#02
料理家 渡辺康啓さん
美味しいお茶とお道具はセットです。お茶のある暮らしを送っている素敵な方々は、普段どんな道具でお茶を淹れているのでしょうか? 気になるあの人の茶道具を拝見。第2回目は料理家の渡辺康啓さんにご登場いただきました。
料理教室を主宰しながら、食材と調理道具のお店〈Cibo e Gino〉を営む料理家の渡辺康啓さん。2024年2月に東京・曙橋にオープンしたお店は、元製本所だったという木造の建物を改装し、広々としたオープンキッチンを中心にした明るく開放的なつくりだ。朝は自宅で定番のミルクティーを飲み、愛犬のジーノくんと共に出勤。
職場でも、毎日のティータイムを欠かさないという渡辺さん。食事の後に、おやつタイムに、その日の気分やおやつに合わせてお茶を選ぶのも楽しいと話してくれる。
「よく飲むのは、ほうじ茶、玄米茶、番茶などですね。飲みやすく、香ばしい風味が好きなんです。使う茶道具は、淹れるお茶や人数に応じて選びます。二人分なら、小さめの急須で。料理教室の時など大人数で楽しむ時はシルバーのポットでたっぷり淹れたり。今日使っているのは、福岡県で作陶をしている岩田圭介さんの急須です。ピタッと湯切れが素晴らしく良く、気に入っています」
「中国茶用の平茶碗でほうじ茶を飲むこともあれば、アンティークのマグカップで玄米茶を飲む日もあって。 “こうじゃなければいけない” というスタイルはないと思うんです。使っているシーンが思いつくもの、盛りたい料理がイメージできる器に出合うと、有名無名に関わらずつい買い集めてしまいますよね」
仕事柄、たくさんの食器を所有している渡辺さん。キッチンの下は全面が食器棚になっていて、国内の作家ものから海外のアンティークまで。シンプルながらそれぞれに質感の異なる使い勝手の良さそうな器がずらり。渡辺さんの料理が盛られる姿を想像しながら眺めているだけでもワクワクしてくる。
寒さが深まるこれからの季節に欠かせない、渡辺さんが密かにハマっているアイテムがあると言います。
「一昨年くらいから、魔法瓶にどハマりしたんです。出勤したらまず熱いお茶をたっぷり淹れて、1階と2階にそれぞれ常備。熱々のお茶がすぐに飲めるって、すごく便利ですよね。
食後すぐに熱いお茶が飲みたいなって時に、お湯を沸かすところから始めるのって少し煩わしい。そんな時、パッと注ぐだけ。魔法瓶のお茶を常備しておけば、そのまますぐに外出もできるし、出張先でも大重宝しています」
本日のおやつタイムは、頂きものの栗蒸し羊羹に合わせてほうじ茶をセレクトしてくれた渡辺さん。
「山本山のほうじ茶はすっきりしている印象ですね。香ばしさありながらキレもあるので、甘いものとの相性もいい。ほうじ茶って、やっぱり落ち着きますよね。仕事がひと段落して、ほっと一息つきたいときにもってこいのお茶です。まさに魔法瓶に淹れて、常備しておきたいお茶の一つです」
今回淹れたお茶は…
「ほうじ茶」
宇治茶中心の茶葉をブレンドし、茶葉の芯までじっくり焼き上げたほうじ茶。宇治産の茶葉を火入れしており、渋みが少なく爽やかで、香ばしい味わいに仕上げています。香り立つほうじの香りと共にお楽しみください。