手摘み?機械摘み?お茶の収穫方法を徹底解説
はじめに
茶葉は、摘み取る時期やその方法によって品質が大きく異なります。
品質面では手摘みがやはり一番良いといえます。手摘みとは文字通り、お茶の葉をひとつひとつ手で摘み取る、伝統的な摘採方法です。
とはいえ、手で摘むのはとても手間がかかるため、今日では機械での摘採が主流となっています。
摘採はスピードと丁寧さが求められる重要な仕事です。今回は古くから行われてきた手摘みから、近代的な機械摘みまで、代表的な摘採方法とその特徴について詳しく解説します。
3つの摘採方法
現在、国内で行われている摘採方法には、手摘み・はさみ摘み・機械摘みがあります。
さらに機械摘みの方法は機械の大きさや使用方法などで、可搬型・自走型・乗用型・レール式などいくつかに分類されます。
1. 手摘み
大正初期までは手摘みが主流でした。
ほとんど機械摘みに変わってきた現在も、新茶の季節に品評会に出すような上質なお茶を創ったりする場合は、今もなおこの方法が行われています。
また、玉露や碾茶のような自然仕立ての茶園では手摘みで行われます。非常に能率が悪く時間がかかる作業のため、摘採の最適期を逃さないように家族や親戚のほか近所の人手を借りながら、総出で作業することも多いです。
手摘みでは、機械では摘み取れない、柔らかい芽先や新芽の部分を丁寧に摘み取ることができるため、高品質な茶葉が得られます。また、品種や芽の状態をひとつひとつ確認しながら摘み取る部位や摘み方を変えることができるのも手摘みならではです。
一方で、前述したように収穫に時間がかかり、人件費がかかるため、生産量は少ないという特徴があります。
2. はさみ摘み
茶の摘採にはさみ摘みが登場したのは明治終期から大正初期です。
文字通り、手に持ったハサミ(手ばさみ)で摘採する方法で、刃先には切り取った茶葉が収まるように布袋が取り付けられています。
熟練すれば手摘みより5-10倍くらい効率が上がりますが、手ばさみによる摘採は細やかな操作が必要なため、習熟には時間を要します。
茶業の機械化が進み、大型の乗用型摘採機や小型の可搬型摘採機に取って代わられていますが、機械を使いにくい急傾斜地や小規模茶園では現在もはさみ摘みが使われています。
3. 機械摘み
近年では、労働力不足や効率化を目的として、機械摘みが普及しています。
機械摘みの特長としては、やはり生産性の高さが挙げられます。
手摘みに比べて、短時間で大量の茶葉を収穫することができるほか、機械が一定の基準で摘み取るため、品質が比較的安定しています。
一方で、 機械では、芽先や柔らかい部分まで丁寧に摘み取ることが難しいため、品質が若干劣るというデメリットもあります。
機械摘みと一言で言えど、以下のように様々な種類があり、時代を追って変化してきました。
1. 一人用動力小型摘採機
茶葉の収穫を効率的に行うために開発された最初の機械です。昭和30年代(1955年~)から導入されるようになりました。
短時間で多くの茶葉を収穫できることから、手ばさみより1.8倍ほど効率があがるようになりました。
その一方で一人作業のため効率が悪いことや、茶園の形状によっては使いづらさがあるなどのデメリットが挙げられます。さらに機会が重くて重労働になるため、二人用の可搬型摘採機に移り、現在では普及していません。
2. 二人用可搬型摘採機
1人用の小型摘採機とは異なり、2人で協力して操作し、茶畑を移動しながら作業を行える機械です。昭和40年代(1965年~)に実用化し、現在最も普及しています。
茶畝を挟んで二人で機械を持ち、畝間を歩きながら摘採します。摘採機には、エンジンと送風機が付いていて、刈り取られた茶芽は、風で袋の中に入るようになっています。
効率は手ばさみの数倍あがります。傾斜地や小規模茶園で多く普及しています。
3. 乗用型摘採機
山あいの茶畑とは違い、少し広さのある平坦な茶畑などは乗用型摘採機が使われています。高価ですが、労働負担が軽く効率が良いので、平たんで規模が大きい茶園で多く導入されています。
乗用摘採機は、一人で摘み採り作業はもちろん整枝作業もできるため、人手不足が深刻な茶農家では重宝されています。
当初は大規模農園を想定した大型機のみでしたが、現在は小型の乗用型摘採機が開発され、小規模な茶園でも導入が進んでいます。茶葉の収容方法も、袋に入り込むタイプやコンテナに収容するタイプなど様々です。
4. レール走行式摘採機
茶園の畝間にレールを設置し、レールの上を走行しながら摘採を行います。自走式と人力走行型がありますが、高さを細かく設定できるため、品質の良い手摘みに近い摘採ができるといわれています。
まとめ
いかがでしたか。
このように茶葉の摘採方法は、古くから続く伝統的な手摘みから、近代的な機械摘みまで、様々な方法が存在します。
それぞれにはメリットとデメリットがあり、茶の種類や生産状況に合わせて都度最適な選択がされながら、摘採方法も常に改良が加えられてきました
近年では、AIやロボット技術の導入により、より高度な摘採技術の研究が進んでおり、今後も茶葉の摘採は時代とともにますます進化を遂げていくことでしょう。