秋の味覚がひき立つケーキとお茶の調和
コース料理の最後に小さなエスプレッソが添えられるように、“食後のお茶” があることで、一皿の余韻はさらに広がります。家庭でつくれる身近な料理に合わせて、伝統あるお茶の魅力を再発見していただく企画。料理の背景やつくり方の工夫、そしてその一杯が生み出す調和を、料理研究家の夏井景子さんと担当編集者の対話を通じて紐解いていきます。

ー 秋のデザートといえば、やはりかぼちゃを使ったお菓子が思い浮かびます。今回ご紹介いただくチーズケーキの特徴を教えていただけますか?
夏井 かぼちゃは裏ごしせずに加えることで、自然な食感を残しています。ほっくりとした口あたりが楽しめるんです。さらに生クリームをたっぷりと使っているので、濃厚でありながら軽やかさも感じられる仕上がりになっています。そして隠し味として、生地とクッキーの間にシナモンを忍ばせています。甘みを引き締め、余韻に小さなアクセントを添えてくれるんです。

ー なるほど。秋らしさを感じさせながら、アレンジの幅もありそうですね。つくる際のコツはありますか?
夏井 チーズケーキは比較的失敗の少ないお菓子ですが、“焼きすぎないこと”が大切です。焼きたてはまだ柔らかく、ふるふるしていますが、冷めると自然に落ち着いて固まっていきます。また、クリームチーズは必ず柔らかくしてから混ぜること。これだけで、口あたりがぐっとなめらかになりますよ。

ー 今回合わせたのは「合組煎茶 山本山」です。複数の産地(鹿児島・静岡・京都)の茶葉を絶妙にブレンドした煎茶で、飲み口はとてもさっぱりとしていますね。実際に召し上がってみていかがでしたか?
夏井 しっかりとした渋みを感じますが、それが “心地よい渋み”なんです。苦味とは違う、香りをともなった上品な余韻があり、濃厚なチーズケーキの後に口の中をすっと整えてくれます。玉露に比べると軽やかで、日常の食卓に寄り添いやすいのも魅力ですね。

ー こういうデザート類は、食後に食べることが多いと思うのですが、甘さをやさしく洗い流してくれるので、その後にいただくお茶としてもしっくり合いましたね。
夏井 そうですね。食後はどうしても口をさっぱりさせたいという気持ちがありますから、ブレンドされたさっぱりとした煎茶はまさにぴったりだと思います。

ー 確かに毎日飲める、飽きのこない味わいです。スイーツにお茶というと、特に女性が普段から楽しんでいるイメージがありますが、この煎茶なら間違いないですね。幅広い種類のスイーツに寄り添えそうですし、山本山のブランド力があることで、お茶そのものへの信頼感も大きいと感じました。
夏井 年齢を重ねてくると、友人と会うときに “特別な理由があるわけではないけれど、ちょっと渡したい” というシーンが増えてくると思うんです。お茶は気軽に手渡せて、相手に負担を感じさせないのがいいところ。パッケージも上品なので、安心して選べます。それに、リモートワークが増えた今は、おうちでお茶を淹れる人も確実に増えていると思います。スイーツにはコーヒーもいいですけど、カフェインのこともあって一日に何杯も飲むのは難しいですが、お茶なら気兼ねなく、ずっと楽しめる。だからこそ、スイーツに合うお茶としてこの煎茶はギフトとしてもとても喜ばれるのではないでしょうか。

濃厚でやさしい甘さをもつかぼちゃのチーズケーキに、爽やかな渋みと香りの余韻を残す「合組煎茶 山本山」。ひと口のデザートと一服のお茶が響き合うことで、食後の時間はより豊かに、そして心に残るひとときとなります。
“〆は、お茶で。” ——そのささやかな習慣が、日常を静かに、そして確かに特別にしてくれるはずです。
今月のレシピ
かぼちゃのチーズケーキ

【材料】
・クリームチーズ 200g
・砂糖 60g
・卵 2個
・生クリーム 200cc
・かぼちゃ(正味)200g
・コーンスターチ 大さじ1
・全粒粉ビスケット 90g
・バター 30g
・シナモンパウダー 小さじ1

【つくり方】
①かぼちゃはワタをとり、皮付きのままラップをして600wのレンジに3分かけ柔らかくする(しっかり柔らかくなるまでレンジによって時間は変えてください)。皮を外し、フォークでしっかり崩す。クリームチーズと卵は室温に戻しておく。卵はボウルに入れ溶いておく。
②型にオーブンシートを敷く。ビニール袋に全粒粉ビスケットを入れ、綿棒でよくたたき細かくする。溶かしバターを加え全体がなじんだら型に入れる。スプーンの背でしっかり広げる。シナモンパウダーを全体にふりかける。
③ボウルにクリームチーズと砂糖を入れホイッパーでよく混ぜなめらかにする。①のかぼちゃ入れさらによく混ぜる。卵を3回にわけて入れ、都度よく混ぜる。生クリームを混ぜながら加え、最後にコーンスターチを入れよく混ぜる。
④170度のオーブンで40分焼く。粗熱がとれたら冷蔵庫にいれ、しっかり冷めたら型から外す。