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記事: 缶・ペットボトルの緑茶の歴史|急須で淹れるお茶との栄養価の違いを大公開!

缶・ペットボトルの緑茶の歴史|急須で淹れるお茶との栄養価の違いを大公開!

缶・ペットボトルの緑茶の歴史|急須で淹れるお茶との栄養価の違いを大公開!

はじめに

「宵越しのお茶は飲まない」という昔からの言い伝えがあるように、緑茶は時間が経つと酸化し、風味が損なわれてしまいます。

しかし、現代では、緑茶のペットボトル飲料が身近な存在となり、いつでもどこでも手軽に楽しむことができるようになりました。

この背景には、緑茶の酸化を防ぎ、風味を保持するための様々な技術開発の歴史があります。

酸化を防ぎ、風味を守る技術

緑茶の缶入り飲料が初めて発売されたのは1985年と比較的最近のことです。

緑茶は、長時間放置すると酸化して色が変わり、細菌が増殖しやすいため、缶詰にするには様々な課題がありました。

特に、殺菌のために缶を加熱すると、緑茶本来の味や香りが損なわれてしまう点が大きな問題でした。

これらの問題を解決するために、まず、ビタミンCが添加されるようになりました。

ビタミンCには、緑茶の酸化を防ぐ働きがあり、同時に栄養価も高める効果があります。

緑茶の缶入りドリンクやペットボトル飲料の原材料に「ビタミンC」の表記があるのはこのためです。

そのほか、缶やペットボトル内の酸素を除去するために、窒素ガスが充填される技術も開発されました。

これにより、緑茶の鮮度を保ち、風味を損なうことなく製品化できるようになったのです。

新たな課題と解決策:澱の発生

缶入り緑茶の誕生から2年後の1990年。ついに世界で初めてのペットボトル入りの緑茶飲料が登場し、緑茶はさらに身近な飲み物となりました。

しかし、ペットボトル飲料には、缶詰にはない新たな課題も発生しました。

一つは、時間が経つと茶葉の成分が酸化して、容器の底に沈殿物が生じる「澱(おり)の発生」です。

緑茶は抽出後、数日が経つと酸化によってカテキン類が化学反応を起こして、粒状の浮遊物となり、容器の底に沈殿し始めます。

決して体に害はないのですが、この澱は、見た目を悪くするだけでなく、緑茶の爽やかな香りや旨みを損なう原因となります。

この問題を解決するために、伊藤園は、お茶の濁りの原因となる微粒子を除去する「ナチュラル・クリアー製法」を開発しました。

この特許技術により、お茶の抽出液を細かい膜でろ過し、透明度を高めることに成功。さらに、国産の新鮮な茶葉を使用することで、香り豊かで味わい深いお茶を実現しました。

現在もペットボトル飲料を扱う各社は、茶葉の種類や抽出方法を工夫し、より美味しく、長期保存可能な緑茶飲料の開発に力を入れています。

急須とペットボトル、どちらを選ぶ?

これらの技術革新によって、現在は緑茶をいつでもどこでも手軽に、そして美味しく楽しむことができるようになりました。

それと同時に、お茶は『自宅で飲むもの』『急須で淹れるもの』から、『買って飲むもの』『いつでもどこでも飲めるもの』というように私たちの認識も変わってきました。

近年、ペットボトルや缶入りのお茶は、その製法の進歩により、風味豊かなものが数多く登場しています。

しかし、これらの製品は、品質保持のために高温殺菌処理が行われることが一般的です。この過程で、緑茶に含まれるカテキンなどの有効成分が一部失われてしまう可能性がある点が指摘されています。

また、急須で茶葉をじっくりと時間をかけて抽出するのに対し、ペットボトル茶は短時間で抽出されるため、栄養成分の抽出率が低いという見方も存在します。

栄養価の比較:急須 vs ペットボトル

実際に、急須で淹れたお茶とペットボトル・缶入りの緑茶とでは栄養価には大きな差があることが京都府消費生活科学センターの調査で明らかになりました。

例えばポリフェノール量は、急須で淹れたお茶のほうがペットボトルのお茶の約1.4倍、カテキン量は約2.5倍、カフェインは3倍、アミノ酸は4-5倍、カリウムも2-3倍と大きな差があります。

特に茶カテキンは、抗酸化作用が高く、生活習慣病予防やがん予防、認知症予防などにも効果が期待される成分です。

もし、カテキンの健康効果が目的ならば、急須で淹れる緑茶のほうが効率的に摂取できるのでお勧めです。

人気が高まる「特定保健用食品」飲料

カテキンを効率的に摂取したいと考える方は、「特定保健用食品」に目が向きがちです。

これらの商品は、カテキンを豊富に含むため「体脂肪を減らす」「脂肪の吸収を抑える」などの効果が期待できます。

しかし、価格が高いため、毎日続けるには経済的な負担が大きくなってしまいがちです。

市販の特定保健用食品である緑茶飲料は、商品により含有量は異なりますが、100mlあたり平均で80~100mgのカテキンが含まれています。

一方、ご家庭で急須を使って淹れた緑茶の場合、1杯(約100ml)あたり約50mgのカテキンを摂取することができ、毎日低コストで手軽にカテキンを補給することができます。(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)

もちろん、茶葉の種類や淹れ方によって、カテキン量は変化します。

より多くのカテキンを摂取したい場合は、高品質な茶葉を選んだり、濃いめに淹れたりするなどの工夫も可能です。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

急須で淹れたお茶は、自然な風味と豊富な栄養価を味わえるという点で、健康志向の人にはおすすめです。

一方、ペットボトルのお茶は、手軽にどこでも飲めるというメリットがあります。

どちらを選ぶかは、個人の好みやライフスタイルによって異なります。

自宅でゆっくりと、余すことなく茶葉に含まれる栄養素を摂取したい場合は、急須で淹れたお茶を、出先などで手軽にお茶を楽しみたい場合は、ペットボトルのお茶を選ぶと良いでしょう。

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