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伊藤若冲さんに贈りたい
umami nutsの「運un」×深蒸 「せんちゃ」
贈り物には、相手のことを想いながら、好みや用途、ちょっとしたサプライズを想像しながら選ぶ楽しさがある。たとえばお茶。贈答品の定番に菓子や小物などのプラスαを添えるだけで、あなただけの特別なギフトに。フードスタイリストの西﨑弥沙さんが、歴史上のあの人や、尊敬するあの人物への贈りものを時空を超えて勝手にプレゼンテーション。贈りものとしてのお茶の新たな魅力のご提案として、ギフト選びのヒントにいかがでしょうか。

《動植綵絵》や《鳥獣花木図屏風》など鮮やかな色彩と驚異的な描写で知られる江戸時代中期の画家・伊藤若冲。一転、即興的な筆遣いとどこかユーモラスな水彩画も操り、「奇想の絵師」とも称され日本美術史上でも異彩を放つ存在。京都・錦市場にあった裕福な青物問屋の長男として生まれ、生粋の京都人であった若冲は、きっと食への関心も高かったに違いない。

そんな彼には、孫と祖父ほども歳の離れた友人がいた。それが煎茶を世に広めたとされる禅僧・売茶翁(ばいさおう)。茶と禅の心をひろめ、煎茶で真理を分かち合った風流人だ。同じ時代を生きた二人には深い交流があり、ほとんど肖像画を描かかなかった若冲が唯一彼の肖像画を残していることからも、その心酔ぶりがうかがえる。
形式ばった作法を廃し、たっぷりと時間をかけて、素朴に煎茶を楽しむ。そこに添えるのは、ポリポリと食べ進められる豆菓子が良いだろう。そんな風にお茶を楽しむ二人の姿を想像し、山本山の「深蒸 『せんちゃ』」と、<umami nuts>の「運un」を贈りたい。

渋みの少なく豊かな味わいの「深蒸 『せんちゃ』」に合わせて、禅の精神に通じる、あま、から、こく、さん、しおの五味を表現した<umami nuts>の豆菓子を。枯れ葉のような包みを開くと、3種類のナッツをローストし、煮詰めた黒糖でキャラメリゼした豆菓子が現れる。華美さはないものの侘び寂びを感じさせる粋な包装に、思わず感嘆のため息が漏れる。
「さまざまな種類の野菜と果物が描かれた絵巻《果蔬図巻》をイメージした」という西﨑さんのセンスが抜群である。小さきものたちを慈しむ眼差しを持つ若冲にこそ、ぜひ味わっていただきたい素朴で味わい深い豆菓子。

「運un」6,480円/umami nuts/問い合わせ www.umaminuts.com
今回贈り物に選んだお茶は…

深蒸 「せんちゃ」
静岡、鹿児島、宇治の各産地で採れた深蒸し茶を山本山独自の配合でブレンドしました。深蒸し製法で作られたお茶は水色(すいしょく)が濃く、渋みの少ない味わいです。