茶碗(湯冷ましに用いる。約100ccのものだと計量が楽)
- ティースプーン
- 茶筅
- お湯
- 建水(お湯を捨てる用の器。深みがある茶碗などで代用可)
- 抹茶
- 茶巾(抹茶茶碗の水分をふき取る)
- 茶こし(抹茶を濾す)
1人分の分量
- 抹茶:約1.5グラム(ティースプーン山盛り1杯)
- お湯の量:70CC
- 温度:75-80℃程度
抹茶の点て方
1.茶筅通しをする
抹茶茶碗に熱湯を注ぎ、そのなかに茶筅を入れ、茶筅の底に軽く押し付けるようにして前後に動かします。 茶筅が少し軟らかくなるまで、茶筅を泳がせましょう。
抹茶茶碗に熱湯を注ぎ、そのなかに茶筅を入れ、茶筅の底に軽く押し付けるようにして前後に動かします。 茶筅が少し軟らかくなるまで、茶筅を泳がせましょう。
これにより、抹茶茶碗を温めるとともに、茶筅を軟らかくすることで、茶筅の折れを防ぐことができます(これを茶筅通しといいます)
2. 抹茶を濾しながら茶碗に入れる
だまにならないように、使用する抹茶は事前に茶こしでふるっておく必要があります。
抹茶は粉末という性質上、静電気や振動でダマ状になります。振るいで濾さずにお湯を注ぐとだまが浮き、茶筅でいくら混ぜても消えずに、口当たりが損なわれてしまいます。
抹茶茶碗に茶こしをかけ、ティースプーンで抹茶を山盛り一杯計量して、抹茶茶碗に抹茶を淹れます。
茶こしに入れる量はスプーンに摺り切り1杯(約1g)。茶杓がある場合は1杓半が目安です。ティースプーンの背を、茶こしに押し当てるようにして、抹茶をこします。こうすることでだまがなくなります。
3. 湯冷まししたお湯を注ぐ
抹茶の適温は80℃ですから、湯冷ましが必要になります。
まずはポットなどから煎茶茶碗の八分目程度までお湯を注ぎます。こうすることで湯温を調整しましょう。80℃程度になってから、抹茶茶碗に静かに注ぎます。
4.お茶を点てる
まずは効き手と逆の手で茶碗を支えながら、表面に浮いた粉がなくなるよう、茶筅で全体を軽く混ぜます。
表面の粉っぽさがなくなったら、茶筅を素早く動かし、きめの細かい泡ができるまで抹茶を泡立てます。茶筅は前後に素早く動かすのがコツです。
5.仕上げに泡を整える
最後に泡立てることで苦み成分が分散し、味わいがさらにまろやかになります。泡が均一になったら「の」の字を書くように茶筅を動かし、クリーミーな泡で仕上げましょう。
泡のきめが細かいものは、苦みの中にもやさしい甘みがありますが、泡立ちが良くないと苦みが残ってしまいます。
きめ細かい泡が全体に立ったら、泡をつぶさないように茶筅は器の中央から垂直に引き上げて取り出します。
抹茶を上手に点てるコツ
茶筅は、親指と人差し指、中指でつまむようにして持ちましょう。手首を寝かせると立てにくくなるので、茶筅が垂直になるように構えることがポイントです。
また、最初はゆったりと、次第に素早く茶筅を動かすようにしましょう。
手首のスナップを効かせるようにして、茶筅を素早く縦に動かすと細かな泡が立ちます。器の左から右、右から左へと移動させるようにして泡立てることで、うまみや苦みが均一になります。
さいごに
抹茶=茶道と捉えてしまうと、流派や作法などが多岐にわたるため、敷居が高く足が遠のいてしまいがちですが、抹茶だって緑茶の一種。実は茶碗と茶筅さえあれば簡単です。
流派によって思いっきり泡を立てたり点てなかったりと様々ですが、まずは細かいことは気にせず、お好みで抹茶を点ててみましょう。
日本の茶の湯文化の象徴的な存在といえる抹茶。上流階級が極めた風雅の道にはいつも傍らに抹茶がありました。
堅苦しい部分は抜きにしても、抹茶は日本の文化や伝統を味わえる特別な飲み物です。毎日の生活に、抹茶を取り入れてみてはいかがでしょうか。