緑茶で心も体も健やか生活!自律神経のバランスを整える効果とは
はじめに
現代社会では、ストレスを感じやすく、自律神経のバランスが乱れがちです。
イライラや不安を感じることが多く、少しでも心身のリラックスを求めている方も多いのではないでしょうか。
実は、緑茶に含まれるある成分が、そんな悩みを解決するヒントになるかもしれません。
今回は、緑茶を飲んで自律神経を整えるメカニズムや効果的な飲み方についてご紹介します。
私たちがストレスを感じると…
知人に嫌味やおせっかいを言われたり、上司からよくわからない仕事をいきなり振られたり・・そんな時、不安やストレスを感じる方が多いのではないでしょうか。
「うわ、最悪…」「あぁ、いらいらする」そんな気持ちを抱いたときには、私たちの感情を司る脳の部位である大脳辺縁系が活性化しています。
この活性化が引き金となり、体全体に「危機が迫っている」というシグナルが送られるのです。
その結果、免疫系、自律神経系、内分泌系といった体のネットワークに信号が送られ、身体全体に影響が及びます。
例えば、免疫細胞の働きを抑制する結果、体内に侵入したウイルスや細菌に対抗する力が弱まり、感染症にかかりやすくなります。
内分泌系に支障をきたすことで、血糖値や血圧を上昇するほか女性については生理不順を引き起こします。
また、自律神経のバランスが崩れると、不眠、疲労感、イライラ感など、様々な不調が現れることがあります。
身体の危機反応は、すぐに終われば問題ないのですが、慢性化すると病気や不調、脳の老化にも影響してきます。
自律神経の乱れとは
前述したようにストレスを感じると、心身に様々な不調が現れることがあります。
例えば、動悸がしたり、呼吸が浅くなったり、食欲がなくなったりするなど、人によって症状は様々です。これらの症状は、私たちの体の働きをコントロールしている自律神経のバランスが崩れることで起こると考えられています。
自律神経は、大きく分けて交感神経と副交感神経の2つがあります。
交感神経は、私たちが活動している時や緊張している時に働く神経で、心拍数を上げたり、血圧を上昇させたりします。
一方、副交感神経は、リラックスしている時や睡眠時に働く神経で、心拍数を下げたり、消化活動を活発にしたりします。
ストレスを感じると、交感神経が過剰に働いてしまい、心身が緊張状態になります。この状態が長く続くと、副交感神経の働きが低下し、自律神経のバランスが崩れてしまうのです。
自律神経は二つの神経のバランスが大事
交感神経と副交感神経にはそれぞれ下記のような相対関係にある体の機能を調節する役割があり、どちらか一方に偏るのではなく、バランスを取りながらメリハリをつける生活が健康的といえます。
自律神経の主な働き
体の部位 | 交感神経 | 副交感神経 |
全般 | 活動・興奮・緊張 | リラックス・弛緩 |
脳の血管 | 収縮 | 弛緩 |
瞳孔 | 開く | 閉じる |
唾液 | ねばねば | サラサラ |
心拍数 | 増える | 減る |
血管 | 収縮 | 弛緩 |
胃腸 | 抑制 | 活発 |
膀胱 | 収縮 | 拡張 |
緑茶と自律神経の関係
そんな中、古くから私たち日本人に親しまれてきた緑茶が、自律神経のバランスを整える上で注目されています。
人がリラックスしているときにはα波という脳波が出ていることはよく知られています。
例えば好きな音楽を聴いているときやお風呂に入ってくつろいでいるとき、自然の中を散歩しているときなど、精神的に落ち着いている「気持ちの良い時間」に脳波を調べてみると、リラックスの指標であるα波が出ていることが実験によって明らかにされています。
緑茶に多く含まれるアミノ酸の一種、テアニンには、このアルファ波を増やす働きがあることが研究で明らかになっています。
つまり、お茶を飲むことは、単に喉を潤すだけでなく、脳の働きを調整し、心身のリラックスを促す効果があると言えるのです。
緑茶が自律神経を整える理由
1. テアニンによってストレス反応が和らぐ
前述したように、緑茶のストレス軽減に貢献している成分はテアニンです。
私たちは嫌なことに直面したり不安を感じると、体内の交感神経が優位になるため、身体が強張ったり心拍数があがったりします。
ところが、緑茶に多く含まれるテアニンには、脳の神経伝達物質であるGABAの働きを助ける作用があります。これにより、脳波のα波が増加し、副交感神経が優位になります。
リラックスしている状態では、α波と呼ばれる脳波が多く観測されます。
これは、脳がリラックス状態にあることを示す指標の一つです。一方で、α波が増加すると、副交感神経が活性化され、心身がリラックス状態になるという研究結果も報告されています。
つまり、α波と副交感神経の活性化は、相互に影響し合う関係にあるのです。
不安を抱えてイライラしている状況において、無理やりにでも緑茶を飲みテアニンを摂取することで、ストレスで興奮した脳を落ち着かせ、心身の緊張を緩和することができます。
特に、低い温度で抽出した緑茶は、カフェインによる覚醒作用を抑え、テアニンのリラックス効果を最大限に引き出すことができることが確認されています。
ある研究では、低カフェインの緑茶を飲んだグループは、普通の緑茶を飲んだグループに比べて、ストレスの指標となる唾液アミラーゼの量が減少することが明らかになりました。
これは、低カフェインの緑茶が、私たちの体にかかるストレスを軽減する効果があることを示唆しています。
2. 香気成分が自律神経のバランスを調整
緑茶の豊かな香りは、私たちの心を落ち着かせ、リラックス効果をもたらすことが知られていますが、これも単なる「良い香り」ではなく、私たちの心身に深い影響を与えます。
特に、自律神経系に働きかけ、リラックス効果をもたらすことが科学的に解明されています。
鼻から嗅いだ香りは、脳の嗅球を経由して大脳辺縁系に伝わります。
大脳辺縁系は、自律神経系と密接に繋がっています。アロマの香りは、この大脳辺縁系を刺激することで、自律神経のバランスを調整する機能を果たします。
この体の作用を利用したものがアロマテラピーです。
ラベンダーやジャスミン、ローズマリーなど、リラックス効果が謳われているハーブティーを飲んだり、アロマオイルを焚いたりしてリラックスを図るなど、香気が及ぼす精神安定作用は広く一般に活用されています。
アロマと緑茶の香りは全くの別物と認識していた方もいらっしゃるかもしれませんが、これらはどちらも植物が作り出す香気成分です。
緑茶の魅力の一つに、淹れたときに立ち上る香りがありますが、その香気成分はなんと600種類にも上るといわれています。
煎茶に含まれる青葉アルコールや玉露に含まれるジメチルスルフィド、ほうじ茶に含まれるピラジン類などその数は多岐に渡しますが、このように多くの香気成分を含む緑茶なので、ハーブティーやアロマオイル同様の効果が期待できます。
最近は緑茶を焚いて香りを楽しむためのグッズも発売されているので、忙しいときや疲れたとき、リラックスしたいときなどに、一度試してみてはいかがでしょうか。
5. お茶を飲む際のポイント
現代社会では、仕事や人間関係などによるストレスが常に付きまといます。なんとか心を落ち着かせたいというときは、水出し煎茶でひと息つきましょう。
緑茶にはカテキンやビタミンなど体に良い成分が豊富に含まれていますが、なかでも最もストレス軽減効果がある成分は、アミノ酸の一種であるテアニンです。
テアニンは被覆栽培をするほど含有量が増えるので、特に、玉露や抹茶などがお勧めです。
また、低温で抽出することで、テアニンを効率的に摂取でき、カフェインの影響を最小限に抑えることができます。時間をかけてじっくり抽出した水出し緑茶を飲むことで、自律神経を整える効果があるでしょう。
6. 上手に使い分けることで自律神経をコントロールしよう
緑茶をうまく摂取することで、一日のはじまりに、熱々の緑茶でシャキッと目覚め、一日の終わりには、穏やかな気持ちで眠りにつける。そんな理想的な生活を送ることができるかもしれません。
緑茶に含まれるカフェインは、脳を刺激し、集中力を高める効果があります。一方、テアニンはリラックス効果をもたらし、穏やかな状態へと導きます。
この二つの成分を適切なタイミングで摂取することで、自律神経のバランスを整え、生活リズムを最適化できるのです。
例えば、午前中はカフェインを多く含む熱湯で淹れた緑茶を、夜はテアニンを多く含む冷茶を飲むなど、時間帯によって飲み分けることで、より効果的にこれらの成分の働きを活用できます。
最近の研究では、カフェインとテアニンを同時に摂取することで、集中力がさらに高まるという結果も出ています。
これは、カフェインが脳を活性化させ、テアニンがその興奮状態を穏やかにする、相乗効果が期待できるためと考えられています。
7. まとめ
いかがでしたか。このように、緑茶に含まれるテアニンは、リラックス効果をもたらし、自律神経のバランスを整える働きがあります。
忙しい現代社会において、お茶を飲む習慣は、心身のリフレッシュに繋がります。
緑茶は単なる飲み物ではなく、私たちの心身に多岐にわたる影響を与えます。ぜひ、あなたも今日から、お茶を飲む習慣を始めてみませんか?