海苔は消化に悪いって本当?海苔の消化に関する疑問を徹底解説
はじめに
海苔は、日本人の食卓に欠かせない食材の一つです。しかし、近年「海苔は消化が悪い」という噂が囁かれています。お子様を持つ親御さんから、受験前や大会前に海苔は食べさせないように教員に言われた、なんて話があるほどです。
いったいこれは本当なのでしょうか? 今回は、海苔の消化に関する疑問を徹底解説します。
海苔が消化しづらいといわれる理由
1. 食物繊維
海苔が消化しにくいと言われる理由は、第一に食物繊維の多さが挙げられます。
海苔は全体の約36%が食物繊維で構成されています。海苔に含まれる食物繊維は、便通を良くし、便秘の予防に役立ちます。多く食べすぎることで便通が促されることから、消化に悪い→おなかを壊すというイメージにつながったのだと思います。
しかしながら、実際は逆で、海苔には消化を助ける酵素が豊富に含まれており、食事の消化・吸収をサポートします。消化器官への負担を軽減し、消化不良や胃もたれの緩和にも効果的です。
もちろん食べすぎは食物繊維の過剰摂取からおなかが緩くなる可能性がありますが、海苔を適量食事に取り入れることで、軽やかな食後の状態を維持し、快適な消化機能を促進することができます。
2. ポルフィラン多糖
加えて、生海苔に含まれるポルフィラン多糖という成分にも由来があります。
ポルフィラン多糖とは、海苔に豊富に含まれる多糖類なのですが、人間が持つ消化酵素では分解できないため、腸内で消化されずに排出されてしまう特徴があります。
ところが近年フランスの微生物学研究チームが「日本人だけが腸内細菌「バクテロイデス・プレビウス」を持ち、ポルフィラン多糖を分解する酵素を有している。」「生海苔を消化できるのは日本人だけ」と科学雑誌「Nature」で発表いたしました。
これにより、「日本人しか海苔は消化できない」という話が急激に広まったのだと思われます。
3. 日本人しか海苔は消化できないって本当?
外国人は海苔を消化できない、美味しく食べられるのは私たち日本人だけ、とある種変な優越意識にも感じられるこの説ですが、正確に言えば誤りです。
なぜなら、この多糖類=ポルフィラン多糖という成分は、あくまで海苔の原料「生海苔」に含まれているものであって、加熱段階でそのほとんどが壊れてしまうのです。
つまり、日本人にしか消化できないのはあくまで「生海苔」だけで、焼海苔や味付け海苔など私たちに馴染みがある「海苔」については当てはまらないことが分かっています。
このことから、外国人は海苔を全く消化できないというわけではなく、加熱調理された海苔であれば、比較的消化することができるといえます。
4. まとめ
いかがでしたか。海苔はトウモロコシやキノコ類や同様に食物繊維が多いため、便通を促し便秘解消に役立ちます。
その一方で、きちんと嚙まずに一度に大量に摂取することで、当然おなかは緩くなってしまうのです。
海苔を召し上がる際はよく噛むことや細かく刻むなどの工夫をすることで、消化を助けることができます。また、海苔は乳製品と相性が良いことでも知られています。ヨーグルトや納豆と一緒に食べることで、腸内環境を整え、消化を助けてくれますよ。
海苔は、豊富な栄養素を含む優れた食材です。くれぐれも食べすぎ・早食いには注意して上手に食事に取り入れてください。