冬のインフルエンザ対策に緑茶!効果的な飲み方・うがいの方法
はじめに
毎年冬になると、インフルエンザの予防対策は欠かせません。
ワクチン接種や手洗いうがいなど、様々な予防法が知られていますが、実は、毎日のように飲んでいるあの飲み物にも、インフルエンザ予防効果が期待できるのです。それは、緑茶です。
緑茶に含まれるある成分が、インフルエンザウイルスに対して驚きの働きをすることが、科学的に証明されています。
緑茶が持つ強力な抗ウイルス効果
古くから、タバコ農家では、タバコモザイクウイルスを防除するために緑茶の浸出液が使われてきた歴史があります。
このことから、緑茶が植物ウイルスに対して効果があることは以前から知られていました。
近年、この知見を基に、緑茶の成分であるカテキン類(エピガロカテキンガレート(EGCG)とエピガロカテキン(EGC))が病気のウイルス、特にインフルエンザウイルスに対してどのような効果をもたらすのか、数多くの研究が行われてきました。
その結果、緑茶に含まれるカテキン類は、インフルエンザウイルスに対する強力な抗ウイルス作用を持つことが、数々の研究によって明らかになってきたのです。
緑茶がインフルエンザ予防に有効な理由
1. インフルエンザウイルスを直接ブロックするEGCG
まず、緑茶の主要成分であるエピガロカテキンガレート(EGCG)は、強い殺菌・抗菌作用を持ち、ウイルスや細菌の増殖を抑制します。
特に、インフルエンザウイルスに対しては、ウイルス表面のスパイク(トゲトゲの部分)に入り込むことで、ウイルスが細胞に侵入するのを阻止する働きがあります。
興味深いことに、EGCgは非常に高い抗ウイルス活性を持ち、通常の飲用濃度よりも数十倍に薄めても効果が認められています。
また、最近の研究では、EGCgがウイルス感染細胞のアポトーシス(自滅)を誘導し、ウイルスの増殖を抑制する可能性も示唆されています。
さらに、細胞表面に付着してウイルスに対するバリアを形成することで、感染を防ぐ働きも担っています。
2. 免疫力を高め抗体を増産するEGC
一方、エピガロカテキン(EGC)は、私たちの体内に備わっている免疫力を高める働きがあります。
私たちの体は、細菌やウイルスなどの異物が侵入すると、マクロファージと呼ばれる免疫細胞が働き、抗体を産生してこれらに対抗します。
緑茶に含まれるエピガロカテキン(EGC)は、この免疫細胞の働きを活性化し、抗体を増産することで、異物に対する防御反応を強化します。
実験結果から紐解く緑茶のインフルエンザ予防効果
インフルエンザの予防に緑茶が有効であるとする説については、基礎研究から臨床研究まで、幅広い分野で研究が進められており、その有効性が示唆されています。
昭和大学医学部名誉教授・島村忠勝氏の臨床実験では、緑茶の抽出液にインフルエンザウイルスを接触させたところ、短時間でウイルスが不活性化されるという結果が得られました。
この結果は、緑茶の持つ強力な抗ウイルス作用を裏付けるものです。
その後、研究者たちは、動物の腎細胞を使って実験を行いました。
この細胞にインフルエンザウイルスを感染させたのち、緑茶に含まれるカテキンを添加することで、インフルエンザウイルスを抑制できるかどうかを調べたのです。
その結果、緑茶の成分である「エピガロカテキンガレート(EGCg)」が、ウイルスが細胞に侵入するのを強力に阻害することが明らかになりました。
そのほか、豚やマウスを使った実験でも、緑茶に含まれるカテキンを摂取することで、インフルエンザの発症率が低下することが報告されています。
また、ヒトを対象とした臨床試験の結果、緑茶を用いたうがいは、インフルエンザの予防効果を示唆するデータが得られています。
市販のうがい薬との比較実験においても、緑茶は同等以上のインフルエンザウイルス感染阻止効果を発揮することが確認されており、緑茶のうがいは手軽で効果のあるインフルエンザ予防策として注目されています。
緑茶の飲み方と効果的な摂取方法
緑茶うがいは、手軽で効果的なインフルエンザ予防法として、日常的に取り入れることが推奨されます。
うがいの仕方によっても個人差が出てしまうところがありますが、カテキンに強い殺菌効果があることは間違いなく、しかもインフルエンザの型に関係なくその効果を発揮することも、前述の島村教授の臨床実験にて証明されています。
緑茶でうがいをおこなう場合は、1~2煎目までを使用するとより効果的です。
朝起きたとき、外出前、帰宅後など、こまめに行うことでより効果的に予防ができるでしょう。
特に、のどに違和感を感じた場合は、すぐにうがいを行うことをおすすめします。
熱いお湯で入れた緑茶には、ウイルスを撃退するEGCGが豊富に含まれており、濃い目の煎茶を飲むことで、インフルエンザなどの感染症予防に役立ちます。
外出前には熱い緑茶を飲むほか、帰宅後は熱く淹れた緑茶を人肌程度まで冷まし、濃いめの煎茶でうがいをしたりすることで、より効果的にウイルスから身を守ることができます。
ふたつの緑茶習慣で免疫力アップ
インフルエンザや感染症予防には、緑茶に含まれるカテキン類、特にエピガロカテキンガレート(EGCG)とエピガロカテキン(EGG)の両方の力を活用することが重要です。
EGCGの持つ強力な効果については、上で述べた通りですが、EGCも習慣的に摂取しましょう。
水出し緑茶には、免疫力を高めるEGCが豊富です。
熱いお湯で淹れた緑茶には、EGCとEGCGは同程度含まれるのですが、EGCの作用がEGCGに打ち消される可能性が高いといわれています。
冷水で淹れると、EGCGの抽出が抑えられ、EGCが影響を受けにくくなるため、免疫力アップがより期待できます。
また、低い温度で抽出することで、お茶の渋みや苦味、カフェインが少なく、飲みやすいというメリットもあります。
毎日、水出し緑茶を飲む習慣をつけることで、体の抵抗力を高め、様々な感染症から身を守ることができます。
加えて、インフルエンザや風邪が流行っている時期には帰宅前後の熱いお茶とお茶うがい。
これらの習慣を組み合わせることで、より効果的に健康な日々を送ることができます。
まとめ
このように、緑茶に含まれるカテキンは、インフルエンザウイルスに対する強力な抗ウイルス作用を持ち、日常的に飲用することや緑茶でうがいをすることで、インフルエンザ予防に効果が期待できます。
また、緑茶には、口腔内の健康維持や、体の内側から健康をサポートする様々な効果が期待できます。
例えば、カテキンは口腔内の細菌を抑制し、虫歯や口臭予防に役立ちます。また、お茶に含まれるフッ素は、歯のエナメル質を強化し、歯を健康に保つ効果があります。
さらに、カテキンには抗酸化作用があり、体内の活性酸素を除去することで、老化や生活習慣病予防にもつながると考えられています。
風邪やインフルエンザの季節に限定せず、ぜひ毎日の習慣にしてください。