あの人に贈りたい。 issue 05 長谷川町子さんに贈りたい <京菓子司 壽堂>の黄金芋×「山本山合組上喜撰」
贈り物には、相手のことを想いながら、好みや用途、ちょっとしたサプライズを想像しながら選ぶ楽しさがある。たとえばお茶。贈答品の定番に菓子や小物などのプラスαを添えるだけで、あなただけの特別なギフトに。フードスタイリストの西﨑弥沙さんが、歴史上のあの人や、尊敬するあの人物への贈りものを時空を超えて勝手にプレゼンテーション。贈りものとしてのお茶の新たな魅力のご提案として、ギフト選びのヒントにいかがでしょうか
photo Kiichi Fukuda styling&tea select Misa Nishizaki edit&text Chisa Nishinoiri
今回贈り物に選んだお茶は…「山本山合組上喜撰」程よい渋みと香りが楽しめる煎茶。すっきりとした味わいの中にも、渋みを感じる味わい深い煎茶です。和紙の包み袋での包装なので、プチギフト、手土産、お返しなどにもおすすめです。

『サザエさん』、『いじわるばあさん』などの作品で知られる漫画家の長谷川町子さん。漫画が大好きだった町子さんは15歳で漫画家デビュー。19歳で新聞連載を持つほどの人気作家となります。
1946年(昭和21年)、福岡県の新聞「夕刊フクニチ」から漫画連載を頼まれ、これが『サザエさん』誕生のきっかけとなります。1949年から、「新夕刊」「夕刊朝日新聞」「朝日新聞朝刊」と連載の場は移り(1974年の休載のまま連載終了)、1969年にはテレビアニメの放送がスタート。世界で最も長く放映されているテレビアニメ番組としてギネス世界記録も保持するご長寿番組となり、彼女の作品は今も世界中で愛され続けています。

子どもの頃の町子さんは「サザエさんも顔負けのおてんば娘」だったそうですが、海外旅行が趣味の一つ。美術品にも造詣が深く、美術品や陶芸のコレクターとしても知られています。美味しいものも大好きであっただろう長谷川町子さんへの贈りものとして、少し洒落の効いたお菓子を贈りたい。
そこで西﨑さんが選んだのは、<京菓子司 壽堂>の名代「黄金芋」。人形町・水天宮のほど近くに店を構え、140年以上続く老舗が創業以来作り続けているロングセラーです。

焼き芋といえば、『サザエさん』原作の第1回目から登場し、作中で50回以上も描かれてきたサザエさんの大好物。ホクホクの焼き芋やふかし芋が磯野家の食卓を飾るシーンは、冷えた体を温める冬の風物詩としても親しまれています。同じく彼女の代表作である『いじわるばあさん』でも、焼き芋は印象的なアイテムとして度々登場しています。

カナリア色の薄い包装紙に、キャンディのように包まれた黄金芋は、箱を開けた瞬間から華やかなニッキの香りが立ち込めます。白餡に黄身を混ぜた黄身餡を小麦粉の極薄皮で包み、ころんとした楕円形に成形。表面にたっぷりとニッキを塗して、高温の窯で丸焼き仕上げにした逸品です。
見た目はまるで、さつまいも。なのに実はさつまいもを一切使っていない“芋を模した菓子”。「さつまいもよりもずっと高級なニッキと黄身餡のお菓子を、『お芋だよ』なんてサラリとお土産に渡す江戸っ子の粋」も感じさせます。

清涼感溢れるニッキの風味が口の中いっぱいに広がったかと思えば、薄皮がほろほろと崩れ、黄身餡のしっとりとした甘味とニッキの刺激が絶妙なバランスで絡み合います。黄金芋を舌の上でゆっくりと味わい尽くしたら、程よい渋みの合組煎茶を一口。煎茶の香りと渋みで口の中がさらりと濯がれると、ニッキの余韻が再び鼻腔をかすめ、さらにもう一口、もう一本と手が伸びます。
「“『いじわるばあさん』は自分の地のままでいいから気楽に描けた”そうで、主人公のおばあさんは町子さん自身の性格をモデルにしたという説もあります。ですので、ブラックユーモア路線も好んだ町子さんには、“さつまいも風なのにさつまいもじゃない”、このひと捻りあるお菓子を気に入っていただけるのではないでしょうか」
「黄金芋」(12個折詰)3,260円/京菓子司 壽堂/問い合わせ0120-480-400
今回贈り物に選んだお茶は…「山本山合組上喜撰」程よい渋みと香りが楽しめる煎茶。すっきりとした味わいの中にも、渋みを感じる味わい深い煎茶です。和紙の包み袋での包装なので、プチギフト、手土産、お返しなどにもおすすめです。
