水引と熨斗の基礎知識!日本の文化、贈り物に込められた想い
水引とは
水引とは、結婚式などのお祝い事におけるご祝儀袋や贈り物の包みに添えられる帯紐のことです。
未開封である証拠や魔除けといった意味を持つとともに、一度結んだらほどけないことから、「紐を結ぶことで人と人を結びつける」という意味も持ちます。贈り物を通じて、贈り主と贈られたお相手の心を結びつけ、関係をより深める象徴として用いられてきました。
水引は実は和紙!
当社をはじめ、現在は掛け紙に印刷された水引が多くなっていますが、本来、水引の材料となっているのは、和紙です。
丈夫でしなやかな和紙を数枚 まとめて、ねじねじとひねって一本にします。それを、糊を溶かした水に浸け、乾燥をさせたのち、染料で色付けをされて、私たちが目にする水引となります。
水引の色
水引の色は慶事と弔事で異なります。色の使い分けは古式日本の染色の格付けが由来とされています。以下が染色の格付けです。
金-銀-紫-赤-藍-緑-黄-黒
左側が格式が高く『慶ぶ』に繋がり、右側が格式が低く『忌み』に繋がります。
また、色それぞれにも意味があり、お祝い事には、めでたいことを象徴する「赤白」や、富や幸福を表す「金」、感謝や誠意を表す「銀」が使われます。
一方、弔事においては、「黒白」や「双銀」「黄白」が使われます。 そもそも、日本における“喪を表す色”は「白」でした。
実際、日本書紀のなかで当時の「喪服」が白であったとされる記述があります。それが、明治以降、「黒色」が喪に服す色として浸透してきたため、葬儀や仏事においては「白×黒」の水引が使用されるようになったとされています。白は穢れのない色として清浄を表しています。
また、関東圏の方はあまり見慣れないかもしれませんが、京都をはじめとする関西圏や北陸の一部では「黄白」が使われます。
関西地方で黄白が一般的なのは、日本の首都が京都だったころの公家社会の習慣が残っているからだと言われています。
水引の本数
水引の数についても決まりがあり、奇数が基本です。基本的には5本を使用しますが、簡易的に3本が使われることもあれば、高額な贈り物をする際に7本を用いるケースもあります。
ちなみに、9本は「苦」を連想させることから使用しません。また慶事の中でも特におめでたいとされる婚礼関係においては、5本を倍にした10本の水引が選ばれます。
熨斗とは
熨斗について正確に理解している方は実は少ないかもしれませんが、熨斗(のし)とは、一般的に慶事における進物や贈答品に添える飾りのことを指します。
この「熨斗」。実はもともとは貝の鮑(あわび)なのです。あわびを薄く切って乾かし、その後伸ばした「のしあわび」が起源であるといわれています。
熨斗の起源
熨斗の起源は、神事や祝儀の際の贈り物に、魚類を添えるのが礼儀であったことからきています。
仏教が盛んになると、弔事から生臭いものを排除しました。すぐに腐ってしまう魚類の代わりに、長期保存が可能な干した鮑(あわび)が用いられるようになったのです。
秦の始皇帝や楊貴妃が、鮑(あわび)を好んで食べていたという伝説もあるように、鮑は縁起物の象徴で、古くから不老長寿の妙薬として親しまれてきました。日本でも織田信長をはじめとする多くの武将が、出陣前には必ず鮑を食べていたともいわれています。
熨斗の使い方
このように、もともと縁起を担ぐ意味合いがある鮑(あわび)ですが、熨斗鮑を作るときの「伸す(のばす)」という行為と、大切な人の寿命や慶事における喜ばしさが末長く続くようにという意味合いが相まって、お祝い事のシンボルとしての「熨斗」は、現代でもお祝いの品や引き出物、祝賀品などに使われています。
したがって、熨斗は不祝儀袋には使わず、また祝い事の贈り物でも、品物が魚介類や鳥、卵などであれば使いません。
熨斗は主に慶事など「お祝い」の際に使用するものです。もとは熨斗鮑という生ものをつける文化でしたが、現代では簡略化され、紙で作ったものや、のし紙として、水引とともに掛け紙に印刷されたものを使っています。
まとめ
いかがでしたか。今回は現代に続く贈り物の習わし、水引や熨斗に込められた想いについてご紹介しました。
若い方の間では徐々に薄れつつある日本の文化、贈り物。
やたらマナーやしきたりが多く、その堅苦しさもそうした現状を招いている原因の一因なのかもしれませんが、熨斗にしろ水引にしろ、長い歴史に培われた多くの意味合いがあります。そして、知らないことを知るのは非常に面白いと思うのです。