緑茶で肝臓ケア!炎症を抑える効果と正しい飲み方とは
はじめに
私たちの体内で黙々と働き続ける肝臓。その働きは、アルコールの分解、栄養素の貯蔵、解毒など多岐に渡り、生命維持に不可欠な臓器です。
しかし、この重要な臓器は、沈黙の臓器とも呼ばれ、初期段階では自覚症状が現れにくいという特徴があります。
知らず知らずのうちに進行する肝臓の炎症は、放置すると深刻な病気を引き起こす可能性もはらんでいます。
肝臓の炎症、その原因と進行
過剰なアルコール摂取、ウイルス感染、薬剤の影響、偏った食生活… これらは、肝臓に炎症を引き起こす要因となります。
これらの要因により、肝臓内では活性酸素が大量に発生し、細胞や組織を傷つけます。
この状態が続くと、酸化ストレスにより肝臓の機能が低下し、肝炎に。さらに結合繊維が増えて硬くなると、肝硬変に。それがやがてがん化して、肝臓がんになるリスクもあります。
自覚症状が少ないからこそ、日頃から肝臓の健康を意識することが大切です。
そこで注目したいのが、古くから親しまれてきた緑茶です。
緑茶に含まれるカテキンは、強力な抗酸化作用を持つことで知られていますが、近年、肝臓の炎症を抑える効果も期待されています。
肝臓を守る!緑茶の効能
1. 強力な抗酸化作用で炎症を抑制
緑茶に豊富に含まれるカテキン、特にエピガロカテキンガレート(EGCG)は、強力な抗酸化作用を持つことで知られています。
体内で最も大きな臓器である肝臓は、体を酸化させる活性酸素が最も発生しやすいと言われています。
エピガロカテキンガレート(EGCG)は、肝臓機能を低下させる恐れのある活性酸素を除去することで肝細胞を守り、肝硬変を引き起こす「肝細胞の線維化」を防ぎます。
カテキンが持つ強力な抗酸化作用は、肝炎、脂肪肝、肝硬変といった様々な肝臓疾患の予防に役立ち、病態の悪化や慢性化を防ぐと考えられています。
2. 肝炎ウイルスの感染をブロック
緑茶に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)は、肝炎ウイルスが細胞に侵入しようとすると、先回りして自らを肝炎ウイルスの表面タンパク質に結合することで、細胞への侵入を阻止する作用があります。
さらにエピガロカテキンガレート(EGCG)は、ウイルスが増殖するために必要な酵素の働きを抑制します。これにより、感染後も肝臓内でウイルスが拡散するのを避けることが可能となります。
これらの働きにより、緑茶は肝炎ウイルスの感染予防や、感染後の重症化抑制に役立つと考えられています。
3. 肝臓への脂肪蓄積を抑制
エピガロカテキンガレート(EGCG)は、肝臓内で脂肪酸の合成を促す酵素である「脂肪酸合成酵素(FAS)」の働きを阻害することで、脂肪酸の合成を抑え、脂肪の蓄積を抑制します。
さらに、脂肪の分解を促進する酵素である「リパーゼ」や「ミトコンドリア」を活性化させる効果も報告されています。
これにより、脂肪の分解や燃焼が促進され、肝臓内での脂肪蓄積の抑制に繋がるのです。
また、メカニズムは異なるものの、カフェインにも同様の作用があることが分かっており、緑茶を日常的に摂取することで、脂肪肝の予防も期待できます。
最新研究でわかった驚きの効果
近年、緑茶と肝臓疾患の関係に注目が集まり、多くの学術・研究施設でその効果が検証され、興味深い結果が報告されています。
例えば、久留米大学の小林英史教授らの発表により、緑茶に豊富に含まれるカテキンは、炎症を引き起こす物質の生成を抑え、肝細胞を損傷から守る働きがあることが明らかにされました。
さらに、カテキンには肝臓の線維化を抑制し、肝硬変への進行を遅らせる効果も報告されています。実際に、慢性肝炎の患者が緑茶を継続的に摂取することで、肝臓の炎症マーカーが減少したという研究結果も出ています。
また、別の研究では、緑茶の摂取が肝臓がんのリスクを低減する可能性も示唆されています。
効果的な飲み方
このように、肝臓の健康をサポートしてくれる頼もしい味方は、緑茶に含まれる主要なカテキンである「EGCG」と「カフェイン」という二つの成分です。
毎食後、熱いお湯でじっくりと淹れた濃い上級煎茶や普通煎茶を1~2杯、1日合計5杯以上を目安に味わってみてください。
85℃以上の熱いお湯で淹れることで、これらの成分がより効率的に抽出され、肝臓への効果を高めます。
「カフェインが気になる…」という方もご安心ください。
緑茶の代表格「普通煎茶」に含まれるカフェイン量は、1杯あたり20mg(コーヒーの3分の1)。1日のカフェイン摂取量の上限は、最大400 mgとされていますから、1日5杯程度の緑茶ならば、健康への悪影響の心配はご無用です。
毎日の習慣にしやすい煎茶で、おいしく手軽に、肝臓の健康を守りましょう。
まとめ
いかがでしたか。
緑茶に含まれるカテキンの抗炎症作用、抗酸化作用は、肝細胞を保護し、炎症の悪化を防ぐと考えられています。毎日の生活に緑茶を取り入れることは、肝臓への負担を軽減し、健やかな状態を保つことに繋がるかもしれません。
近年、生活習慣の乱れやストレスなど、肝臓への負担は増加傾向にあります。だからこそ、緑茶の力を借りて、肝臓をいたわる習慣を身につけることが大切です。
毎朝の目覚めの一杯、毎食後の一服、仕事の合間のリフレッシュ…ぜひ様々なシーンで緑茶を摂り入れてみてください。