プロ直伝!香り高いお茶を淹れるコツ大公開
はじめに
お茶の美味しさをバランスよく引き出すためには、どうすればよいでしょうか。
同じお茶の葉を用いても、淹れ方によって、その味わいは大きく変わります。
一口に「美味しいお茶」と言っても、人によって好みは様々ですが、お茶の持つポテンシャルを最大限に引き出すためには、科学的な視点から淹れ方を考えることが重要です。
湯の温度と浸出時間が味の決め手
同じ茶葉を使っているのに、淹れ方によって味が大きく変わる。そんな経験は、お茶好きなら誰しも一度は味わったことがあるのではないでしょうか。
実は、お茶の味は、お茶に含まれる様々な成分が、お湯にどの程度溶け出すかによって決まります。
そして、この溶け出し方を左右する最も重要な要素が、「湯の温度」と「浸出時間」の2つなのです。
1. お湯の温度について
お茶の味を構成する成分は、お湯の温度によって溶け出す量が異なります。
一般的に、お湯の温度が高いほど、多くの成分が抽出されます。しかし、成分によって、低い温度での溶け出しやすさに違いがあるのです。
2. カテキンは高温で良く溶ける
カテキン類の中でも、特に渋みが強いエステル型カテキン(EGCgやECg)は、冷水にはほとんど溶けません。
一方、遊離型カテキン(ECとEGC)やカフェインは、エステル型カテキンに比べると、冷水にもある程度溶け出す性質を持っています。
3. アミノ酸は低温で溶けだしやすい
また、溶け出すまでの時間にも違いが見られます。カテキン類は、お湯に浸ける時間が長くなるほど溶け出しますが、カフェインは高温のお湯であれば、比較的短時間で溶け出します。
一方、アミノ酸類は、カテキン類に比べて低温でも溶け出しやすく、抽出時間も短いという特徴があります。
このように、お茶の成分は、お湯の温度や浸ける時間によって、抽出される量が変化します。そのため、同じ種類のお茶でも、淹れ方によって味が大きく変わるのです。
例えば、冷茶のように低い温度で長時間浸ける場合は、カテキン類よりもアミノ酸の風味が出やすくなります。
アミノ酸は、お茶のうまみや甘味のもととなる成分です。
一方、苦みや渋み成分であるカテキン類やカフェインは、低温のお湯では溶け出しにくい特徴があります。
そのため、低い温度で淹れたお茶は、苦みや渋みが少なく、まろやかな味わいとなります。
4. カフェインは高温で溶けだしやすい
反対に、高温のお湯で淹れると、カテキン類やカフェインが溶け出しやすくなります。これらの成分は、お茶に苦みや渋みを与えるため、高温で淹れるほど、味が濃く、きりっとした力強い印象になります。
お茶の種類によっても、含まれる成分の量やバランスが異なります。そのため、同じ温度のお湯でも、お茶の種類によって味が大きく変わるのです。
お茶の種類で淹れ方を変える
お茶の種類によって、その特徴を最大限に引き出すための淹れ方は異なります。
玉露や上級煎茶のような上質な茶葉は、旨み成分であるアミノ酸をじっくりと引き出すために、低めの温度でゆっくりと淹れるのがおすすめです。
玉露であれば、50度から60度の湯で2分から2分半ほど、上級煎茶であれば、70度ほどの湯で約2分が目安です。
ただし、最近は上級煎茶でも浸出しやすいものが増えており、お茶の種類によって浸出時間は調整する必要があります。
一方、下級煎茶や番茶など、日常的に飲まれるお茶は、旨み成分よりも苦みや渋みが特徴です。これらの茶葉は、熱湯で短時間で淹れることで、爽やかな苦みや渋みを楽しむことができます。
20秒程度の短い時間で淹れると、濃厚な苦味や渋みが引き出され、さっぱりとした味わいが楽しめます。
このように、お茶の種類によって、最適な湯温や浸出時間が異なります。それぞれの茶葉の特徴を理解し、適切な淹れ方をすることで、より美味しくお茶を楽しむことができるでしょう。