緑茶がコレステロールを下げるってホント?効果的な飲み方
はじめに
健康診断でコレステロール値が気になる、という方も多いのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのが緑茶です。緑茶に含まれるある成分がコレステロール値を改善することが数々の研究で分かっています。
そもそもコレステロールとは
その前にみなさん。コレステロールについてきちんとご存じですか?
コレステロールとは、体の中には4種類ある脂質のうちの一つです。なんとなく悪者扱いされがちなコレステロールですが、細胞膜やホルモン、胆汁酸などの構成成分として、私たちが健康を維持するために必要な働きをしています。
コレステロールの善玉と悪玉の違い
コレステロールには、主に以下の2種類があります。
-
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
:血管壁に蓄積し、動脈硬化の原因となる可能性があります。 -
HDLコレステロール(善玉コレステロール)
:血管壁に蓄積したLDLコレステロールを回収し、肝臓へ運ぶ働きがあります。
このように、問題とされるのは主にLDLコレステロールです。
LDLコレステロール値が高くなると、高コレステロール血症と診断されます。高コレステロール血症は、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などのリスクを高めることが分かっています。
コレステロールを下げてくれる正体
さて、本題に戻します。緑茶に含まれるコレステロールを下げてくれる正体、それはポリフェノールです。ポリフェノールの作用により、血中コレステロールが減少することが分かっています。
緑茶にはポリフェノールという成分が豊富に含まれています。100gあたりのポリフェノール含有量は以下の通り。このことからも緑茶にいかに多くのポリフェノールが含まれているかお分かりいただけるのではないかと思います。
100gあたりのポリフェノール含有量
- 赤ワイン:230
- 抹茶:200
- コーヒー:200
- 緑茶(煎茶):115
- 紅茶:96
- トマト・野菜ジュース:69
- ココア:62
- ごぼう:49
- ホウレンソウ:42
- 烏龍茶:39
- 豆乳:36
- 麦茶:9
そもそもポリフェノールって何?
ポリフェノールとは、植物が紫外線や病害虫から身を守るために作り出す苦味や渋味、色素の成分の総称です。
ポリフェノールには、5,000種類以上もの種類があり、構造によってフラボノイド類、アントシアニン類、ポリフェノール酸類などに分類されます。
ポリフェノールは、赤ワイン、緑茶、コーヒー、ココア、チョコレート、ナッツ類、ベリー類などに多く含まれています。緑茶に多く含まれるカテキンについても、ポリフェノールの一種です。
ポリフェノールがコレステロール値を下げる4つの科学的根拠
ポリフェノールがコレステロール値を下げるメカニズムは、主に以下の4つの作用によるものです。
1. LDLコレステロールの酸化・蓄積を防ぐから
ポリフェノールには、強い抗酸化作用があります。LDLコレステロールは、血管壁に蓄積すると酸化して悪玉コレステロールとなり、動脈硬化の原因となります。ポリフェノールにはLDLコレステロールの酸化・蓄積を防ぐ効果があります。
2. 腸管でのコレステロール吸収を抑制するから
ポリフェノールの一種であるカテキンやテアニンには、腸管でのコレステロール吸収を抑制する効果があることが分かっています。食事から摂取したコレステロールが血液に取り込まれるのを抑えることで、血中コレステロール値を下げる効果が期待できます。
3. HDLコレステロールを増やすから
HDLコレステロールは、善玉コレステロールと呼ばれ、血管壁に蓄積された悪玉コレステロールを回収する働きがあります。ポリフェノールの一種であるフラボノイドには、HDLコレステロールを増やす効果があることが分かっています。
4. LDLコレステロールを低下させるから
豊富に含まれているポリフェノールの一種であるカテキンには、LDLコレステロールを減少させる作用があると言われています。一方で、善玉と言われる「HDLコレステロール」には影響を及ぼさず、さらに体脂肪の吸収を抑制する効果もあります。
このように、毎日の生活にお茶を取り入れることは、コレステロール管理に効果的です。
お茶がコレステロールを下げるとされる科学的根拠については、古くから多くの研究がなされており、有効性が確認されています。
ヒトの臨床試験においても、緑茶摂取によってコレステロール値が改善されたという報告があり、これを受けて近年多くの特定保健用食品が販売されています。緑茶や烏龍茶などお茶の種類は様々ですが、いづれもポリフェノールの働きで脂肪の吸収を抑制することを打ち出しています。
コレステロールを意識したい方におすすめのお茶の種類
おすすめのお茶の種類は様々ありますが、まず、飲みやすさという観点からも、最もおすすめするのは緑茶(普通煎茶)です。
前述したように、緑茶にはポリフェノールが豊富で、コレステロールを下げる効果が期待できます。食事と一緒に楽しむほかに、朝シャキッと目を覚ましたいときや、夜ほっと一息つきたいときなど習慣的に飲むとよいでしょう。
続いて、抹茶も大変おすすめです。日常的に飲むイメージがないかもしれませんが、抹茶には緑茶の約二倍のポリフェノールが含まれており、高い健康効果が期待できます。
そもそも抹茶とは、お茶の中でも選りすぐった上質な茶葉を挽いて粉末にしたお茶を指します。茶葉を抽出して飲む緑茶に比べて、抹茶は細かく引いた茶葉をそのままお湯に溶かしているため、ポリフェノールを余すことなく体に取り入れることができます。さらに、抹茶には他のお茶に比べてカテキンが豊富に含まれており、健康効果が高いとされています。
また、ウーロン茶も酵素が含まれており、脂肪の分解を助けるとされています。
日本茶以外にも、ハーブティーやルイボスティーなどもおすすめです。例えばルイボスティーにはフラボノイドが含まれ、コレステロール値の改善に役立つと言われています。
お茶の種類によって異なる成分が含まれており、自分の体に合ったお茶を選ぶことが大切です。
コレステロールを下げるお茶の飲み方
以下では、コレステロールを下げるためにより効果的なお茶の飲み方をご紹介します。
1. 飲むタイミング
食事と一緒にお茶を飲むことで、食後の血糖値の上昇を抑え、コレステロールの吸収を抑制することができます。
食事の直前でも構いませんが、胃が刺激されることでかえって食欲がわく可能性があるほか、空腹時のカフェイン摂取は胃酸の分泌を促進させる可能性があり、あまりよくありません。一番良いのは食事中に一緒に飲むことです。
2. お茶を淹れる温度
80度以上の高い温度で入れるようにしましょう。お茶は熱湯で淹れることでポリフェノールがしっかりと抽出されるため、効果的に摂取することができます。
3. 飲む量と頻度
まず、1日に3〜4杯程度を目安に摂取しましょう。
食事と一緒に摂るほか午後のティータイムなどもおすすめです。お茶の摂取量を適切にコントロールすることで、コレステロール値の改善につながります。
まとめ
いかがでしたか。
お茶に含まれるポリフェノールにはコレステロールを減少させる効果があり、活性酸素が引き金となって起こるがんや、動脈硬化、心筋梗塞などの生活習慣病の予防に効果があるとされています。
そのほかにも、糖の吸収を抑えることによる糖尿病予防やミュータンス菌の増殖を抑えることによる虫歯・口臭予防効果などさまざまな健康効果があります。
厚生労働省が定める 「日本人の食事摂取基準(2017年版)」のなかでは 現在、ポリフェノールをどれくらい摂取すべきか定められていませんが、毎日習慣的にポリフェノールを摂取することで、健康や病気の予防に役立つと考えられています。
もちろん、いくら体に良いからといっても飲み過ぎは厳禁です。緑茶に含まれるカフェインの過剰摂取はかえって体に悪い影響を与える可能性があります。コレステロール値を下げるためには、お茶の摂取だけではなく、食事の見直しと適度な運動も重要です。
お茶の飲み方を工夫しながら、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。