
八十八夜とは?新茶の時期や由来、飲むと縁起が良い理由を解説
はじめに:「夏も近づく八十八夜」とは?
「夏も近づく八十八夜~♪」と聞くと、茶摘みの風景が目に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
ところで、この歌に出てくる「八十八夜」とは、一体どんな意味を持つ言葉なのでしょう?
「八十八夜」は、日本の暦に古くからある季節の節目、「雑節」のひとつ。
立春(2月4日ごろ)から数えて88日目の頃、ちょうど4月下旬から5月上旬にあたり、新茶、特に一番茶を摘むのに最適な時期なのです。茶摘み歌の歌詞は、この時季を表しているんですね。
例年5月上旬頃に巡ってくる八十八夜は、昔から農作業を始める目安とされてきました。
茶摘みのシーズンでもあるため、「八十八夜」といえば新茶のイメージが強く、「八十八夜に摘んだお茶を飲むと長生きする」という言い伝えもあるほどです。
実際に、最初に摘まれた新芽、一番茶は、茶葉に含まれる栄養成分が最も豊富であることがわかっています。
なぜ?八十八夜のお茶が縁起物とされる理由
「夏も近づく八十八夜…」と歌われるように、八十八夜は5月2日前後。
お茶は年に数回収穫時期を迎えますが、最初に摘まれた新芽で作る一番茶は、特に大切にされています。
そして、「八十八夜に摘まれたお茶は縁起が良い」という言い伝えは、各地に残っています。
例えば、「八十八夜のお茶を飲めば中風(脳梗塞などによる体のまひ)にならない」「八十八夜の新茶を飲めば長生きする」などが挙げられますが、この言い伝えには、科学的な根拠もあるのです。
茶葉に含まれる主な成分であるカテキン、カフェイン、アミノ酸類の含有量を調べたデータによると、これらの成分は八十八夜の頃に最も多く含まれており、その後徐々に減少していきます。
緑茶の渋み成分であるカテキンには、発がん抑制作用や生活習慣病予防、抗菌作用が期待できます。
苦味成分のカフェインは、疲労回復に役立ちます。そして、アミノ酸の一種であるテアニンは、リラックス効果をもたらすと言われています。
実際に、緑茶を多く飲む習慣が、脳卒中や心筋梗塞を経験した人の死亡リスクの低下と関係することが、大阪大学が実施した、大規模な疫学研究で明らかになりました。
これらのことからも、この言い伝えはただの迷信などではないといってよいでしょう。
もちろん、昔の人は、これらの成分に関する詳しいデータを持っていたわけではありません。
しかし、長年の経験から、「八十八夜の新茶は体に良い」ということを知っていたのかもしれません。
また、八十八夜は生命力あふれる新緑の季節。この時期のお茶を飲むことは、自然のエネルギーを体に取り込む、と考えられていたのかもしれませんね。
【予告】山本山から、とれたて新茶のお知らせ
当店、山本山でも、毎年5月上旬には、その年に収穫されたばかりの新茶が続々と入荷いたします。
栄養満点で、長寿にも良いとされる新茶を、ぜひ一度お試しください。きっと、その豊かな香りと味わいに、心も体も満たされるはずです。
販売開始まであと2週間余り。どうぞお楽しみに!